2015年7月7日火曜日

自分(ゆめ)プロジェクトのお手伝い  麗澤中一年生 奥利根水源の森林フィールド・ワーク


7月3日、廣池学園麗澤中一年生の奥利根水源の森林フィールド・ワーク(以下FW)を実施しました。

 このFWは、自分(ゆめ)プロジェクト(後述)の学習プログラムとして、5月にキャンパス内で行う樹木観察会とともに学校の依頼により当塾がお手伝いしているものです。

今年の一年生は4クラス8グループ148人、生徒たちは、前日2日に藤原ダムで首都圏の

水がめである奥利根地域にあるダムの役割や水没した集落などの話を地元の林親男さんから聞いた後、宿泊し2日目の上ノ原・森林散策、草木クラフトを体験して3日目にまとめをする2泊3日の日程です。

一方、受け入れ側の塾関係者は首都圏から7人、地元インストラクター9人、計16人が二人一組で1グループ14人~20人を受け持ちます。

地元インストラクター6名と首都圏インストラクター7名は、前日、青木沢集落~芦の田峠~平出集落の森林散策路のインストラクションポイントや危険箇所等を把握のため下見を行いました。
この後、首都圏インストラクターとIターンのIさんは、草木クラフトの茅編み材料となる茅をスグリ、切断して束にする作業を行いました。この作業が意外と大変で夜なべも覚悟しましたが何とか夕食までには終わりこれで準備は整いました。
 
安全と説明ポイントを下見

茅スグリ

出来上がった茅編み材料


 

当日は、やはり梅雨空、降雨も覚悟しなければならないような天気の中、9時の対面式後、草木クラフト、森林散策、草原散策、雲越家住宅、諏訪神社見学とそれぞれのグループごとに最初の課題から取り組み、全行程を終了したのは16時、この間、小雨程度の降雨はあったものの事故もなく無事に終了しました。
対面式
 

以下、私が担当したA組2班、5号車組のフィールド・ワークの様子です。

このグループが最初に取り組んだのは草木クラフトです。これは、岡田さんのアイデアと経験からプログラムに採用されたもので、昨年は4種類のメニューでしたが、今年は、ススキのミニすだれを作る「茅編み」と木の葉をアクリル絵の具でエコバックに染める「木の葉の模様染」です。茅編みの生徒たちは「習字の筆巻き」にするといって真剣に取り組み、出来栄えもよく、木の葉の模様染の生徒はメグスリノキ、コハウチワカエデ、シダなどデザインを考えながら取組み、世界に一つだけしかないマイバックが出来上がりました。
 
木の葉の模様染め

茅編み

シダの葉をデザイン
完成まじかの筆巻き


 

そのあと、バス移動で雲越家住宅を見学、茅屋根の特徴や雲越仙太郎さんの自給自足の暮らしぶりの説明を聞きましたが生徒たちには囲炉裏から上がる煙が目に染みたようです。

囲炉裏の煙が歓迎してくれた雲越家住宅



このあとの上ノ原草原では、ヤマウルシや蜂などについて注意を受けたあと、樹木や草原に住む動物や昆虫の話を聞きながら散策、ここでは小雨が降りましたが濡れることもなく約1時間の散策で草原の生物が豊富であることや草原を維持するための野焼きや茅刈作業について説明しました。

昼食後の諏訪神社は、時間の都合でバスの中から見て、屋根に使われている茅が上ノ原産であること、夏のお祭りは獅子舞神楽の奉納で賑わうことなどの説明になりました。

森林散策は、木沢集落を出発、集落、森林、畑がある風景の中で「森林のいろいろな働き」の説明を受けたあと武尊川に向かって散策をはじめました。途中、オニグルミの実がなっている姿を見て、落ちた殻からわかる二ホンリスやアカネズミの食べ方の違いのなどを解説しました。

水量も多く流れる武尊川に架かっている橋が少し傾いていたことから用心しながら一人ずつ渡り、その緊張が残っている間に、森に降った雨の行方、森林の水源涵養機能の説明をしました。
 
武尊川の橋
 

芦の田峠に向かう間は、あたらしい伐採・植林地があって林業のことを説明する絶好の場所です。伐採は悪いことでなく、適正に計画的に伐採して木材を利用しまた植林する循環が大事なことにふれました。。

芦の田峠の道祖神の前で、しばし休憩を取り、この間、尾島さんによる「森林は大気を守る」と題して「地球温暖化と森林」について約25分の緑陰講座が行われました。
 
緑陰講座
 

生徒たちにはすべてを理解することは無理かもしれませんが、今、世界的な問題でもあり自分たちの暮らしぶりに直結しニュースなどで頻繁に見聞きする話題として地球温暖化問題と森林の二酸化炭素吸収固定機能について解説しました。ここでは、その原動力である光合成をおこなっている実物の森林を見ながら聞くことの効果を考えて少し長く時間をとりました。

ここからの道は下り坂、足が早まりますが、途中には、森林土壌を学ぶには絶好のブナ林があります。前日仕掛けた紙コップの土壌生物トラップは残念ながらかかっていませんでした。このトラップは工夫の余地があるようです。ここでは、森林土壌の状態、色や手触り、においをかがせてキヤンパスの林との違いと土壌動物の話や森林土壌の特徴が水源涵養機能を高めていることを説明しました。


ブナ林では土壌の話を

途中にある、フジヅルのブランコ、炭窯、カラマツ・スギの人工林を見ながら平出集落に到着です。この間、2時間、ゴールに着きでホッとしたところで最後に、森林や草原で何を見たかを生徒たちに聞き、それぞれがあげたものを生産者、消費者(一次・二次)、分解者に分け、森林の動植物が豊かで、それぞれがつながって森林生態系を作っていることを説明してプログラムを締めくくりました。
 
フジヅルのブランコ
 
今年の生徒は、問いかけによく答えていましたが、全体的に声が小さい、もっと元気を出してほしいものです。また、一部の女子生徒と男子生徒4人はいつも固まって行動していましたが後ろのほうで聞いていることが多く、積極性が感じられなかったのは残念です。

麗澤学園中学の「自分プロジェクト」は、

・大きな志を以て真理を探究し、高い品格と深い英知を備えた人物

・自然の恵みと先人の恩恵に感謝し、万物を慈しみ育てる心を有する人物

・自ら進んで義務と責任を果たし、国際社会に貢献できる人物

の人物像を目指し、1年生から3年間を通した学習プログラムで、

・1年生は「自分と自然の関係を学ぶ、(樹木や森に学ぶ)」

・2年生は「自分と国家の関係を学ぶ(熊野、伊勢、奈良、京都などを訪ねる)」

・3年生は「自分と世界の関係を学ぶ(英国、ニュージランドなど海外訪問)」となっています。

生徒たち(子供たち)は未来からの留学生です。彼らの未来での存分の活躍を願って、塾としても、キャンパスでの樹木観察会とFWのプログラムに改良を加えながら対応しています。

対応いただいた地元および首都圏のインストラクターの皆さんに感謝申し上げます。

                                                    草野 記

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