2009年5月12日火曜日

「綾の照葉樹林プロジェクト」視察記

5月8日。綾南川にかかる照葉大吊橋。橋高142㍍、通潤橋の7倍。
眼下に、幾重にもぶあつく重なって広がる照葉樹の森を鳥瞰する。
見渡すかぎり、モコモコの緑の樹冠が初夏の陽に照り輝いている。まさに圧巻!

九州森林管理局、宮崎県、綾町、地元NPO「てるはの森の会」と
NACS‐Jが「世界自然遺産」登録を目指して取組み中の
「綾の照葉樹林プロジェクト」。50~100年後の森の姿を想定した
対象エリア約1万㌶におよぶ大構想だ。

吊橋前で名刺交換した九州森林管理局の歌野主席森林官と田中生態系管理指導官。
熱心にご案内いただいたお二人の眼の輝きと田中さんの肩書きに、
このプロジェクトにかける林野庁の意気込みを感じた。
スギを中心とした人工林から天然林への復元を目指すエリアは1895㌶で
全体の24㌫。100年間に4残2伐(植栽列の6列のうち4列を残す間伐方式)を
ボランタリー参加で3回行い、下種更新をもって順次復元を図っていく方針とのこと。

綾南川の渓谷沿いの小道を行くと簡素な佇まいキャンンプ場があって、その先に
営林署の製材所跡がひっそりと残っていた。そして、さらにその上に座す
川中神社までの一帯は既に、森林セラピー基地の認証を受けている、由。
川沿いには集落跡が点在し、道は当地・綾から今の小林市須木に通じていたという。
聞けば、『駄賃馬道(だちんばみち)』という塩の道であったそうな。

思えば、照葉樹の森は日本や東アジアの伝統文化の基層をなす重要な存在。
日本、台湾、東アジアにきり残っていない自然文化複合遺産みたいなものだ。
通潤橋は江戸時代の民が残した偉業。
この綾の森は官民が一体となって取組む平成のビックプロジェクト。
ずっと応援したい、と思った。

清水、記

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