10月15日~17日に兵庫県の新温泉町で開催された第11回全国草原サミット・シンポジウムに参加してきました。
15日は地元の草原、上山高原の現地見学会でした。上山高原も上ノ原と同じく一度は放置されていた草原で、広葉樹林やササ原になっていたところをすべて人力で切り倒し、今では37haの草原が再生されていました。花こそあまり見られなかったですが、一面にススキの穂が広がる光景はとてもきれいでした。また、丘の上に手作り感のある展望台が設置されており、そこから360度のパノラマが見渡せたのが印象的で、草原の魅力を引き出す施設だと思いました。
上山高原の展望台からの風景 |
16日はシンポジウムで、草原に関する基調講演や実践報告、保全や再生に向けての課題を議論する分科会、全体会などが行われました。印象的だったのは芸北茅プロジェクトの実践報告で、芸北中学校の生徒が学校や地域での教育活動を通して茅などの地域資源の利用を体験し、地域の経済活動に参加し、さらにそれを広めていくための仕組みづくりや広報活動に関わっているということを、生徒たちが自ら発表していて、会場の注目を集めていました。
午後に行われた分科会では、「地域の草原を維持する仕組みづくり」をテーマにした第2分科会で、地元で活動されている4団体の話題提供のあと、コメンテーターとして森林塾青水の活動の概要や担い手の確保について考えていることなどを少し話してきました。各団体それぞれの課題があり、共通解を見出すのは難しい話題ですが、意外だったのは、当日の議論の中ではおおむねどの団体も都市部(遠距離)からの参加は比較的あるけれど地元の参加を得ることに苦労しているということでした。そのあとの全体会では、他の3つの分科会(ジオパーク活動と教育と草原、草資源の農業・畜産への利用方法について、かやぶき文化の継承のための茅場の保全・再生)の結果と合わせて、議論のとりまとめが行われました。
17日は草原に関わる自治体の首長が集まる草原サミットが行われ、前日のシンポジウムの結果を踏まえて、上山高原宣言が合意されました。この中には、草原再生に向けた取り組みの支援や教育、文化、観光、産業振興等への自然資源の利用といったことのほか、草原の大切さのアピールのために全国草原100選を選定していくこと、そして、全国の草原を有する自治体が情報を共有し、新たな保全対策に向けて連携して行動していくために「全国草原自治体ネットワーク」を設立することが盛り込まれています。
0 件のコメント:
コメントを投稿