2012年2月14日火曜日

茅葺き文化の継承とこれからの茅葺き

第三回東京楽習会開催

本年度第三回目の東京楽習会が、去る1月29日(日)午前10時より、中央区銀座の「銀座区民館」を会場に、会員会友他18名が参加して開催されました。講師には、日本茅葺き文化協会理事の上野弥智代さんをお迎えし、「茅葺き文化の継承とこれからの茅葺き」をテーマとして、全国の茅場や茅葺き民家の現況と課題について、現場の写真をたくさん用いながらお話をいただきました。

最初に、秋津洲(あきつしま)、豊葦原瑞穂国という日本の古称や、万葉集の「はたすすき尾花逆葺き黒木もち造れる室は万代までに」という歌を取り上げ、「草原の国」であった古代大和の自然の姿に思いを馳せながら、現代の日本において、ススキやヨシ、カリヤスなどの草原を茅場として保全している各地の活動を解説いただきました。その内容は多岐にわたり、すべて紹介することはできませんが、何れも地元の人々と民間のボランティアが協力しあい、火入れや茅刈り技術の継承や向上、そして安全管理体制についても理解をもとめながら取り組んでいる事例を紹介いただきました。

特に、筑波研究学園都市にある高エネルギー加速器研究機構の敷地内では、地下に巨大な加速器のある場所が茅場として管理されている事例は興味深いものでした。また、萱刈りの方法や技術もそれぞれ工夫がされており、町の鉄工所に発注して制作した簡単な構造の茅の結束機を活用している事例も紹介いただきました。

また、断熱材として上ノ原産の茅も活用されている会津若松の仮設住宅の状況も報告いただき、入居者からは「暖かくて過ごしやすい」という声もあがっているとのことです。

いよいよ今年は全国草原サミットがみなかみ町で開催されますが、茅場を保全しその活用をはかってゆくことが、豊かな文化の継承になることも確認できた有意義な楽習会となりました。                                  
(幹事・稲)

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