2009年7月30日木曜日

ハラガキ、里山を跳梁跋扈!

-川越小「里山探検隊」ガイドの記-
09年7月23日10時半、上ノ原の広場に川越小学校5年生28名が集結。内野(雄)、北山、清水の3班に分かれて、直ちに「五感で楽しむ里山探検」開始。ススキ草原→ミズナラ二次林→十郎太の泉で甘露の水を飲み、手を沢に突っ込んで水温当てゲーム。
昼は諏訪神社に移動、草ぼうぼうの茅葺き舞殿でわいわいがやがやお弁当。
午後は師入(もろいり)集落に下って田んぼの見学。林三郎さんに米作りのお話してもらって、雨のあぜ道散歩。
どうやって用水路から田に水を引くかの実演に、「ボクもやりたい」が続出。ハラガキがミズガキに変身! 田んぼのはずれにあるお墓に連れて行って、そこから集落全体を一望。眼前に青田が広がり、その先に三郎さん達の家々があって、そのまた背後に前山があってという典型的な里山の風景がセットされている。
子どもたちは、カエルやバッタにキャーキャー騒いでいたわりに、ノカンゾウやネジバナなどの草花には反応が鈍かった。最後は青木沢峠の往復を敢行。子どもたち全員完走に比して、シルバーガイド3名は脱落! 少子高齢化大国「日本」、野に山にハラガキが跳梁跋扈する日は戻ってくるか・・・。
終日気の抜けないガイド役だったが、三郎さんご丹精のムラサキハナマメの花(写真下)に初めて出会った瞬間だけは、まことに嬉しく心和む思いだった。
09.7.29清水(記)

2009年7月17日金曜日

精鋭部隊による夏の生き物調べ

-「人為的インパクト」についての愚考-
真夏日の7月14日。高野、海老沢両学監以下6名の精鋭スタッフが上ノ原に集合、ススキ草原の生き物調べを実施した。眼前に、ぐんぐん生育中のススキの緑が見渡す限りひろがる。
ここ6年続けてきた野焼き・茅刈り・侵入木除伐を柱とする管理活動の効果を実感。
ホタルブクロ、オカトラノオ、ウツボグサたちが次々と美しい姿を見せてくれる。誰かが、「彼らはこの時期の草原の3大家族だね」というと、横から「トリアシショウマも加えて4大家族にしてほしい」など楽しい会話がはずむ。ナワシロイチゴの花にはヒメシジミだろうか可愛い蝶たちが群がっていた。
ここまでは、我々が担当する「モニタリングサイト1000」のテーマである“人為的インパクト”のプラス効果で喜ぶべき状況。ところが、観察していくうちにニセアカシアやチモシー(写真下) など嫌な連中にも出会ったしまった。5月には集合広場でセイヨウタンポポに気づかされたし、管理道沿いにはオオバコやハルジオン、ツメクサたちが早くから進出していた。
元茅場としてのススキ草原再生のために、我々がつくった管理道や集合広場。それを利用してきた結果、はびこり始めたこれらの外来種や非在来種。ならば、この状況もまた負の人為的インパクトというべきなのだろうか。日頃は泰然自若、めったな事では動じない海老沢学監もニセアカシアの進出には「これは速やかに退治せんといけませんね」とのご判断。チモシーも地元の雲越萬枝さんに聞くと「昭和23年頃、田んぼの畔(くろ)にまいた。ゴルフ場にもあって、ものすごい繁殖力」とのこと。
これらを、繁茂する前に退治することも人為的インパクト? など、あれこれ愚考した生き物調べであった。 09.7.16清水(記)

2009年7月9日木曜日

驚喜の「お茶講」体験記

-上ノ原のカヤがここでもあそこでも!-
7月4日~5日、森林塾青水の仲間6人で第36回「遠足の会」例会に参加して、国指定重要無形文化財「お茶講」体験)と中之条町の文化遺産見学とハイキングを楽しんできた。
お茶講は鎌倉から室町時代にかけて武士階級の間で盛んにおこなわれた「闘茶」の流れをくむもので、同町白久保地区にのみ伝承される全国でも珍しい民俗行事。簡単に言うと、甘茶、渋茶(煎茶)、チンピ(蜜柑の皮を干したもの)という三つの材料の調合割合をかえた4種のお茶が計7回出されるのを、香りと味をたよりに言い当てるゲーム。今回の参加者23人の成績は、全問あたり(ハナカツギ)3名、全問はずれ(サカサッパナ)1名。この二つの比率が高いほど豊作になると言い伝えられており、この分だと今年の実りに期待が持てるそうな。
実は小生、前回2年前は正解1問の情けない結果。密かに捲土重来を期した今回、当日朝のコーヒー・お茶断ちをして勝負の甲斐あって驚喜のハナカツギ!
ところで、お茶講保存会の拠点・白久保「お茶講の家」(写真上)は茅葺き古民家で、町田工業さん(森林塾青水会員)が上ノ原のススキを使って屋根替えをやっている。因みに、町田社長は保存会の熱心な会員で今回体験会では「勝」=成績記帳方の役回り(写真手前)。

そんなこんなの事情を、初参加の川端さんや成瀬さんに見聞していただけたのも嬉しいことだった。


ところで、昼食をとった蕎麦処「たけやま」も茅葺き古民家建築でこの屋根材も上ノ原のススキ。そして、見学に立ち寄った国指定重要文化財「富沢家住宅」(写真上)の茅葺きにも上ノ原のススキが大量に使われている。いずれも町田工業さんの手による仕事である。
富沢家住宅は絹の国群馬を代表する最古級の大型養蚕農家建築で、世界遺産登録を目指す『富岡製糸工場と絹産業遺産群』の資産を構成する重要な文化遺産のひとつ。今はユネスコの暫定リストだが、正式認定されると上ノ原のススキが世界遺産の屋根材になる(-^o^-)
もっともっと、「細くて芯が強くてゴミが少ない」良いカヤ作りに励まなくちゃ。
09.7.8清水(記)