2020年11月14日土曜日

自然の恵みをいただいて草紅葉と紅葉の茅場にボッチの林立する風景が・・・

 コロナ禍の中で青水は、緊張感を保ちながら活動を続けています。

今年度3回目となる活動は、茅場の保全活動の中で収穫の歓びが味わえる「茅刈」です。1031日、その歓びを味わうべく33名の参加者が上ノ原に集まりました。うち初参加者が6名と森林塾青水の知名度も高くなったようです。

 例年、まだ青いススキが多い中で刈って品質を落としていた反省から今年は 1週間ほど伸ばしてみましたが、今年のススキの生育は夏の天候不順の影響か、穂付きが悪く、雲越萬枝師匠は「この56年で一番悪い」とおっしゃっていました。確かに穂が小さく、ふさふさした穂を持つ例年のススキではありません。

                   

(穂が少ないススキとカラマツ林)

 

ススキの花は、花粉を風で運んで受粉させる風媒花なので受粉率は低く、その分群生して大量に花粉を生産します。

稲作の稲は、一か所にまとめて栽培され上に自家受粉が可能なので受粉率は90%にもなります。同じイネ科であるススキは同花受粉出来ないのでその受粉率は3割程度。受粉時期が終わると綿毛が出来て種を遠くまで飛ばします。受粉出来なかった種は飛ばないので種が残りふさふさした晩秋のススキの状態になるとされています。

今年の上ノ原のススキはふさふさした尾花が少なく、穂が貧弱です。専門家でない素人の推測ですが、受粉時期の天候の影響でなく、花の生育そのものが不良で、少ない花でも一生懸命受粉し、受粉出来なかった種が少なかったためふさふさの種が残っていないのではないだろうか。天候など気まぐれな自然環境を受け入れその中で精一杯子孫を残すために努力した結果だろうとなんだか愛おしくなり、いつかその時期に観察してみたくなりました。

さて、その茅刈、まずまずの天候で紅葉も見頃の中、まずは藤原茅刈衆の雲越萬枝師匠による一同を集めての茅刈講習です。

師匠の指導のポイントは、①茅の穂が出ていて、群生して育ちのいいところを狙い、そこに向かって刈進む。②刈る前にオミナエシ、ハギ、ヨモギなどの雑草(ゴミ)をあらかじめ取り除いておく。③刈るときは抱え狩り(稲刈りのようなつかみ狩りでは能率は上がらない)④二抱え(個人差あり)ぐらいで一束にして、ほかのやわらかそうな茅で縛る(縛り方の説明は難しいので省く)。⑤縛る場所は根から穂を除く全長の6割の高さで縛る。⑥束が一つでも自立できなきゃダメ。⑦5束を一ボッチにするとき丈夫そうな束を傾斜の下の方に置き、傾斜の上から抱きかかえて同じ束の茅(身内)をクロスさせて前で結ぶ。⑧穂のところも身内結び。⑨最後に各束を少し広げて安定させる。以上であるがこれは文章で説明するのは難しい。実際に見てやってみるしかない。この講習を受けて、参加者はそれぞれ散らばって茅刈。塾のスタッフの同行や、見回ってアドバイスしました。


(抱え刈り)


 
(身内の茅でクロスして縛る)

(穂先も縛る。茅出しではこれを持って曳きだす)
(穂先も縛る。茅出しではこれを持って曳きだす)

(理想的なボッチ)

(ススキ草原の草紅葉とミズナラ林の紅葉)

3時の休憩時には、会員の岡田さんの野点、内野さんの手作り饅頭が振舞われました。茅刈終了後には内野さんによるハーモニカ―が演奏され晩秋の草原に郷愁を誘うメロディーが流れていました。


 

(内野さんの手作り饅頭)
 
 今年も刈ったボッチ数に応じて飲水思源地域通貨「ボッチ券」200ボッチ券(日本円200円に相当)を還元することにしました。
(ボッチ券)

その数は2日間で85枚が配布されました。ボッチ券は、お米、大根、ヤーコン、手作りグッズなどの地元産物が買える仕組みで、2日目に藤原の野菜農家が上ノ原まで移動販売に来てくれて大賑わいでした。


(藤原の野菜農家の移動販売)

今回の宿泊はGo-Toトラベルでサンバードホテルとしたことも例年と違った取り組みです。温泉で疲れたからだを癒し、夕食の後の交流会では初参加の方の話題提供を中心に行われました。

2日目は、茅刈検定に6名が挑戦しました。茅刈検定は、2010年から始めて今年で5回目、これまで12名の茅刈士補が誕生している。検定時間は1時間、安全・茅刈の基礎技術、技術向上、高度技術、ボッチ数など17項目がチェックされる。今年は残念ながら茅刈士補は出ませんでした。


(鎌研ぎからチェック)

(受検者と検定者と記録者)

(受検者は飲水思源手拭帽子を着用)

(検定で出来たボッチ)

(ボッチづくり)

その後、茅刈を続け、昼食前の1時間ぐらいを「ゆるぶの森」の散策を行いました。このように作業後、あるいは作業と組み合わせて森を散策するための森林アメニティ―施設として遊歩道や座観場所を整備した森で、素晴らしい天然の色を見せつける紅葉と落ち葉の踏みしめ音を楽しみました。


(ゆるぶの森の座観場所で瞑想)

(カエデの黄色がまぶしい)

今年も自然の恵みをいただき、ボッチが林立する紅葉と草紅葉の上ノ原草原の風景(自然と人間の行為のマッチング)を見ることができました。

(ボッチの立つ茅場)

参加者一同が上ノ原を去ったと、8名が残留し古民家に合宿して113日まで茅刈を続けました。そして、その夜、上ノ原に降雪がありススキが寝てしまって茅刈がしにくくなったと萬枝師匠から報告を受けました。いよいよ冬到来です。     (草野記)


113日夜から初雪)
 

 

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