2011年9月12日月曜日

2011第一回東京楽習会開催


本年度第一回目の東京楽習会が、9月4日(日)午前10時より、中央区の「女性センターブーケ21」視聴覚室を会場に、会員会友他14名が参加して開催されました。この日の講師は、本会の草野洋塾頭です。塾頭は「ミズナラ林の保全と活用」をテーマとして、自らの林業(山)との出会いから講義をはじめました。草野塾頭は熊本県葦北郡の山村に生まれ、林業を営む父親の背中を見ながら育ったということです。生まれてすぐに森林・林業と出会った塾頭は、やがて農林技官として林野庁に入り、以来、40年にわたり、森林行政の最先端で勤務をされてこられました。赴任地は九州・大崩山、屋久島、木曾・赤沢、信州上小地方・伊那遠山郷、利根川水源、北海道などの国内のみならず、フィリピン・ルソン島のパンタパンガンにも、日本による海外支援のスタッフとして赴任しました。現地では、スペイン統治時代に禿山となった一万ヘクタールに及ぶ地域の森林復元に取り組み、森林再生のための技術的基盤と成果を現地に残してこられました。
 そうした豊富な経験をもとに、草野塾頭は上の原二次林の保全と活用について解説しました。まず、現在の二次林をカラマツ造林地に若齢のカエデ類が優先している「二次林下部」、成熟したミズナラが優先する「二次林上部」、ススキ草原と接する「林縁部移行帯・流路沿い低木部」の3タイプに区分した上で、これからの新たな目的と取り扱いとして、ススキ草原と相まった「生物多様性を維持・増進するための取り扱い」、森の力と暮らしとのかかわりを伝える「自然環境教育・自然ふれあい等のフィールドとしての取り扱い」、藤原地区のペンション等に「小木質エネルギー資材と山の恵みを供給し地域経済に貢献する取り扱い」の3点を掲げました。上の原のススキ草原は、既に火入れと茅刈りが復活し、草原の管理と萱の利用について道筋が見えつつありますが、ミズナラ二次林の保全と活用は、本会が次のステップに進んでゆくための重要な課題と言えます。草野塾頭は最後に、「先人栽植後人亦涼」という言葉を引用して、講義を終えました。
 質疑応答の後、最後に清水塾長が、上の原を舞台とする現代版入会慣行や流域コモンズの実現に向けて、それぞれの参画を呼び掛け、楽習会を閉じました。(幹事・稲)

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