2017年11月27日月曜日

茅出し 車座講座 ・・藤原の愛らしい動物たちを撮り続けて・・・


7時半からは、宿舎である「関ヶ原」の大広間に参加者が集い、車座講座。今日の講師は茅風通信「ホットショット」コーナーでお馴染み、地元て酒屋を営んでいる中村智子さん。

中村さんは10年ほど前からプロの写真家の指導をうけ、野鳥や動物の写真を撮りはじめたということです。その腕前は今やプロ級。犬の散歩の折にもいつも望遠レンズを装着した一眼レフカメラを持ち歩き、ここぞという現場に遭遇すると、連写機能を巧みに使って、一瞬を逃すまいと毎日とり続けています。

最近増えてきたカワウの憎たらしい姿、ハヤブサの勇壮な姿、テンのカメラポーズ写真、熊の親子連れ、人間が繁殖させた猪と豚の合いの子の雪中の突進、そして都会にいると目にすることのない野鳥の写真など、沢山披露してくれました。ブログや茅風通信では、その一部しか紹介できないのが残念で
す。  
 
車座講座の様子

モニターに移して説明、画面はハヤブサ


カメラ目線のテン

矢木沢ダムに集合し渡りの準備をするイワツバメ

マヒワ(冬鳥)

ミズキのみを啄むエゾビタキ(旅鳥)

                                     (稲 記)


このほか、なか村さんから頂いた写真から愛らしい野鳥、動物の表情を選んでみました。                                        (草野)
 
カエルをサンショウの枝に刺して「はやにえ」にしょうとしているモズ

里に下りてきたカモシカの親子

巣で寄り添うノスリの幼鳥

羽を広げて飛び立とうとするオオルリ(夏鳥)

胸毛が鮮やかなキビタキのオス(夏鳥)

アトリ(冬鳥)2017.11撮影

 

 

2017年11月25日土曜日

茅出し2017 ・・雪の中、嫁ぎゆくボッチ・・

 今年最後の塾の活動はボッチを運び出す作業「茅出し」である。
上ノ原茅場には、10月に雨の中でボランティアが刈った茅ボッチ約80ボッチとその後、藤原の茅刈衆である雲越萬枝さんと渡辺勇三さんが刈ったボッチ364ボッチの総数444ボッチ(2220束)立っているはずである。参加人数は19人、一人当たり20+αとなる計算、今年は茅刈衆が少なくなったことや天候に恵まれず昨年の3865束の6割程度、過去最大であった2015年の5060束の4割程度である。
 今回も天気は芳しくなく両日とも雨または雪の予報である。好天気の前日に倉庫の片づけをした3人が上ノ原に行くと萬枝さんが自ら茅出しをしていた。刈った茅の6割ぐらいはすでに出され、残りは初日で終わること確実である。天気を心配した茅刈衆の配慮に感謝である。
 低い雲がたれる中、集まった参加者に、明日は雨が確実なので今日一日でそれも2時間ぐらいで終わり残りの時間で茅刈ができるように頑張ってほしいとお願いして作業にかかってもらった。
 茅出しは重労働であるがなぜか人気のある作業である。熟年者にはかなりきついが皆さん喜々としてやってくれる。
ボっチを倒し縛る

共同作業で縛る

熟年のチカラ

若者の力


予定通り2時間もかからず茅出しは終わった。
 残りの時間を使って茅刈をやってもらうことにして10人ほどが刈ったので10ボッチは増えているはずである。最終的な束数は明日、町田工業のトラックに積んだときにわかる。この日も町田工業からトラックが来て1回分を中之条に運んだ。
 早めに作業を終了して、今夕の宿の関ヶ原へ。冷えた体をお風呂で温め、天然マイタケを添えた夕食に一同満足。
 今夜の車座講座は、地元の写真愛好家の中村智子さん。たくさんの鳥や動物の写真を見ながらの車座講座については別途ブログで。
 夜半になると雪が舞い、朝方は吹雪模様で道路も冠雪、3cm程度であるが集落は雪に包まれいよいよ冬がの雰囲気、宿の芳江さんに根雪になるかと聞くとまだまだとのこと。早朝、車を出し上ノ原に行ってみると雪景色の草原に変わっていた。それでも車の通行には支障がなく、少し青空も見えてきたので町田社長と連絡を取り、作業段取りを整える。まずは県道の側溝整備である。これは群馬県との一年間の約束事であり今回が最終回の3回目である。

雪の中県道のボランティ活動
次に上ノ原でのボッチの積み込み作業の手伝い、そして山之口終いとすることにした。
雪だるま登場

 雪景色の中の積み込み作業、下から持ち上げる人、上で受け取る人、人海戦術の積み込み作業も終わり町田社長の祭司で十二様の前で山之口終い神事を挙行。
 今年の作業が無事に終わったこと、自然の恵みで沢山の茅の収穫できたこと、四季折々の素晴らしい景色を創り見せていただいたことに感謝して柏手を打った。
積み込み

積込み


十二様


安全と収穫に感謝


 刈り取った茅束は暫定値であるが490ボッチ(2450束)、これに昨年のストック茅75ボッチ(375束)の合計565ボッチ(2825束)が中之条の町田工業に嫁いで、所沢にある国の重要文化財の修復用の一部に使われる予定とのこと、いずれ嫁ぎ先を訪れてみようと思った。
 このうち茅刈衆が刈った茅を除いた191ボッチ(955束)の代金約5.5万円が来年の地域通貨ボッチ券の原資となる。
 トラックが出発するとき、自然の恵みと野焼きなどボランティアの手塩にかけたススキ娘(スス生娘)に「お役に立てよ」と願い、演歌の「娘よ」を鼻水をすすりながら歌って送った。

嫁ぎゆく茅ボッチ

雪の中の作業も楽しかった

 雪の中の昼食はつらいので宿で取らせてもらうことになっており、おいしいカレーが待っていておかわりをする人もいて鍋はたちまち空になってしまった(宿の事情が許せばこの方式もいい)。
 この後今回のつらい仕事に参加してくれたお礼として配布した200ボッチと今回の刈ったボッチ数に応じて配布したボッチ券を手に農産物直売所に・・・。
直売場の賑わい

 直売所では4,5人のご婦人方がお茶、栗おこわ、花マメ、山菜料理を用意して待っていてくれた。朝採れ野菜や名産花マメ、手芸品を買い求める参加者でお祭り騒ぎとなった。もちろんボッチ券以上の買い物である。たくさんのサービス品もあってまるで爆買いツアー。このような集落の人々との交流や農産物の販売促進がボッチ券導入のねらいの一つであったがこれは今年の大収穫である。

                            
                            草野記
                            写真提供 清水
   
 

2017年11月12日日曜日

麗澤中FWまとめを指導して ーきらりと光る感性発見ー

麗澤中1年生のFWの様子はすでにブログに載せていますが、その続報です。

 このFWの最終日(10月27日)に生徒たちはまとめをしました。
 まとめには、携わったインストラクターも参加して指導することになっていて従来は塾から参加するのですが、今年は日程の都合で、「草原であそぼう」を指導した藤岡さんに参加してもらいました。その藤岡さんの報告です。
 このまとめ、ややもすると事前にネットなどで調べたダムや森林の働きなどをまとめる生徒が少なからずいます。事前の調べは悪いことではありませんが、ネットで調べたことと実際に見て、聞いて、体験して、触れたことは大きく違うはずです。インストラクターもそのように指導するよう心がけていますし、プログラムも改良しています。まとめでは、事前調べをもとにしてもいいが感じたことを自分の感性と言葉でまとめるてくれたらいいなーと考えています。毎年そのような「きらりと光る」まとめ方をする生徒を見てはいますがおおかたは事前に調べたことにこだわってしまいがちです。
草原からハガキを出そう

触れる葉っぱの音の違いに気付くとは!!
「見えない上ノ原」

デザインも素晴らしい


 ところが藤岡さんが感じた今年のまとめで、素晴らしい感性でまとめた生徒が多かったようです。
 例えば、①茅刈からビッチの作り方をイラストにした生徒②茅刈の様子(茅を使って縛るむつかしい作業を上手にやった生徒③それを観察して凄いと感心した生徒④茅編みの時自分なりの掛け声を考案してやった生徒⑤水、森林、ダムがつながって自分たちの生活を支えていることを気付き相関図にした生徒⑥見えない上ノ原で、葉によって違う音、臭いの変化を感じた生徒など素晴らしい気付きをしていたようです。

茅刈~ボッチの作り方をイラストに

森林とダムなどの相関図



 中には、「普段の生活では経験できないこと」「水の大切さがわかった」「ダムは大事」「草原にしかないものがある」など具体的でない感想もあったようですが藤岡さんが「どんな体験をした?」{冷たかった?」「怖かった?」「何があった?」などと突っ込んで指導してくれたようです。

 また、草原であそぼうでは、あらかじめ与えた遊びだけでなくボッチ隠れ鬼ごっこや草原の黒ボクの地面を掘って遺跡発掘を試みたようです。この二人は何を発見したのでしょうか。

茅ボッチの中での鬼ごっこ


この土の黒さには何かありそうだぞ


 このような感想や発想があったことを聞いてやりがいを感じています。

                          報告 藤岡和子 文責 草野

2017年11月3日金曜日

麗澤中1年生が錦秋の上ノ原で茅刈などの自然環境学習

 10月26日、柏市にある中高一貫教育の学校法人廣池学園麗澤中学・高等学校の中学1年生148名が藤原上ノ原で奥利根水源の森林フィールドワークを行った。
このフィールドワーク((以下FW)は毎年実施しているが昨年から10月の紅葉の時期の茅刈シーズンに行っている。
 彼らとは5月に麗澤学園のキャンパスで樹木観察会で会っているが、5か月後に再会してみると、身体も大きくなったが顔つきもたくましくなって充実した学校生活を過ごしていることがわかる。
対面式

 昨日はかなりな雨が降り、前日入りした塾のメンバーは雨に濡れながらの準備作業で大変な思いをしているが、この日は青空が広がり、今朝の初霜にも拘らず比較的暖かい気温である。上ノ原の草紅葉、周囲の山々の紅葉は真っ盛りで、「このような素晴らしい天気と紅葉風景の中でFWができる君たちは幸せだ、この日に設定した学校に感謝しなさい」と彼らに言った言葉は大げさではない。

素晴らしい青空と錦秋の上ノ原が関係

 今回、前日入りしたスタッフが用意したメニューは様々な工夫が凝らしてある。
 まずはメインである「茅刈」、1グループ15から18人を4組に分け、協力して茅を刈り1ボッチを作るのが目標である。手鎌を初めて握る生徒もいるので藤原の古老衆とスタッフが念入りに事前の安全指導、茅刈、ボッチの作り方を教え、つきっきりで見守る中での茅刈である。 後で生徒に聞いたところ「茅刈」は面白かったとの感想であった。自分で鎌を使い、仲間と協働して一つのものが出来上がるのが良かったのだろう。

茅刈に挑戦

協力してボッチを作る

ボッチが青空に映えて



 メニュー2は、、「茅編み」である。スタッフが昨年の茅をスグリ、切断して用意したものを紐で編んでミニすだれを作る茅クラフトである。茅編み器も駒(紐を撒いた錘)も手作りである。何しろ148人が各人一枚作るのでその材料と駒の準備が大変でスタッフは前夜、夜なべしている(岡田さんの自宅での準備がなければ昨夜のうちに終わっていなかっただろう)。
茅編み

茅編み器 駒を使って編む


 メニュー3は、雲越家住宅、諏訪神社を見学して上ノ原の屋根茅の使い方を実際に見てもらう。
 メニュー4は、茅場とミズナラ林の散策である。十郎太の泉から「ははその泉」を経て木馬道、炭窯と回るコースをメインとしたがこのコーナーで遅れを取り戻すための時間調整に使ったたま案内時間が短くなってしまった。それでも、茅場の成り立ち、樹木たちの子孫を残すための様々な知恵、茅場とミズナラ林にいる動物達、生物多様性の大切さ、薬などに使われる役に立つ樹木、地球温暖化防止に貢献する森林、伐採は悪いことかなどをそれぞれふさわしい場所で解説した。各グループにこれらをすべて解説したわけではないが「ははその泉」で全グループに、天然水を飲んで触ってもらい、この水がここの湧き出るまで何年かかっているかをデーターを与え計算させ、雨水が森林土壌の中をゆっくりしみ込んゆくこと、これが森林の水源かん養であり、だから冷たくきれいでおいしい水であることを実感させる。そして、今飲んだ水は、山頂に8年前に降った雨、そのとき君たちは何歳だった?昨日の雨は8年後にここに湧いてくる。その時君たちは何歳かと問いかけた。



草原からミズナラ林へ

ははその泉で



 メニュー5は、「草原であそぼう」と題する基本は自由時間としているが、藤岡さんと尾島さんがユニークな遊びを用意してくれた。ススキを使った「茅飛ばし」がその一つ。
単純な遊びであるが、茅の切り方などで飛び方が違うことがわかりよく飛ぶような工夫をする生徒もいたようだ。
茅飛ばし

 もう一つ、草原や森林で見つけた葉っぱなどをハガキに張りお父さんやお母さん、先生、友達に出そうというもの。はがきは 自分が自宅に帰ってから着くことになるがそれが家庭でFWの話題になるだろう。
上ノ原だよりを作る

 そして今回の人気メニューとなった「目隠しトレイル」。
草原にロープを張り、タオルなどで目隠して、ロープを伝わって歩く仕掛けである。
目隠ししているので、地面の凹凸に足を取られる、ススキや灌木が体に触れるなどの自然そのもののサプライズがある。そのたびに嬌声があがる。ほんの短い距離であるがゴールまでの時間が長く感じられるのだろう。私も試してみたが目が見えないことの不安、不自由さを身をもって体感できて何気ない灌木の感触も違う。新たな魅力的なメニューの誕生である。

こわいよ~ 目隠しトレイル 

 今回もケガもなく無事にFWを終え生徒たちも楽しんでくれたようです。塾スタッフ、お手伝いいただいた藤原の古老衆奥利根水源ネットワークの皆さんのに感謝です。
 準備の大変さなどを考えると「茅編み」の採用に改善しなければならないところもありますが毎年少しづつよくしていきましょう。

錦秋の上ノ原とボッチ