2017年5月4日木曜日

今年の野焼きは雪との闘い=野焼顛末記=


 今年の野焼は429日、30日に行われました。昨年は80年ぶりの少雪で燃えすぎや飛び火など火との闘いでしたが、今年は一転、上ノ原は雪解けが遅く、残雪と不安定な天気との闘いでした【写真】。
雪解けが遅く、残雪が多い上ノ原
 
 
 
 従来通り機械除雪を行ったものの野焼面積が小さいことが予想されたため木粉炭融雪剤をまくなどの工夫(木粉炭の効果は実証されました【写真】)

融雪剤(木粉炭)を撒いたところは雪が融けている


をし、その後の気温上昇とお天道様の力に頼ったものの前日の28日に見た印象は「しょぼい野焼になるなー」でした。
 それでも野焼は茅場の保全に重要な作業、明日は、参加者58人(うち、エストニア国から外国人が3人、なによりも、今回は初参加者が23人もいる)、消防団や地元参加者を含めると75人がこの上ノ原に集う。何とかせねばとの思いが強くなりました。
 春になればただの水になるのに今は厄介な固形物の雪、藤原の人々の苦労とむなしさが今更ながら身に沁みます。この雪で、十郎太沢も隠れて落ち込む危険があるので沢周りにテープで標示する作業中に案の定2度ほど沢に転落する羽目に【写真】。

危険個所にテープ表示

 一度は人海戦術で除雪しようと試みましたが、効率が悪い。天気予報では、野焼本番の30日は、好天気だが、準備作業日の29日は降雨があるとのこと、除雪しても十分な乾きは期待できない。。
 除雪をしていると傾き始めた太陽の光を受けて照り輝く谷川岳が見られた。まるで氷河のようにぬめり輝いている。これだから上ノ原に来るのをやめられない。これもなにごとか(何者か)が造った風景【写真】。

一瞬見せた照り輝く谷川岳
 皆さんに楽しんでもらうプログラムとして今回はツイストパン(遊びパン)焼きをすることにしました。そのための炭火の野炉を2か所作り、その夜の夕食後に80人分のパン生地をつくりました。この作業は、藤岡夫妻に大活躍してもらいました【写真】。

前夜のパン生地づくり
 

 さて、翌日、不安的中、雲は低く気温も低い、不安定な天気になってしまいました。
 前夜、作ったパン生地が発酵しすぎないように雪の上に置いていたところ【写真】まんまとカラスの夫婦に20個ほど持っていかれました。
一人一個、丸めたパン生地


カラスの持っていかれて笑うしかない
 
藤岡夫妻はこの事態に落ち込んでいましたが稲さんからこのようなことは「御鳥喰式」といい、お供え物は「粢団子」(しどきだんご)といわれ安芸の宮島などで行われている大変めでたい神事とのこと。藤岡さんはそれに救われたようです。しかし、まだべとついていたパン生地、カラスさん喉に詰まりませんでしたか?

 参加者が集まり、昼食も終わり、はじまりの式と野焼きと一年の作業の安全を祈る「山の口開け」神事のあと、作業にかかろうとしたら雨が降ってきました。あまり強くはならない、短時間で止むとの一幸さんの観天望気を頼りに急遽、ツイストパンを焼いてもらうことにして、各自茅場に入りの野焼き区域を見てもらうとともに「おすすめはクロモジ、NGはヤマウルシ」との注意を聞いて、パン焼きに使う「木の棒」を取ってもらいました。
 みんなで炭火野炉を囲んでパン焼きで【写真】。やがて香ばしい香りが漂うようになると参加者の間に会話が生まれてきてにぎやかな状況になりました。狙い通りのコミュニケーションづくりになったようです。

区長さん、役場の課長も駆けつけていただきました


棒に着けて炭火で焼きます

こんがりキツネ色に、クロモジはいい香りがしました。


 その間もった天気も、作業に取り掛かろうとしたら強い雨、雷も鳴り始めたため、作業中止を決断、早めに宿に引き上げ、その後は宝川温泉などで時を過ごすことになりました。

 前夜は、初参加者のためにパワーポイントを使って塾の活動、野焼きの様子を上映、その後日付が変わるまでのお天気祭りが効いたのか、野焼本番の朝は天気は上々、気温も高く、早朝、上ノ原の現場調査では「昨日の雨の影響で乾きは充分でないものの着火時間を遅らしたら焼ける」と判断し、参加者には野焼面のススキを毛羽立てする作業をしてもらうことにしました。
 このことを4者協議で確認したのち、参加者に希望を聞き、毛羽立て、侵入木除去、茅場周辺散策の3班に分け、1時間半ほどの作業等に入りました【写真】。

毛羽立て作業

侵入木の除去

木馬道を散策


 作業が終わり、野焼きの開始は10時30分、今回は、可燃物の状況、周囲が残雪に囲まれていることから風上、斜面下部からの着火としました。
 ことしから新兵器が登場です。それは着火ガスバーナーと自前のジェットシューターです。これも東京ガス、セブンイレブンの助成金のおかげです【写真】。
ジェットシュター、名前は「ほたかくん」

 予想通り、可燃物も少なく、乾燥が十分でないため、迫力のない野焼となりましたが、Cブロックを約5000m2を焼き、野焼本来の目的は達成しました【写真】。

燃えはいまいちだが安全

ところによっては激しく
 
 
未黒野(すぐろの)
 初参加者には、イメージと違った野焼で欲求不満だったかも知れませんが何しろ茅場の保全作業は「自然との闘い」、いや、「折り合い」です。
こんな年もあります。残雪と天候に悩まされ気をもんだ野焼でした。

                                        草野記
 
  



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