2021年11月23日火曜日

茅出し 山の口終い

 今年最後の活動は茅出しです。10月30,31日に刈った茅ボッチを道路端まで曳きだして集積、トラックに積み込む作業です。

 茅刈で刈った茅ボッチはイベント刈、合宿刈り、茅刈衆を合わせて約800ボッチ(4000束)になっています。ところが、今年はコロナ感染症の影響で文化財修復の予算がことごとく後回しにされているようで納品先の町田工業さんのところが茅束の在庫を抱えたままということで新たな引き取り先をさがすことになりました。日本茅葺文化協会の上野さんの斡旋で千葉県鴨川市で古民家修復を計画している一般社団法人「小さな地球」という団体が一部を引き取っていただけるということになりました。

 今回の参加者は20名、現地に到着後山之口終いの神事を行い早速ボッチの曳き出しです。
茅ボッチは11月9日の上ノ原一帯に吹いた突風で大方が倒れましたが、茅刈衆と自伐林業&藤岡チームが起こしてくれたおかげで良く乾燥して軽く、茅の成長も良く、刈り手の腕も上がって運びやすい茅ボッチとなっており比較的短時間に曳き出しが終わりました。

山之口終い神事

重労働の曳き出しですが今年は少し楽でした


 3時には野点もおいしくいただきました。快く引き受けていただいた駒井さん、西山さん、美坂さん有難うございました。

お茶の時間


 到着したトラックに積み込みましたが高速を走ることから予想より少ない荷姿となってしまいました。

1日目の積み込み


この日の宿は樹林、夕食の後、場所を遊山館に移し車座講座です。語り部は河辺さんでタイトルは「ミツバチのはなし」渋谷にあるビルの屋上で養蜂をしてはちみつを生産されている河辺さんが愛情たっぷりに育てながら観察し、撮影した沢山の写真を使い賢く社会性をもつミツバチの生態をわかり易く解説してくれました。参加者の皆さんは初めて聞くことばかり、すっかりミツバチのとりこになってしまったようです。
 2日目は、トラックの到着まで2時間ほどの余裕があったので、みんなで茅場の後背林「ゆるぶの森」を散策することにしました。すっかり葉が落ちて明るくなった森の中を落ち葉を踏みしめてその音も楽しみながらゆっくり歩きます。この森はミズナラ、コナラ、ミズキ、トチノキ、シナノキ、オオヤマザクラ、イタヤカエデ、ブナなどの多様な樹木、藤原崩れ、黒ボク土、キノコ、湧水、動物の痕跡、林業・木材などのインストラクションのネタ満載です。今回は茨城自然博物館の小幡さんが同行されて植物ネタを解説してしていただき中味の濃い散策となりました。そのおかげでこの森の豊かさを再認識しました。

落ち葉を踏みしめて

シナノキの種を飛ばしてみる

シイタケも生えていました

落ち葉を並べてその違いを

熊棚

 

熊の爪痕

ブナの殻斗

美味しいブナの実を探す


 昼前に小さな地球の代表の林さんが運転するトラックが到着して積み込み。小さな地球に嫁入りさせた茅ボッチは1日目が80ボッチ、この日が115、合計195(975束)となりました。

2日目積み込み



 小さな地球と青水はやっている内容がよく似ていて親しが持てる団体です。これからも交流していくことになるでしょう。早速来年9月に茅葺をする計画があるので嫁ぎ先を訪問することにしましょう。

 上ノ原には、萬枝師匠が、「いい茅でみんなの腕も上がった」とお褒めいただいた茅ボッチが3000束残りました。残りは例年通り町田工業さんに引取っていただくようお願いしています。



                             文責 草野

 









2021年11月10日水曜日

2021茅刈 実施報告

  原因がはっきりしないものの新型コロナウイルス感染者が急激に減少して、やや安心安全な日常が戻ってきた感がある10月30,31日と茅刈を実施しました。

 当日は絶好の茅刈日和に恵まれ、上ノ原の紅葉が相変わらずの美しさの中で日帰りを含めて34名が参加(初参加3名)。久しぶりの懐かしい顔ぶれもありました。

上ノ原の紅葉とススキ



 まずは、スタッフや経験組に倣いながら自分が使う鎌を研ぎ、始まりの式を終えて雲越萬枝師匠の指導により茅の刈方、ボッチのつくり方の茅刈講習会。レビューのために萬枝さんの指導のポイントを挙げておきます。

鎌研ぎ


萬枝師匠の講習 ボッチづくり

 ①群生して茅の穂が出ている育ちのいいところを狙い、そこに向かって刈進む。②キツネガヤは刈らない。刈る前にオミナエシ、ハギ、ヨモギなどの雑草(ゴミ)をあらかじめ取り除いておく。③刈るときは抱え狩り(稲刈りのようなつかみ狩りでは能率は上がらない)④二抱え(個人差あり)ぐらいで一束にして、ほかのやわらかそうな茅で縛る(縛り方の説明は難しいので省く)。⑤縛る場所は根から穂を除く全長の65%ぐらいの高さで縛ると束が立ちやすい。⑥束が一つでも自立できなきゃダメ。⑦5束を一ボッチにするとき丈夫そうな束を斜面の下の方に置き、斜面の上方から抱きかかえて同じ束の茅(身内)をクロスさせて前で結ぶ。⑧穂のところも手前からクロスさせて身内結び。⑨最後に各束を少し広げて安定させる。以上であるがこれは文章で説明するのは難しい。実際に見てやってみるしかない。この講習を受けて、参加者はそれぞれ散らばって茅刈。塾のスタッフの同行や、見回ってアドバイスしました。

茅の中に潜っていい鎌音でひたすら刈る 


 今年のススキは生育が良くまとまっていて刈りやすいので品質の良い茅束が期待できます。

 15時には役場の高橋さんの差し入れのリンゴをおいしくいただき、16時に終了。

 この日の宿はロッジ「とんち」相変わらずの美味しい料理でした。

 夕食の後は、西村幹事の車座講座「奄美大島・徳之島・琉球の世界自然遺産登録の経緯と効果」についてわかり易い解説がありました。

 2日目 今年は茅刈検定の受検者がなく皆さん早速茅刈に従事。正午前に終了。

 それぞれに作った茅ボッチ数に応じてボッチ券を渡し、それを使って野菜などを買い求める参加者で移動販売車の周りは盛況でした。

地物の新鮮な野菜などがあって移動販売は大盛況


 2日間の茅束の数は134ボッチ(670束)となり、用意したボッチ券が足りず急遽、幹事に渡した券を買い上げて間に合わせました。

 このあと11月2日まで例年通り有志6名が古民家に合宿して茅刈を続け80ボッチ以上を刈りました。

ボッチが立つ風景

自慢のボッチ 


                    文責:草野