2017年10月9日月曜日

土呂部草原で茅ボッチづくり  -継続はタカラを造る- 


塾の今年の第6回目の定例活動である「日光土呂部草原での茅ボッチづくり」を930日から101日に実施、12名が参加。
 東武日光駅に集合の後、レンタカーと自家用車で土呂部へ・・・。

季節は違うが今回で3回目の土呂部での活動である。宿舎の水芭蕉苑の前では日光茅ボッチの会の飯村代表をはじめ4人と秋の草花を盆花風に飾った目玉ボッチの出迎えを受ける。この花の中に大好きな花の一つであるリンドウを見つけた。飯村さんによるとカッパ(草地)にも咲いているとのこと、最後に野生のリンドウを見たのは10年以上も前、この花は青春の思い出の花でもある。
目玉ボッチと盆花が関係
 
 この日は気温が低く土呂部は初霜だったとのこと。これから木々の彩が鮮やかになっていく前触れだ。

 昼食後、飯村さんの植物などの解説を受けながらカッパに向かう。この日の作業はボッチづくり、ボッチの用途は上ノ原の茅屋根資材と違い牛の冬場の餌(刈干:カッポシ)であるからボッチの材料はススキだけでなくあらゆる草が混ざってもかまわないし、草丈も短いので比較的楽である。ただ、牛が食べるには硬いシラカバ、ハギ、ヤマナラシなどの木質系は除かなければならない。飯村さんによると牛は栽培した牧草より野生の草が混じった干し草の方の食べっぷりがよいとのこと。同じ種類で同じ味の食べ物を食べるよりいろいろな味のする草が栄養のバランスも良くおいしい、それに牛舎にいても厳しい寒さの冬場の餌として薬効などもある野草もまじっているので体に良いことを本能で知っているのだろう。以前、栽培種の牧草だけを食べている牛は流産率が高いと聞いたことがある。
 
 ボッチづくりの手順は、あらかじめ機械刈りした野草を集めて直径5寸ほどの束にまとめて下から1/3ぐらいより少し上ススキで縛り雑木を取り除く、これを5束つくりまとめて立てる、ボッチの腰のあたりで縛り、穂先も縛って出来上がり。ススキだけでなく雑多な草も一緒なのできれいな円錐形のボッチになりにくく、立ち姿も良くない。やっているうちにそれぞれの束は下だけでなく上の方も縛ってみたらまとまりがよく
きれいなボッチ姿になった。ひと手間多いがその後はこの方法を使った。
 
刈った草を鎌で集める
 
ボっチを立てる
 
立ち姿がきれいなボッチ

カッパのボッチ


山際と青空の境がくっきりとした素晴らしい秋晴れの中、遠くに佇む集落が見える風景の中のボッチづくりは楽しく、日光に来てよかった。他所のフィールドを経験することは自分のフィールドを見直し継続するチカラとなる。参加した仲間たちの満足げな顔もうれしい。

山際くっきり、青空、集落
 
ボッチのある風景①

ボッチのある風景②

ボッチづくりのすぐそばに野生のリンドウが咲き、作業が終わり、フィールドを案内してもらった歩道の脇でも見ることができた。幸せな気分になり一瞬、昔日にタイムトラベルしたような気分になり周りが見えなくなり一人の甘酸っぱい世界に。


リンドウ(なぜ大好きかはないしょ)
 

土呂部草原は植物、特に花の宝庫である。何気なく絶滅危惧種が咲いていて驚かされる。草原、湿地(水芭蕉園地)、森林、モザイク状の自然ということもあるがなにより草原などを利用する作業が営々と続けられたことが生物多様性の保全につながっている。まさに「継続はタカラを造る」である。今回出会った草花、カラハナソウ(ホップ)、ナベナ、コウリンカ、ウメバチソウ、アケボノソウ、アキノキリンソウ、リンドウなどはその一部である。
ウメバチソウ
 
カラハナソウ(K子さんが料理を思案中)
 
 
まだ残っていたアケボノソウ

説明を追加
 
コウリンカ

 


1日目の作業終了(皆さんいい笑顔です)
民宿水芭蕉苑は居心地がいい。食事は地元料理でおいしい。おかげで交流会も大盛り上がった。

2日目は、早起きして散策、お目当ては今年栃木県で初めて確認された「クロイタヤ」である。この朝も放射冷却で霜が降り、朝霧が気温上昇ととも湧き上がる景色を楽しみながらの散策となった。「クロイタヤ」は「カジカエデ」と間違いそうなカエデである。よく見ればその違いは明らかであるがちょっと違うぞと気づかれた茅ボッチの会の観察力に頭が下がる。おかげで初めてクロイタヤを見ることができた。
左カジカエデ(切れ込みが直線的)、、右クロビイタヤ(切れ込み鋭角))

タネ(羽が水平)

樹皮(黒く亀裂が多い)


 

クロイタヤのある場所は沼地や河川の近くの水分の多いところ。沼から霧が湧きたつ景色に感動しながらの散策となった。  
 
            ”朝霧に 仲間の声も 湧き上がる”

クロビイタヤのある沼の幻想的な朝もや
 

朝食後は、昨日続きの茅ボッチづくり、かなり捗ったので途中、機械刈りをして追加することに。

作業終了後、大滝を見て、地そばで昼食をして、来年はワラビのころに訪れようかとの声を残して土呂部をあとにした。

2日目の作業終了

                                            草野記


0 件のコメント:

コメントを投稿