2016年6月27日月曜日

「草原シンポジウム2016 in 東京 ~知っていますか?草原の価値~」6月25日開催されました

 全国草原再生ネットワーク10周年記念事業 「草原シンポジウム2016 in 東京 ~知っていますか?草原の価値~」が、625日(土曜日)14時から朝日新聞東京本社読者ホールで開催され、65名の方が参加され、森林塾青水のメンバーも少しお手伝いしました。

日本の草原の保全と再生、そのために情報の蓄積と共有を図ることを目的として設立された「全国草原再生ネットワーク」が設立10周年を迎えるに当たり、草原の魅力と各地におけるこれまでの10年間の草原保全活動を紹介し、これを契機に一般にも草原の魅力を知ってもらい、未来の子供たちにこの素晴らしい草原を引き継ぐためにこれからの草原保全をいかにするかを話し合われました。

第一部は、草原保全のこれまでの10年ということで、各地で草原保全に取り組む団体より、各草原の特徴、取り組みの特徴などを紹介しました。
最初に、震災で多大な被害を受けた熊本県の阿蘇グリーンストックの清野さんにより、広大な阿蘇の草原の山焼きの安全性の向上、赤牛のブランド化、阿蘇の恵みを受けている九州全県の人の手で、草原の恵みを将来の世代に引き継ぐことを目的の「阿蘇草原再生千年委員会」の取り組みなどについて紹介されました。

次に、森林塾青水の若手幹事の西村さんより、上ノ原入会の森のフィールド紹介、活動について、これまでの活動を振り返って、茅の活用、都市と地域と上ノ原の主な関係、活動の成果、課題:継続的な人手の確保、計画的かつ安定した野焼きの実施、これからの方向性と、15分の中で塾の重要な「飲水思源」「流域で支える」など盛り込んで紹介してくれました。

三番目に初めて知りましたが、15年も活動されている「全国カヤネズミネットワーク」の畠さんから「カヤネズミの住むカヤ原復活プロジェクト」について紹介されました。加桂川の洪水対策で、河原の土を取り除き低くする工事を国土交通省が行なうことになり、事前に団体に連絡があり、表土を保存してカヤネズミを移動させながら、また表土を戻し、カヤネズミが以前より多く戻ってきたようです。上ノ原でもカヤネズミの巣を見たことはありますが、実物を見たことがないので、一度探してみたいと思いました。

四番目に安比高原ふるさと倶楽部の渋谷さん(環境書OB)から「安比高原シバ草原 草原と馬事文化の維持を目指して」について発表されました。もともと南部馬の産地ということで馬と関わりが強く、草原に馬を放牧させていたようです。牛の放牧は多いですが、馬との関わりを持つ草原も魅力的と思いました。まだ団体ができて2年目ということでしたが、課題は高齢化ということでした。

最後に北九州市に本社のあるシャボン玉石けんの川原さんから「環境にやさしい石鹸系消火剤を用いた森林および草原保全の取り組み」について発表がありました。ジェットシューターに石鹸系消火剤を10%入れることにより、消火の効果が高く、三瓶山や雲月山の使用調査結果でも水だけより少ない量で消化できるという報告がありました。。


第二部は「草原保全のこれからの10年~」と題して、島根県立三瓶自然館の井上雅仁さんがコーディネーターで、草原保全や自然環境保全に取り組む有識者の環境省の岡野隆宏さん、日本自然保護協会の高川晋一さん、芸北高原の自然館/全国草原再生ネットワーク理事の白川勝信さんにより、これからの草原保全への向けての提言を、パネルディスカッション形式で議論されました。

高川さんから、各地の市民調査員と共同で進めてきた「モニタリングサイト1000里地調査」によると、野うさぎがこの10年急減に減少している。開発や森林化などの影響か?木を切ることが必要ではないか。
岡野さんからは、草原の保全に市民が支払ってもよいと考える支払意志額は森林に比べてあまり高くない、まだまだ水源涵養や二酸化炭素吸収、草原の恵みなど草原の価値を認識している方が少ない。昨年地域で里山里地の自然環境を次世代に残すようにしたいので、「生物多様性保全上重要な里地里山」(500箇所)を選定した。
白川さんからは、地域通貨を利用して広葉樹を薪として使えるようにする、芸北せどやま再生事業や、中学生が茅を刈って、それを買い上げるプロジェクトや、ダムカードのように草原カードを設けて、草原ファンを広げていることなどを紹介してもらえました。


今回の発表や有識者は若い方が殆どで、その中でも森林塾青水は最年少の西村さんに発表していただきましたが、これからの10年に少し期待ができそうな気がしました。(浅川潔)

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