2015年5月30日土曜日

「五感を使おう」麗澤中樹木観察会を実施しました


  523日、柏市にある麗澤中学高等学校の中学1年生の樹木観察会を行いました。
これは、自分(ゆめ)プロジェクト活動の一環でとして学校側からの依頼で、7月に行われる「奥利根水源の森林フィールドワーク」とセットで毎年この時期にキャンパスの豊富な樹木を使い実施しているものです。
  今年の生徒数は145名、16から20名のグループ8グループに塾会員を主体としたインストラクター16名が担当しました。
  それぞれのインストラクターは1週間前に学園内の樹木を下見していましたが、この日の始発電車で駆けつけて下見をしたインストラクターもいました。
  この日は、天気も良く気温もそう高くなく野外活動には絶好の天候となり、観察会は広場に集まった生徒との対面式から始まりました。
 
 対面式の後、あらかじめ決められたイチョウやケヤキ、コブシ、ヒマラヤシーダー,カイノキの各グループの樹の下に集まります。 
対面式
                                                
以下は、あるグループの観察とインストラクションの項目です。

①グループの樹のイチョウを離れたところから眺めて樹高は30mであることを告げてからヒノキ   
 チップで五感の使い方を体感(特に、匂い、味)して森の香りの解説

②イチョウの大木の下で、樹の下はどんな気持になるか?、下から眺めた枝や葉の様子は?、触 
 る、大木に抱きつきほほや耳を当ててみてからイチョウについての解説。
③イチョウの下に落ちている雄花や銀杏、周りのシラカシやスギ、ヒノキなどの木の実を探す
④種から生えた、モミジ、イチョウ、ケヤキ、エノキなどの稚樹を見つけて、これが大きくなるのに必 
 要なものを考える。
⑤麗澤学園の校章であるマンリョウの花言葉「謙虚」「徳のある人」などの解説
⑥イロハモミジの葉やプロペラ状のタネで、カエデ科の特徴(メグスリノキで補足)を知ることやタネ
 の飛び方を想像して、樹は自分では動けないけど風や鳥を使って動き子孫を残そうとする知恵
 の解説。
⑦チャンチンで一枚の葉である羽状複葉のこと
⑧味覚を使ってみる(ヤブニッケイを食べて、シナモンであること、サンショウでも試して知っている 
  味であることを知る)
⑨あすなろ広場のテラスで休憩しながら「なぜ木の葉は緑なのか」の解説
⑩ホオノキの大きな葉で食器代わりに使う葉の条件の解説
⑪アカメガシワの葉や葉柄を見ながらパイオニアツリーの成長戦略と森の出来方の解説
⑫シナノキの翼果を観察して秋に風を使って散布される種をイメージする。
⑬イボタノキの白い花に群がるハナバチと落下した花弁の花粉を集めるアリの観察
⑭ヒノキの円盤で年輪と木の成長の仕方の解説
⑮学園内の林の中でも森林に近い状態の林に入り、足元の感触、落ち葉や土の様子、土の匂い 
 を嗅いで森林土壌のでき方、特徴を解説、みなかみではブナの森の土壌を観察することを予告
 
⑯ヤブツバキの葉を見ながら照葉樹の葉の特徴などを解説
⑰イチョウに帰って、樹高30mのてっぺんまで自然の力で水を吸い上げる樹の力のすごさを人間 
 が作るポンプに例えて解説
ここまでで約2時間20分が経過して観察はおわりました。
 
マンリョウの解説
 
ヤブツバキの解説

 
 以下はインストラクションに使った樹木の写真です。
 
グループの樹 イチョウ
 
イロハモミジのタネ

イチョウの稚樹
 
まだ赤い実が残っていたマンリョウ
 
ホオノキの葉
 
シナノキの翼果
 
様々な成長戦略をもつパイオニアツリーのアカメガシワ
 
土壌観察をした森林に近い林 

残りの時間は、広場でラワンのタネの模型をつくり、飛ばして遊びました。
その後、各クラス教室へ帰り、グループ毎に今日の観察で分かったことをまとめて発表しました。


グループでまとめ

 各グループのインストラクション内容は多少違っていると思いますが、生徒たちはどのグループも 
試験明けの解放感もあって積極的に取り組んでいたようです。
 7月のみなかみ町のフィールドワークでは、森林のことについて学び体験することになります。キャンパスでは五感を使って観察しましたがみなかみではそれにプラス1、第6感(心感、想像力)を働かせてほしいものです。



                 草野記
 

 
 
  
 
 

  
 
 
 
 

2015年5月26日火曜日

茅株植栽を実施しました

上ノ原のススキが衰退気味なことはたびたび話題にしていますが自然の成り行きなのか、何か原因があるのかその原因と対策はまだ見いだせていません。
 対策として、昨年から茅株の移植を行っています。防火帯にある茅株を掘り起し、ススキが後退しているところに伊勢神宮茅場の方法を御手本にして植栽することを試しています。
 昨年は16株ほど植栽したところ、活着はほぼ100%でしたが生育については移植したばかりでは成果はわかりません。
 今年は5月25日、20株ほどを昨年の植栽の間に高密度に植栽しました。
この一帯は野芝や雑草が増えているところです。何年か先、ススキが優先する状態にしたいものです。
この日の上ノ原は野焼きの後の生育の良い緑のススキと発芽がまだらな野焼きをしていない個所がはっきりとわかる風景で、ワラビが少し生えていました。
周囲ではミズキの白い花が真っ盛りでした。
 作業は、忙しい中、地元の吉野さんに手伝っていただき軽トラも提供していただきました。移植する茅株は、ゴルフ場管理棟の近くの防火帯の中の株をヤマグワで掘り起し、植栽箇所に運び、株に合わせて穴を掘り、土をかけ足で踏みつけます。
作業は1時間半ほどで済みました。植栽箇所には青いテープが張ってありますので上ノ原に行かれたらご覧ください。
私の頭の中では一面のススキになったイメージになっていますが、果たして・・・・


                                                    草野記  

野焼きの跡がくっきり
 
 
ヤマグワを使って
 
移植する茅株

植栽箇所

上ノ原はミズキの花盛り


 


      

2015年5月4日月曜日

2015野焼顛末記

2015年の野焼は、4月25日に実施されました。
 今年の冬は、厳しく、フィールドのある藤原上ノ原の積雪は記録をとりはじめてから新記録となりました。したがって雪解けも遅く、4月初旬の低温が続いたときには実施日の延期も考えました。
 しかし、5月初めの異常乾燥には2013年に中止に追い込まれたトラウマがあります。参加者の応募状況も順調で日程変更は気が進みません。長期予想によれば4月第3週当たりから平年並みの気温になるとの予想を信じ、除雪箇所を集中して行うことで可能との賭けにも似た判断で準備に取り掛かりました。
 したがって、除雪は昨年よりも日数、費用が多くなりましたが前日入りの4月24日には何とか実施できる状況となりました。幸いに天気は晴れが続くようです。
それでも、これまでの野焼に比べて小規模で迫力のない野焼になるだろうと予想していました。
 
 当日11:30、首都圏からの参加者45名に、みなかみ町長をはじめ、利根沼田森林管理署長など10名地元の協力者など8名、消防車と消防団6名が残雪が多い上ノ原に集まりました。
北山塾頭の仕切りで、「はじまりの会」、増井幹事の「野焼の効果」、今年1年の安全を祈って「山の口開け」神事を行い、参加者には野焼箇所のタニウツギなどの侵入木除伐を1時間ほどやってもらいました。

はじまりの式


1年の安全を祈って山の口開け神事


今年は消防車も来てくれました、ありがとうございます。




タニウツギの除伐に3歳も6歳も65歳も



 いよいよ、野焼本番ですが、当初は4か所の除雪エリアごとに参加者を配置し一斉に着火する予定でしたが、各エリアが狭いので順番にやっていこうとの北山塾頭のアイデアを受けて、手前のエリアから阿部聡一郎さんの指導の下、各エリアを全員で焼くことにしました。結果的にこれが功を奏して比較的迫力のある野焼ができ参加者も満足していたようです。

着火は14:10分 気温が高く、乾燥していたので、例年の野焼に劣らぬ、ススキがはじける音がして、白い煙が青い空に立ち昇り、野焼風も手伝い時には大きな炎が上がり参加者の「おお~」という歓声がたびたび上がります。
 残雪が多いおかげでエリアの周りはすべて白い雪、赤い炎、白い煙、真っ黒な焼跡、今年もこの野焼風景が楽しめました。鎮火は15:00。
 野焼エリアには、岐阜大学の津田研究室が温度計やカメラを設置してデータをとってもらい、その動画は夜の車座鋼材で披露され、迫力ある炎が再現さしました。

第一エリアに着火



温度計に火が迫る


煙でかすみ野焼らしい風景


凛々しいジェットシュター男


野焼風に火勢がまして


その日の宿は、吉野屋さん、除雪から送迎まで本当にお世話になりました。
夜は、岐阜大学大学院生でもある増井幹事の車座講座です。
タイトルは、「全国の野焼あれこれ」、北海道から阿蘇まで全国の野焼の目的と実態をパワーポイントや動画で紹介し解説してもらいました。昼間、焼を体験した参加者は野焼の意義ややり方について理解が深くなったようでした。そして、この日の野焼の動画の上映でカメラの保護ガラスが熱で割れるシーンの迫力に息をのんでいました。

今年の野焼の悩みは、例年より多い残雪です。上ノ原の周りも集落も期待していたスプリングエフェメラルの開花には早く、見るべきものがありません。2日目のプログラムをどうしようかと前日に北山さんと検討して、スキー場の中を通る道路から集落や山脈を眺め、青木沢集落まで歩くコースを急遽決めました。皆さんに満足いただけるかどうか心配でしたが、お天気に恵まれたこと、木々の芽吹に春の息吹が感じられたこと、雪が固くしまり、あまり体験できない堅雪歩きができたことで予想に反して好評でした。

スキー場ゲレンデからの集落と山脈の眺め

青木沢への下り道


青木沢集落では鯉のぼりが一同をむかえなど春の里山風景が楽しめ、立ち寄った諏訪神社では、エンレイソウとキクザキイチゲが出迎えてくれました。
 藤原には、その時その時で素晴らしいタカラがあります。知らない、感じないだけかもしれません。藤原再発見の2日間でした。

今年も、無事野焼が終わりました。津田先生からは「日本一安全な野焼」とのお墨付き?をいただきました。
 協力いただいた方々に心より感謝申し上げます。
これで今年もいい茅が育ち、人と生き物がにぎわう上ノ原になることでしょう。

                                文責 草野