2012年7月24日火曜日

第三回東京楽習会開催 「利根川を歩く」

 今年度第一回の東京楽習会を、6月24日(日)午前10時より中央区の銀座区民館で開催しました。本年度の楽習会は「利根川」が共通テーマですが、その第一回目は、「利根川を歩く」をテーマに旅行作家の〝川の旅人〟岡村直樹先生を講師にお招きし、会員会友12名が参加しました。楽習会では、川をライフワークとする岡村さんより、なぜ川に魅せられたのか、川への想いを参加者と交わしながら、利根川をはじめこれまで訪ね歩いた全国の河川を素材に、自然と文化を切り口としてお話しをいただきました。その概略をご紹介します。
薄根川との合流点付近を流れる利根川(前橋市)

  まず、川の名称について、利根川の語源についての定説はないものの、アイヌ語で巨大な谷を意味する「トンナイ」、あるいは「とがった峰」から来ているなどの諸説の紹介を皮切りに、一般的な川の命名法の類型についても解説いただきました。具体的には、動植物型、数字型(:四万十川)、鉱山型(:銀山川)、人体型(:耳川・手取川)、対照型などがあり、珍しい例として、人名型(かつて伊予川と呼ばれていたが、河川改修の功労者の人名に改称された愛媛県の重信川)、珍名型(アイヌ語で魚の棲まない川を意味するヤンケナイが語源の夕張川支流のヤリキレナイ)など、川の命名には様々な方式があるとのことです。
埼玉県旧妻沼町での四つ手網漁
 また、映画「フーテンの寅さん」第一話の冒頭で、寅さんが都心からではなく、江戸川を矢切りの渡しで超え柴又に帰ってくるシーンに触れ、名場面を演出する、川の持つ特別な意味についてもお話いただきました。
矢切の渡し
  日本の河川風景の特徴である「河原」についても、沼田藩の圧政に憤り、農民を救うため将軍綱吉に直訴、月夜野の河原で処刑された義民、杉木茂左衛門などを例に、その文化史上の意味についても解説いただきました。
  最後に、力士の四股名から、「○○川」が消えていったのは、海や山以上に河川をめぐる自然環境が荒廃してきたことの証であるとの問題提起をされ、故郷の誇りとしての川の復権に向けて、自然の回復や船運の復活などを通した人間と川の関係回復について提言をいただき、講演を終えました。写真は、当日の資料として提供いただいた30点の写真の一部です。                                                                                                        (幹事 稲)

2012年5月1日火曜日

上ノ原「入会の森」の口開け

4月12日13日の両日とも快晴に恵まれ、気温も25度くらいまで上がりました。
着いた時と帰る時では、新緑の芽も桜の開花も違うものでした。

 谷川岳と朝日連峰が見える景色は、作業の疲れを忘れます。
 この一週間で1mくらいあった雪が解けたので、雪解け水の量は多かったです。
 早稲田、中央、日大の学生、13名が来てくれて、作業が大変進みました。
 防火帯の除伐作業は、300mくらい進みました。
29日は古民家の片づけ組と、上ノ原の除伐組に分かれて作業を行いました。
最後は、古民家の前で一緒に食事をして帰ってきました。
あさかわ

2012年2月14日火曜日

茅葺き文化の継承とこれからの茅葺き

第三回東京楽習会開催

本年度第三回目の東京楽習会が、去る1月29日(日)午前10時より、中央区銀座の「銀座区民館」を会場に、会員会友他18名が参加して開催されました。講師には、日本茅葺き文化協会理事の上野弥智代さんをお迎えし、「茅葺き文化の継承とこれからの茅葺き」をテーマとして、全国の茅場や茅葺き民家の現況と課題について、現場の写真をたくさん用いながらお話をいただきました。

最初に、秋津洲(あきつしま)、豊葦原瑞穂国という日本の古称や、万葉集の「はたすすき尾花逆葺き黒木もち造れる室は万代までに」という歌を取り上げ、「草原の国」であった古代大和の自然の姿に思いを馳せながら、現代の日本において、ススキやヨシ、カリヤスなどの草原を茅場として保全している各地の活動を解説いただきました。その内容は多岐にわたり、すべて紹介することはできませんが、何れも地元の人々と民間のボランティアが協力しあい、火入れや茅刈り技術の継承や向上、そして安全管理体制についても理解をもとめながら取り組んでいる事例を紹介いただきました。

特に、筑波研究学園都市にある高エネルギー加速器研究機構の敷地内では、地下に巨大な加速器のある場所が茅場として管理されている事例は興味深いものでした。また、萱刈りの方法や技術もそれぞれ工夫がされており、町の鉄工所に発注して制作した簡単な構造の茅の結束機を活用している事例も紹介いただきました。

また、断熱材として上ノ原産の茅も活用されている会津若松の仮設住宅の状況も報告いただき、入居者からは「暖かくて過ごしやすい」という声もあがっているとのことです。

いよいよ今年は全国草原サミットがみなかみ町で開催されますが、茅場を保全しその活用をはかってゆくことが、豊かな文化の継承になることも確認できた有意義な楽習会となりました。                                  
(幹事・稲)