2025年7月13日日曜日

活動報告「火をまもる道をひらく」2025年7月12日~13日

 酷暑の今夏。標高1000mの上ノ原の森は、夏でも木々が陽射しを和らげ、キラキラとそそぐ木漏れ日が美しい。草原には、陽射しが照りつけるも、風が爽やかに吹き抜けます。参加者13名。清々しく茅場の夏仕事に精を出しました。


 宿泊は、ロッジ樹林にお世話になりました。参加者は、各々のタイミングで、故古老 安部 惣一郎さんへ、上ノ原をしっかり受けつないでいきますと、手を合わせてご挨拶致しました。
=防火帯草刈り=
 春の野焼きを安心安全に行うための、大切な夏仕事です。目に見える自然の美しさだけでなく、見えないところで人の手と知恵が支えている風景の土台づくりです。


 植物が繁茂するこの季節に草を刈ることで、成長へと高まるエネルギーを減らし、刈られなかった植物がぐんぐん伸びていくなか、細々と生きていく。そこは、翌春の野焼きの火を止める帯、防火帯となって、草原の生態系を維持する大切な役割を担うのです。
 作業は、キックバック事故が起こらぬように、2人ペアで刈り場所を区分しました。草による防火帯を作るようになってから、毎年刈っている箇所を3ペアで担当しました。そこは、生育が弱く刈りやすくなっています。草の防火帯作りの成果が見えます。


 塾長ペアは、青水20年、一度も野焼きをしていないエリアに挑みました。草刈りというより、ボサ刈りです。もうこれは開拓といっていいでしょう。そんなレンジャー溢れる作業に、思いがけない出会いがありました。十郎太沢を跨ぐ元曲がりなトチノキが現れたのです。自然の神秘が生んだその樹形に感動した塾長は、300年後には素晴らしい巨木になるだろうと想像を膨らませます。
雪で根曲がりになったトチノキ
 
 炎天下、刈り払い機を担いでの重労働。疲れを癒したのは、顔を上げた時に広がる景色と、草原を吹き抜ける風、十郎太沢の水で割った副塾長特製梅ジュース。


=植樹=
「20周年記念樹を植たい!」初年から携わってきたメンバーから希望がありました。植生を崩したくないという声もあがり、式典では叶いませんでしたが、この度、笹岡顧問より、木馬道を再生したときに拾ったミズナラのドングリを、ご自宅で育てた立派な苗の寄贈があり、十二様のお側に植樹いたしました。笹岡顧問ありがとうございます。20年後には、一服するにちょうど良い、木陰を作ってくれるでしょう。楽しみです。

ミズナラを十二様のお側に植樹

=生きもの調査=
毎年7月の活動に合わせて実施しています。日本固有種のアザミ類、外来種のヒメジオン、山地高原にみられる絶滅危惧種の蝶ヒメシジミの個体数を、案内板からカラマツ林までの林道沿いで数えます。発芽したら動かない植物と違い、可憐に舞う濃紺から薄水色のグラデーションの美しいヒメシジミ。愛でていると重複して数えてしまいそう。ここは心を鬼にして、カウントに徹しました。
【結果】
アザミ類337 ヒメジオン115 ヒメシジミ29
ヒメシジミ
=ビオトープの観察=
 コロナ禍に十郎太沢に作ったビオトープ。ネコヤナギの根が広がり、枝も勢い良く放射状。泥を溜め、堰となり、斜面下を向き池の左側はグライ化して臭いを放ちます。


 2日目、防火帯整備は、開拓地を残すのみまで順調に進んでいました。幹事女性2人で、流れを再生させるため、ビオトープに少し手を入れました。
 長靴に履き替えて一歩踏み入れます。ズブブブブ‥‥。長靴の高さを超える沼となっています。長靴は役に立たず、素足になって1人池の中へ。もう1人は、外から枝を払います。十郎太沢の水は、とても冷たく、数秒で脚がチンチンと痛くなりました。そこを我慢して同じ場所に入り続けていると、人肌で泥を温めるようで、居続けることができるのです。発見でした。ケンスコウの届く360°の範囲で作業し、次のポイントに移動する。繰り返して池を一周整備します。

 作業内容は、ネコヤナギの根張り、枝張りの調整。泥出し。グライは、生きものが呼吸しづらい層ですが、水から出せば立派な肥料となります。池の周りに出しました。
 ネコヤナギの根元に向かって、ケンスコウをひと差し。グボッゴボ ボコ ザー。空気が入った音と共に、一気に流れが戻りました。池を掻き回し濁した水。一時間後戻ってみると、上層は澄み、流れに陽射しが反射してキラキラと輝き、アメンボが弾んでいました。


=流し素麺=
2日目の昼食は、昨年大盛況だった流し素麺です。十郎太沢の水汲み場に、竹を割って設置しました。今年は、胡瓜の千切りや、ミニトマト、ブルーベリー、ミカン缶も流しました。流し素麺は、麺を食べるのではなく、水をいただくものと、どこかで聞いたことがあるような‥‥。雪解け水、山からの恵みをいただきます。


いくつになっても童心に返る
わいわい キャッキャ 笑い声が絶えない
美しさと 楽しさと 
煌めきが詰まった流し素麺
それはまさに 飲水思源



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