2016年10月24日月曜日

第11回全国草原サミット・シンポジウム(兵庫県新温泉町)参加報告


1015日~17日に兵庫県の新温泉町で開催された第11回全国草原サミット・シンポジウムに参加してきました。

15日は地元の草原、上山高原の現地見学会でした。上山高原も上ノ原と同じく一度は放置されていた草原で、広葉樹林やササ原になっていたところをすべて人力で切り倒し、今では37haの草原が再生されていました。花こそあまり見られなかったですが、一面にススキの穂が広がる光景はとてもきれいでした。また、丘の上に手作り感のある展望台が設置されており、そこから360度のパノラマが見渡せたのが印象的で、草原の魅力を引き出す施設だと思いました。


上山高原の展望台からの風景
 

16日はシンポジウムで、草原に関する基調講演や実践報告、保全や再生に向けての課題を議論する分科会、全体会などが行われました。印象的だったのは芸北茅プロジェクトの実践報告で、芸北中学校の生徒が学校や地域での教育活動を通して茅などの地域資源の利用を体験し、地域の経済活動に参加し、さらにそれを広めていくための仕組みづくりや広報活動に関わっているということを、生徒たちが自ら発表していて、会場の注目を集めていました。

午後に行われた分科会では、「地域の草原を維持する仕組みづくり」をテーマにした第2分科会で、地元で活動されている4団体の話題提供のあと、コメンテーターとして森林塾青水の活動の概要や担い手の確保について考えていることなどを少し話してきました。各団体それぞれの課題があり、共通解を見出すのは難しい話題ですが、意外だったのは、当日の議論の中ではおおむねどの団体も都市部(遠距離)からの参加は比較的あるけれど地元の参加を得ることに苦労しているということでした。そのあとの全体会では、他の3つの分科会(ジオパーク活動と教育と草原、草資源の農業・畜産への利用方法について、かやぶき文化の継承のための茅場の保全・再生)の結果と合わせて、議論のとりまとめが行われました。
17日は草原に関わる自治体の首長が集まる草原サミットが行われ、前日のシンポジウムの結果を踏まえて、上山高原宣言が合意されました。この中には、草原再生に向けた取り組みの支援や教育、文化、観光、産業振興等への自然資源の利用といったことのほか、草原の大切さのアピールのために全国草原100選を選定していくこと、そして、全国の草原を有する自治体が情報を共有し、新たな保全対策に向けて連携して行動していくために「全国草原自治体ネットワーク」を設立することが盛り込まれています。
全国草原サミット・シンポジウムで共有した情報や草原に関わる方々とのつながりを、上ノ原の草原、さらには全国の草原の保全、再生の取り組みに活かしていきたいですね。



全国草原サミット
 
                                          西村記
 
 

2016年10月2日日曜日

第3回車座講座 「藤原の動物と猟」


 森林塾青水では昨年から活動のあと、車座講座として、藤原の自然や暮らしに詳しい地元の方や草原・自然・植物に専門的な知識を持った会員からお話を聞く機会を設けております。昨年は6回、今年も2回実施しましたが皆さんに好評でした。

今年の第3回は、9月24日、「木馬道再生」作業の後、長年、藤原で猟に携わってこられた中島續さんにお願いしました。
 
 中島さんは、須田貝集落にお住まい、昭和19年生まれで、御年72歳、藤原では若手になるのでしょうが青年のころから猟をやっておられて動物の習性などにお詳しい方です。また、現在は畑で野菜など作っておられ續さんの野菜はおいしいと評判です。

この夜の宿は、民宿「並木山荘」。奇しくも中島さんはこの宿の先代である故吉野秀市さんの一番弟子とのこと、微笑む親方の写真の下での車座講座は藤原の猟師2代に渡る貴重な話が聞けました。
 
親方が過ごした部屋で「親方は厳しかったがいろいろなことを教わった」
 
 
 
 
 
いつものように草野がインタビュー形式でお聞きしました。
 
主な内容は 

1.中島さんのこれまでの経歴。

2.猟のことについて。
  ・猟に携われたきっかけ。 お師匠さんのこと。
  ・藤原の猟のやり方
   獲物、季節、猟をする地域、猟のやり方(鉄砲、罠、仲間の数、猟犬、野宿などの   
   行程、捕り方、解体・運び出しの方法
  ・とった獲物の処分方法
  ・1猟期の獲物と収益  これまで捕った動物の数は
  ・猟に出かけるときのおまじないや猟で特に気を付けたこと
 
 3.藤原の動物について
  ・藤原にはどんな動物がいるのか
  ・藤原の動物で増えているもの、減っているもの
  ・動物達にどんな思いをお持ちか
  ・最近は里に出てくるクマなどの話題が絶えないが何が変わったのか。
  ・熊に出会った場合どうすればいいのか

 4.須田貝集落について

詳細は、例によって伊賀さんが「聞き書き小冊子」にまとめていただきますが
 穴熊を撃つ方法、藤原のイノシシは「イノブタ」であるらしいこと、シカも本来の二ホンシカではない、子連れの熊には近づくな、新潟の猟師のことなどが印象に残っています。
 人柄から醸し出る人懐っこさ、藤原弁でひょうひょうと話される中島さん、動物の気持ちがわかるような気がする魅力的な人でした。

人なっこい魅力的な中島さん



                                            草野記