2017年9月4日月曜日

玉原のブナ平と藤原の獅子舞


92日(土)~3日(日)の定例活動「玉原高原ブナ平&藤原諏訪神社例大祭」は森林文化協会との協力企画として、青水の活動拠点である群馬県みなかみ町藤原と、そこに隣接する同県沼田市の玉原高原とで実施しました。会員限定の企画としましたが、計17人の参加を得ました。

  初日は、集合場所のJR上毛高原駅から果樹園の集まる沼田市郊外を通って玉原高原へ。玉原湖のダムサイトを見学した後に玉原高原へ。センターハウス前の駐車場(標高約1170m)で昼食を済ませてから、ブナ平(標高約1300m)との間を往復し、関東隋一と言われるブナ林を堪能しました。ブナ林は奥利根水源の森などでも見てきましたが、高木層にはブナのほかミズナラやカエデ類が混生していることがほとんどです。一方、こちらのブナ平はブナの優占度が高いのが特徴的でした。戦前から戦中にかけて国の事業としてブナが大量に伐採されましたが、その後の約70年余りは残ったブナが伐採されることなく生育したのが現在のブナ平です。曲がったブナは3mを超す積雪に耐えて生きてきた証しでしょうし、樹齢300年を超えるようなブナはかつて「悪い木」と判断されて伐採を免れたものなのでしょう。大きなブナには、ツキノワグマの爪痕やニホンミツバチの営巣跡が見られ、ブナと動物たちとの深い関わりを感じることができました。


関東隋一と言われる玉原高原ブナ平のブナ林

 

ただ、ブナ平の林床はほぼ一面がチシマザサ(ネマガリダケ)に覆われ、ブナの世代交代は必ずしもうまくいっていないようです。そのためNPO法人「玉原高原の自然を守り育てる会」が利根沼田森林管理署から入林許可を得て、調査や植樹に取り組んでおられます。この日は同会の活動日に当たっていたため、ブナの木の下にシードトラップを設置しての結実量調査の様子や、植樹後の成育状況などを見学させていただく機会を得ました。
 

ブナの木の結実量を調べるため、シードトラップ用の網を設置する人たち
 

 宿泊したのは、東京大学玉原国際セミナーハウスです。環境保全のために一般車の通行が認められていないエリアにあるため、センターハウスから20分程歩いて到着しました。群馬県産の樹齢約80年のカラマツをふんだんに利用して1988年に完成した大型木造建築です。
 
玉原越え出発前
 

 
 2日目は朝8時から、かつて藤原の人々が沼田市街地への往来に使ったと言われる「玉原越え」のルートを、藤原湖畔まで下りました。冷涼な地域の北向き斜面で、途中からは沢沿いをたどる道です。かつて植林されたスギの状態はあまり芳しくない様子でしたが、オヒョウやキハダ、サワグルミ、カツラなど普段の藤原での活動では目にすることの少ない木々を観察しながら歩きました。昔の人たちは、この道を使って馬に背負わせた炭俵を運んだそうですし、嫁入りや奉公のために娘さんや子どもたちが歩いたのかもしれません。そんな過去の生活に思いを馳せながらの2時間余りでしたが、標高差約600mを下りるためにかなり急傾斜の場所もあって、緊張感も伴ったトレッキングとなりました。

玉原越えの森にはさまざまな木々が育っている
 
 
道の荒れた場所は、浮き石などに注意しながら歩いた
 
 
標高差約600mを下った玉原越えもあと少しだ


 

 そして到着した湖畔の県道(長沢橋バス停付近)で迎えの車を移動させてくれたドライバー陣と合流し、10時半過ぎには例大祭の開かれている諏訪神社に到着しました。伝統の獅子舞のほか、ダンスや歌といったパフォーマンスが次々に披露され、気に入った演目には観客席からたくさんのおひねりが飛んでいました。
 
今年の当番は上区、移住者の初舞台も実現
 
 
日頃からお世話になっている藤原の人たちとの交流をしばし楽しんだ後に神社を離れ、帰路の途中で「そば処 一水」の細めながらしっかりしたこしのある蕎麦に舌鼓を打ってから、上毛高原駅へと戻りました。
 
                                          米山記

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