2018年6月11日月曜日

日光土呂部草地の保全活動ー山菜の定番ワラビもこんなに増えれば憎い奴ー


今年も、青水メンバーが日光土呂部の草地に出没、今回は少人数の7人、多数を占めた女性陣ペースの武者修行となった。

6日に梅雨入りした関東地方にもかかわらず、9日は早くも梅雨の晴れ間の日光入りとなった。 日光茅ボッチの会代表の飯村さんに案内されて土呂部草地に入ると、腰高ぐらいの黄緑色のワラビの葉がまるで傘を干したように草地を覆っていてほかの植物が見えないくらい。森林で言えば複層林の上層木がワラビである。
圧巻のワラビの大群
 
 
そして食べ頃の新芽があちこちに伸びている。増えすぎて困っていると聞いてその駆除のお手伝いに参じたのであるがこれだけ増えるとやはり、他の貴重な植物の生育を阻害することになる。

 エゾハルゼミの大合唱のなか、早速、大人ワラビを踏み分けながら子供ワラビを採取する。ワラビは採っても採っても次々に新芽を出してくる植物で9月頃でも新芽が採れる。細くても強い茎で2回羽状複葉の葉を支え、光合成を旺盛に行い地下茎に栄養分を蓄積するので繁殖力は旺盛である。酸性土壌で日当たりを好むので草原など開けたところに出現する。ここはよっぽど住み心地が良いらしい。草原状態を維持しようとする草刈りなどの作業もワラビの繁殖を助けているのかもしれない。ワラビに罪はないが他の植物と共存するためには人間の手で駆除もやむを得ない。そして採ったものは無駄にせず食糧にする。昔から里山ではワラビを採取して食料としてきた。わらび餅のでんぷん、山菜、牛馬の餌、緑肥などがそれである。この中でもわらび餅のでんぷんは地下茎を掘り起こすのでワラビにダメージが大きいと思われる。かつて上ノ原はワラビ粉を採取して現金収入にしていたという、それと野焼を行っていることが比較的ワラビの少ない植生になったのだろう。では、土呂部でもワラビ粉を採集してわらび餅を作ったらと単純に考えるが、これがこの後の作業で容易ではないことがわかる。
ワラビの根
 


エゾハルゼミ(オス)にも歓迎されて

 
平坦なところから尾根沿いに移動してその一帯の雑木の切除のあと、ワラビ抜きをしてみると、でんぷんのありそうなところはごく少ない。これでわらび餅を作るのは相当の量がいる。シャベルかクワで掘って、粉砕して、漉して、干してという工程も多そうだ。でも高級和菓子の手作りに挑戦してみたい気もする。

 この日は、このあとヘラバヒメジオンやメマツヨイグサなどの外来侵入植物を駆除する作業を行い終了。カッパの泉で冷えたビールでのどを潤し、民宿水芭蕉苑へ。元気いっぱいで明るい女主人の温かいおもてなしがうれしい、雰囲気にのまれ遅くまで盛り上がった。
カッパの泉で休憩


2日目は、やはり梅雨、朝から雨模様だったが奥の草地に出発する頃には、小ぬか雨となった。途中、クロビイタヤの大木を見て、太平洋側タイプの樹種などを見ながら40分ぐらいかけて目的地の草地に到達、ここもワラビが大繁茂しているが貴重な植物の生育が保たれている、日光茅ボッチの会がいつ草刈りすると花が咲きやすいか、ワラビを全部抜いたらどうなるかなどの科学的に試行錯誤を行っていて、継続のチカラがタカラを守っている場所である。ここでも、一画のワラビを抜く作業を行った。
観察しながらゆっくり歩いて現地へ
 
また逢えたね

踏まないようにそーっと

 

今年も貴重な草花にまた会うことができて幸せな気分になる。

土呂部の草地を守る茅ボッチの会の皆さんのご苦労に頭が下がる。
 
                               草野記
 
                  



民家の庭のアツモリソウ。かつてはこの地域にも自然に生育していたという。
 
 
                                                  
 
 
 
 
 

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