2017年7月24日月曜日

防火帯刈払&野鳥観察会

 梅雨が明けてまさしく猛暑、上ノ原でも30度を超える中での防火帯刈り払いである。
 今回は前日入りして、次のプログラムの玉原越えを下見してからの藤原入り。もともと下り坂に弱い膝は1時間半の歩きでガタガタであるが今回はこの後本番の刈り払い機を使った草刈であるので体力が持つか、熱中症も心配である。
7月の上ノ原風景

 参加者は、野鳥の会の上原さんグループが久しぶりに参加、初参加の女性が1名、合計16名。
 上ノ原は、雪間焼なので防火帯は不要ではないかとの議論もある。しかし、2016年みたいに雪のない野焼がある。いずれは雪に頼らない野焼に備えないと除雪経費がいつまで続くかわからない。それと、春先のたばこ等の失火による類焼への備えもある。もうひとつ、刈り払いを続けることによる草丈の短い草原となり、モザイク状となり田んぼの畔刈りもそうであるがこのようなところに生育する植物が育ち生物多様性が豊かになる。「草刈がつなぐ命」の生育場所になる。
エンジン付き刈払機は初めてだが手慣れたもの

この二人はベテランの域に

 暑いこの時期に刈るのはススキなどの光合成能力が旺盛になる前に刈取り、エネルギを地下茎に蓄積させず衰退させる効果があり、刈った草も腐るのでその場に置いたままに出来る。 参加者を2チームに分け、1チームは上原さんが先導して野鳥観察である。
  まずは双眼鏡や望遠鏡の基本的な扱い方を教えてもらうことから始まり、ススキ草原のほかミズナラ林、カラマツ林を回った。夏は野鳥の繁殖も一段落して、鳥の声を聞くことも姿を見ることも少ない時期だ。それでも、みんなでホオジロやウグイス、コガラ(ヒガラかも)、イカルのさえずりや警戒声を聞き、ホオジロ(雄)とモズ(雌)の姿を確認しあったのは収穫だった。上原さんは鳥以外の動植物にも関心が高く、参加者も一緒になってヒメシジミやアサギマダラ、ミドリヒョウモンといった蝶たちの飛翔、そしてカラマツに絡んだイワガラミとツルアジサイの花などを楽しむこともできた

ホオジロ

モズ
もう、1チームは、安全教育の後、6台の刈払機を駆使してカラマツ林の隣接防火帯から刈り払う。もう何年も刈りはらっているので草丈は短く、刈り易いが何しろ暑い、水分補給は欠かせない。エンジンがストを起こしたすきに座り込み休養である。
それでも予定の半分を終わることができた。
草の中のホタルブクロ

 今宵の宿は並木山荘、夕食後上原さんの車座講座「藤原付近の野鳥と観察のポイント」が始まる。
 上原さんは、野鳥の会の歴史から始め、野鳥という造語ができたこと、野鳥の会はバードウオッチャーを増やすことが主目的でなく、野鳥を愛でる心を通して自然を守り育てる人を増やすことだと力説されていました。
 そのあと藤原付近で観察された32種の野鳥を上げながらその特徴や鳴き声を解説されました。取り上げられた野鳥の主なものは、カケス、コガラ、ヤマガラ、ヒガラシジュウカラなどのカラ類、ウグイス、ヤブサメ、センダイムシクイ、エナガ、ミソサザイ、ツグミ、キビタキ、オオルリ、クマタカなどでした。そのあとガビチョウなど外来種と日本固有種との関係、鳥は羽をもちグローバルに動く生物であり生態系に大きな影響を与えるので野鳥を知ることが生態系や自然の状況を知る手掛かりになると解説されていました。
ユーモアのある語り口で鳥の魅力が語られる

 2日目早朝の探鳥会では、まず宿のすぐ近くで電線の上や地面に集まったカワラヒワの群れをじっくりと観察できた。ただ、すぐに雨模様の天気となって傘をさしての散策に。鳥たちも動きを止めて休んでいるようで、川でキセキレイの姿を捉えることはできたものの、途中で早めに切り上げることになった。

この後雨が強くなる


今日一日、雨で作業ができるかどうか危ぶまれたが、防火帯は雨の中でもできるし完遂しなければならない。ほかのメンバーには、ススキの中の雑草取り、茅刈がやりやすいようにする作業をお願いした。これは新メニューであり雨降り時の作業として採用できそうである。
 幸いに雨は本降りにならず着込んだレインコートも不要な天候となった。

 茅刈は、2人の女性メンバーが体験したいと申し出たのでゴルフ場側の防火帯で初挑戦である。実演で安全教育を念入りに行い、刃物の付いた機械であることを認識してもらい刈り払いに入る。初めは腕だけで、刃を振り回すような状況にひやひやしながら見ることに。20分ほど刈り、休憩させ自分の刈った跡を見させて、どうすれば要領よく刈れるかを納得してもらう。
果敢に刈払機に挑戦


その後の刈り払いは、腰つきも良く、安定してきたので比較的長く刈らせて自信をも持ってもらう。

刈り女 K.Sさん

刈り女 M.Aさん


 全体で1時間10分ほどの実体験を終わる。初めは誰でもうまくいかないあとは慣れである。きっと明朝は腕が筋肉痛だろう。その痛みを超えたお二人は来年戦力として期待できそうである。
 今回は、ベテランのK.Hさん、S.Oさんのプロの腕も発揮され予定通り全面積を刈り終えた。
皆さん暑い中有難うございました。
                                 文責 草野
                     
 

2017年7月1日土曜日

若返り伐採&木馬道再生実施報告 ***貴重な体験となった武尊山山開き神事参列***


今年の木馬道再生は6月の梅雨の時期にプログラムされたことから雨は覚悟の上であったが空梅雨気味の天候に期待もあり、昨年に味わった木馬の滑走の感激をもう一度と梅雨空の中17名が参加。
 
この時季の上ノ原風景
 

まず、木馬で搬出した木材を木炭にするためにNPO法人奥利根水源ネットワークが新たに設置した改良ドラム缶炭窯の説明を北山塾頭にしてもらい木馬道再生の取り組みを意義づける。
路盤づくり、チェンソ―伐倒
 

木馬道は昨年50mが作設している。それを延長するので炭窯から昨年の終点までの路線選定を行う。炭窯のそばの一段高いところに土場(木材集積場)を決め、そこから昨年の終点地点まで急傾斜にならないようほどよい傾斜で、岩や根株を避けて選定する。途中接続の関係で急傾斜となるところは土盛り補整することとし、延長は約150m(総延長200m)となった。もちろん、散策路としても使える
 
中間付近が接合部で難所
 

路線に沿って刈り払いして斜面を切り(切土)で路型を作る、路面を平らにして路盤ができる。途中の急傾斜のところが難所であり桟木(土止め)を敷き盛土する。どうにか100mの路盤ができたのでチェンソ―でミズナラを伐採して1,5m程度の盤木(路面に敷く横木)を作り、それを敷設する。昨年の経験があるので作業が捗り1日目で30mに盤木が敷設できた。
 
難所での作業
 

作業終了前、始点近くにあった盤木を木馬で運ぶことにした。積載した材の縛りの締め方がわからない。今年は、阿部惣一郎師匠が怪我のため指導が受けられない。昨年かなりの技術を伝授されたつもりであるが機微なところはやはり師匠がいるのといないとでは大違いである。師匠がいればなーと思ってしまう。木馬を滑走せせるが昨年と違いスムースに行かない。なんとか70mほど滑走させたが昨年のような歓声が上がらない。
 
締め方がわからない
 
 
滑走開始
 
歓声は??
 

明日も天気がなんとか持ちこたえてくれることを期待して、重労働の1日目の作業を終わる。

 この夜の宿は、温泉付きのロッジ「たかね」である。車座講座は北山塾頭に「自伐型林業への挑戦」としてお願いした。NPO法人奥利根水源ネットワークが上ノ原ミズナラ林の若返り伐採で出る木材を炭や薪にして販売する構想であり、みなかみ町がエコパークに登録されたことを契機に旅館やホテルが使っているマレーシアなどの炭に替わって地産地消の運動をおこし供給しようとするものである。塾としても今回のようなプログラムを通じて協力することができる。参加者からも問題提起されるなど課題は多いがぜひ軌道いや木馬道に乗せてほしい。

 さて、2日目、かなり強い雨音で目が覚める。上ノ原に行ってみると昨日の木馬道で作業するとぬかるみになる恐れがある。その場で作業の中止を決断する。

 この日は武尊山の山開きの日である。塾も招待されている。山伏が来て神事があるとのことなので朝食後、裏見の滝そばの武尊神社に一同を案内した。

 武尊神社に着くとすでに多くにの人がいて神事の準備ができていた。
奉賀帳に記帳して記念品をいただき進められて席に着く、利根川水源藤原合唱隊が山男の歌を歌うと我が山ガールたちはいてもたってもおられなかったのだろう合唱隊に飛び入り参加して一緒に歌って、とうとう最後まで合唱してしまった。地元との触れ合う機会を作ろうといろいろなことをやってきたがこれほど自然に溶け込んだ雰囲気は今までになかったこと。うれしくなってしまった。山ガールの諸姉とI.Mさんの快挙です。
奥利根源流藤原合唱隊に仲間入り


 来賓のあいさつのあと神事が始まるとその厳かさと不思議な光景に感動を受けました。修験道山伏が吹く法螺貝で神事が始まり、般若心教、祝詞、まじない言上が奉じられて斧などを使ったまじないしぐさが続き玉串奉奠となり塾もその栄を受けました。般若心教と祝詞の組み合わせも不思議だが、まじない言上はどこかで聞いたような文句だと思っていたら秋田マタギのことを書いた小説の中に出てくるおまじないと同じフレーズであった。
 
法螺貝の音とともに修験道入場
 

 「あびらうんけんそわか・・アビラウンケンソワカ・・阿毘羅雲吽欠薩婆詞!」が妙に耳に残った。その後、山伏を先頭に行列を組んで登山道を歩き、山開き神事は終了した。
 
般若心教をとなえる
 

ここで安全を祈願したことがこの後のアクシデントを武尊の神のご加護で最小限にくい止めることができたと思う。
 
山伏とぐんまちゃん
 

この後、谷川岳天神平に行く予定でいたが、思った以上に時間を費やし、予定を変更し、裏見の滝を見ることにした。雪解け水と梅雨の水で滔々と落ちる滝水に圧倒された。此処は樹木の種類も多く解説しがいがある。
裏見の滝


 
 
この後は上ノ原にもどり、草原散策(ワラビ狩り)で過ごし昼食。

帰り道の運転、疲れもあったのかほんの一瞬、目をつむったようでガードレールをこするアクシデント。皆さんの大切な命を任せられたドライバーとして失格である。同乗者の皆様にはひやりとさせたことお詫び申し上げます。直前に2回ほど妙なあくびをした時に休憩すべきだったと大いに反省しています。

木馬という言葉にひかれて参加する予定だった前橋市の日帰り初参加の2名の方は2日目が雨のためお目にかかることができなかったのは残念。またの機会に是非おいでください。
 
上ノ原の賑わい:白花タニウツギとスゲハムシ?

 
 

                             文責 草野