2011年8月12日金曜日

また一つ、ススキの新たな利用の道が!

-元・茅場の地域循環型・持続的利用の一環として-

2011年8月6日午後~7日午前。早稲田環境塾・当塾のコラボ合宿参加者22名が阿部惣一郎、林久の両長老ご指導のもと、初めての“青刈り”にチャレンジした。

(写真①、②)

2日間の成果は、およそ2トン車1台分。うち、8割見当を桃季館(江口所長・新治地区)のトラックに積み込んだ。
(写真③)
 ブルーベリー栽培用のマルチとして使っていただく約束だ。残りは、久さんの軽トラに積み込んで久保の畑に運ぶこと2往復。
(写真④)こちらは、半年間寝かしながら鋤き返し、来春には野菜畑の肥料になる。

これまで、上ノ原のススキの用途は、群馬県下4棟の茅葺重要文化財と地元・諏訪神社の屋根材だけだった。そこへ、この7月、福島県の仮設住宅(板倉構法)の屋根用断熱材としての用途が加わった。 加えて、この度のマルチ材ならびに肥料としての利用が加わった次第。草の「利用」を進めることがより良い草原の「管理」につながる。しかも、地域循環型・持続的利用のモデルケースと言ってよかろう。その意味で、この度の青刈りはまことに喜ばしい限り。ご指導ご協力をいただいた地元の大先達お二人、みなかみ町役場の皆さま、原塾長はじめ早稲田環境塾の皆さまに深甚の感謝を申し上げたい。

折しもこの4月、みなかみ町は生物多様性地域戦略の一環として『昆虫保護条例』を制定した。上ノ原はその「保護指定地域」になろうとしている。“生物多様性の保全に役だっているブルーベリー”が桃季館の棚に並ぶ日が遠くない!!


(2011年8月9日、清水記)

2011年8月11日木曜日

炎天下の防火帯造りと青刈り 流した汗も生態系サービス

第4回コモンズ村ふじわらは、8月6~8日3日間に渡って真夏の炎天下で青刈りと防火帯作設を実施しました。
 作業内容は、ススキの屋根材以外の利用の具体的用途として果樹等のマルチ材を採取することと同時に野焼きの延焼防止のための防火帯作設を行うものです。
 今回は早稲田環境塾との共同開催プログラムの一環として実施し、総勢22名の参加者が上ノ原に集まり、地元古老3名の方にご指導いただきました。

 初日は、昼食後、車のドアに指を挟むというアクシデントが発生、急遽、病院に向かうことになり、みんなの気勢がそがれましたが、はじめの会を行い、蜂、雷、熱中症等の真夏の作業における注意事項を確認しました。
 その後、地元古老のS.Aさんの指導の下、 鎌の砥ぎ方、青刈りとその結束の仕方を習い、武尊山登山道近くの背丈ほどに伸びたススキに立ち向かいました。
 防火帯設置班3名は、刈り払い機を持ち南側の登山道から茅場に10m幅で刈り払いして、刈った草も束ねていきます。
 皆さん慣れないのと猛烈な暑さの中の作業のため、はじめは戸惑っていましたがそのうち慣れてカマの音も良くなりました。そして結束の仕方も上手になったところで皆さんの疲労度を見て16:00にタイムアップ、この間流した汗は作業着もズボンもびっしょりでずぶぬれ状態。十郎太沢の冷たい清水がありがたく生き返った気持ちでした。
 2日目は、午前中青刈りと防火帯設置の作業予定、鎌砥ぎも自分で出来るようになり、地元古老のH.Hさんの先導の下、昨日と違う作業地に入ろうとした瞬間、H.Hさんが顔の辺りでカマを振りながら飛び出してきました。蜂です。スズメバチが数匹H.Hさんを追いかけてきます。左こめかみあたりを刺されたようです。幸いなことに、腫れてはいるが大事には至らないようです。急遽場所を変ることにして移動。
 昨日、作業前に蜂が飛んでいないか確認したときには姿を見せなかった蜂ですが、地面に巣を作りかけていたようです。H.Hさんに「今までにさされたことがあるか」尋ねると「何度もある」とのこと、その時と今回の症状に変わりはないかと再度聞くと同じとの返事、まずは大丈夫だろうが様子を見ながら作業をすることにしました。 これが参加者だったらたぶん病院に直行しなければならなかったでしょう。
 この日も、暑い日でしたがアクシデントにも負けず皆さん頑張り、昨日の倍の汗をかき、刈り取り量は3倍ぐらい。約3時間の作業で2トントラックと軽四1台分(約2.5t)の青刈りススキを刈り取りました。
 刈り取ったススキは新治の果樹農家の方のブルーベリーとイチゴ畑でマルチとして使っていただくことになっており13時、既に到着していた2tトラックにみんなで積み込みました。
 また、軽四一台分はH.Hさんの畑の堆肥として使っていただけるとのことです。
 防火帯班はこの日も2台の刈り払い機を駆使し、南側のカラマツ林と境を刈り払い上部作業路まで繋げました。
 今回の青刈り、防火帯設置、連日のアクシデントにも負けず、ほぼ予定通りの作業を終えるこができました。 
 皆様が刈り取った青刈りススキは、おいしい果物や野菜を育ててくれるでしょう。
 これもススキ草原の生態系サービス、もちろん皆さんが体験した作業と流した汗、心地よい茅風、眺めた風景もその中にいれてもいいでしょう。茅場から得られるサービスはまだまだあります。今度はススキの穂が揺れて歓迎してくれます。
 参加者の皆様、地元の方々、役場の方、本当にありがとうございました。
                                           (報告者:草野)