2014年2月14日金曜日

見事に林立する氷筍:大自然の造形美の極み! -厳冬の「大幽洞窟」事前探訪レポート-

2月11日〜12日、古高さん(のらえもん代表)と藤原入り。3月催行の「大幽洞窟(おおゆうどうくつ)」かんじきトレッキングの下見をかね、シルバーコンビで白銀の世界を満喫しようとの魂胆。

11日正午過ぎ、吉野屋の一幸さんの車で上ノ原まで送ってもらう。眼前に、抜けるような青空と白銀の世界が広がる。そこに、雪山遊びの若人たちの姿。見事なカラー・コントラストだ。(写真左)







早速、持参のかんじきにはき替えて出発。先行のスノーシュー組によって径が踏みならされていて歩きやすい。カラマツ林の梢の辺りから野鳥の囀り。寒気をついて耳に届く響きが心地よい。緩やかな上りをしばらく行くと、幽かにせせらぎの音が聞こえてくる。大幽沢と手小屋沢川の合流地点だ。(写真左) 

鳥の囀りとせせらぎの響きに、かんじきで雪を踏む音が混じる。大自然を舞台にした静かな合唱!少しずつ傾斜がきつくなって、最後の百㍍弱がちょっと手ごわい急坂。もう少しの頑張りと一気に登りつめる。眼前に現れたのは、まるで狩猟民族の住居跡かと思わせるような石窟。(写真左)



入口まで近づいて中をのぞき見ると、期待にたがわぬ見事な氷筍(ひょうじゅん)が林立。差し込む冬の日差しにキラキラと輝いている。(写真左)
後から上がってきた一行から「これまで見た中で一番きれい」と歓声があがる。聞けば、「いつも、大寒から今頃にかけて毎年見に来ている」由。腰かけて一服。用意周到の古高さんから「熱いの一杯どうぞ」とコーヒーカップ。これが何とホットウイスキー。一生の思い出になるほど旨かった!

帰路は下りなので余裕で、樹間から遠望する谷川岳や朝日岳の雄姿を堪能。(写真下)先行組が作ってくれた尻ぞりコースの直滑降を楽しんだりしながら童心に帰るのであった。


以下は、視察行を踏まえた参考情報・アドバイス。
道標看板によれば片道1,850㍍。往路は休憩なしで1時間15分、復路は同45分。
最後の急坂対策も兼ねて、かんじき+ストック併用をお勧め。
小学校低学年以下の児童には厳しいのでは。上ノ原で雪合戦、ソリ遊び、などお勧め。
大人も子供も必携は、靴底用ホカロンとサングラス。温度計、冬芽観察用のルーペ、カメラなども携行すると楽しさ倍増。
以上(2014.2.13、清水記)

2014年2月13日木曜日

2013年度第2回東京楽習会「小貝川の野焼きを体験する」を開催

  第2回東京楽習会を1月25日(土)に実施しました。今回の学習会は、利根川支流の小貝川河畔(茨城県常総市)で行われている野焼きへの参加です。

  小貝川の野焼きは、昨年の学習会でお世話になった茨城県自然博物館の小幡和男先生をはじめ、植物生態学の研究者である西廣淳先生(東邦大学準教授)、津田智先生(岐阜大学準教授)が地元の「水海道自然友の会」と協力し、河畔に生育するノウルシやヒメアマナ、タチスミレなどの希少植物の保全などを目的に、十年ほど前から実施しているものです。

  当日は常総線の水海道駅に清水塾長以下八名が集合、増井幹事の道案内で九時過ぎに河川敷の野焼き現場に到着しました。すでに百名近いボランティアや研究者、学生など関係者が集まっており、私たちも他の参加者と一緒に野焼きと植生との関わりや、野焼きに合せて実施する温度測定実験などについての話を伺いました。

  かつて、自然界の様々な植物は、人間社会によって様々な形で利用されていました。川原に生育するオギやヨシなども、屋根葺材や飼料、肥料として伐採されてきましたが、そうした自然生態系に対する人為的撹乱が、日照や温度の変化によってある種の植物が発芽し生育する条件をつくり、生物の多様性が保持されてきたということです。
  
しかし、社会の近代化によって草原の維持にも必要な人為的撹乱が行われなくなった結果、ヒメアマナやタチスミレなどの草原に生える植物が絶滅危惧種となってしまいました。小貝川の野焼きは、そうした植物の保全や、実際に野焼きが生態系に及ぼす効果などを調査する目的をもって実施されているものです。
火入れ作業前の説明

     
 この日野焼きを実施したのは小貝川右岸の三カ所で、それぞれ草地の様子も異なりますが、三日前の降雪の影響で若干地面が湿っていたこともあり、燃え具合は例年より時間がかかったようです。ただ、三年振りに火入れをした最後の現場は、比較的よく燃えたとのことでした。終了は予定の十一時半から午後一時に延びましたが、青水から参加の八名は、全員三カ所の野焼きが終了するまで、熊手などを使って防火帯の整備にあたりながら、小貝川における野焼きの実際を学びました。
   



一か所目の現場





    
二か所目 手前から時計回りに火をいれていきました
三か所目 林内の枯草に火入れをしました






















測定器具について説明する津田先生


 また、津田先生の研究グループによって、地中及び地上の温度変化を計測する装置が最初の現場に設置され、温度の測定が行われましたが、測定データは整理の上、後日、茨城県自然博物館のウェブサイトで公開されるとのことです。
 現場は水海道駅から徒歩十分程度の河畔で、これからヒメアマナやタチスミレなどの生育状況の観察会も出来ればと思います。
(稲 記) 

2014年2月2日日曜日

乙女高原フォーラム2014

 
 1月26日午後、毎年この時期に開催されている山梨市と乙女高原ファンクラブの共催による乙女高原フォーラムに参加しました。
始まる前に司会の山梨市観光課長を植原さんに紹介してもらい、草原サミット開催や阿蘇のサミットへの参加を要請しました。阿蘇は遠いですねという反応でした。
  最初に乙女高原ファンクラブの年間活動の報告があり、その中で一番気になったのは、部分的にシカ柵を設けて柵の中と外を比較した調査で、外側は草が少なくなっている写真を見せられました。フォーラムの最後でもメンバーの方々が、10年前と今ではハナの咲き方が全然違うとのことです。改めて、草原でのシカの害を痛感しました。

 その後に研究発表として、2年間乙女高原に通い詰めた、麻布大学や野生動物学研究室4年の加古さんから「乙女高原における花と虫のリンク」の発表がありました。昆虫が林と草原の花のどちらに多く集まるかという研究で、草原の花に集まるのが圧倒的に多いという結果でした。


メインの講演は、大分県久住にお住まいの足立高行さんによる『テンの目に写る乙女高原の自然』。ファンクラブがテンの糞を7年間に渡って採集してきたものを、今回のゲストの足立さんのもとに送り、糞の中身を分析してもらいました。糞の中身からテンの食べ物が分かり、テンがいつ、なにを食べているかを知ることで、テンが暮らす乙女高原の自然を知ることです。足立さんは乙女高原には行ったことがないそうですが、こんな状況だろうという見解を話してくれました。テンは、ノネズミとサルナシを主に食べていることがわかりました。それ以外にもいろんなものを食べる雑食のようです。

 活動報告でも紹介されましたが、昨年末に「乙女高原大百科」を出版されました。10年間のメルマガを整理してまとめられたものです。今回のテンの糞や、花と昆虫など、長い時間かけての調査等、常日頃の積み重ねがとても大事なことだなあと改めて感じました。
(あさかわ)

朝霧高原茅葺き体験


 1月25日午後から昨年、日本茅葺き文化協会のフォーラムが行なわれた富士宮市朝霧高原で、朝霧活性化委員会/富士教育訓練センター/東京農業大学オープンカレッジの共同主催による、茅葺き体験が行なわれました。参加メンバーは地区外14名、地元あさぎり隊が14名、以外と若い女性が多いのにびっくりしました。講師は朝霧高原で茅刈りをおこない、地元のメンバーを指導している、富士河口湖町の茅葺き職人の杉嵜さん。以前、私は日本茅葺文化協会のフォーラムで同じ部屋になり親しくなった方です。研修の場所は、富士教育訓練センターの敷地内の作業所の中でした。茅葺きは、地域や職人によりやり方や名称が違いますが、杉嵜さんの師匠は、なにも教えてくれないので、見て体で覚えたようです。 
  最初に12月に刈った茅を「すぐり」という作業をおこないました。片手で持てるくらいのススキを鎌で葉を下から60cm位のところに上から下に集めて、集めたら今度は逆に鎌を上に払って葉を除きます。それを全部で9たば集めて、1束にします。すぐりの作業は、本当は職人が行なう作業ということで大切な作業です。すぐりをした茅は、軒先や大事なところに使うそうです。
 最後に、茅をたたく道具や指刺す道具の説明をしてくれました。ほとんどの道具は職人さんが手作りでつくり、自分にあった道具にしあげるそうです。その後、教室に移りスライドで茅葺きの段階を説明されましたが、一般の方には少し難しい内容かもしれません。やはり現物で説明されないとわからないみたいです。
 18時から場所を「ふもっぱら」というキャンプ場の食堂に変えて、懇親会。始まる前に今回の仕掛人である富士山観光まちづくり研究所の岸野さんと杉嵜さんに朝霧高原をフィールドに富士宮市で草原サミットを開催してみないか、今年は阿蘇で草原サミットをおこなうので、行政や委員会のメンバーと参加してみないかと話しました。朝霧活性化委員会に話をしていただけるようです。




 26日は念願の茅葺き実習です。人数が多いので4名4グループに分けて、段階的に作業を行いました。事前に軒先の化粧茅を葺いてあり、最初のグループはその上にのべ(葉が着いている茅)を敷きます。ススキがまっすぐになるように10cm程度の厚さになるように押さえます。その次のグループが、軒先からのべを葺き、次のグループが、すぐりの茅を軒先から上に並べ畳ひもで仮止めし、次に横に細い竹(ここではおじゃまという)を下から60cm位のところに設け、下の竹と結び締めます。この時の簡単に良く締まる結び方をを皆さん練習しました。これを繰り返して、上の方に葺いていきます。
 
 野焼きは4月中旬におこなわれるそうです。