2014年2月13日木曜日

2013年度第2回東京楽習会「小貝川の野焼きを体験する」を開催

  第2回東京楽習会を1月25日(土)に実施しました。今回の学習会は、利根川支流の小貝川河畔(茨城県常総市)で行われている野焼きへの参加です。

  小貝川の野焼きは、昨年の学習会でお世話になった茨城県自然博物館の小幡和男先生をはじめ、植物生態学の研究者である西廣淳先生(東邦大学準教授)、津田智先生(岐阜大学準教授)が地元の「水海道自然友の会」と協力し、河畔に生育するノウルシやヒメアマナ、タチスミレなどの希少植物の保全などを目的に、十年ほど前から実施しているものです。

  当日は常総線の水海道駅に清水塾長以下八名が集合、増井幹事の道案内で九時過ぎに河川敷の野焼き現場に到着しました。すでに百名近いボランティアや研究者、学生など関係者が集まっており、私たちも他の参加者と一緒に野焼きと植生との関わりや、野焼きに合せて実施する温度測定実験などについての話を伺いました。

  かつて、自然界の様々な植物は、人間社会によって様々な形で利用されていました。川原に生育するオギやヨシなども、屋根葺材や飼料、肥料として伐採されてきましたが、そうした自然生態系に対する人為的撹乱が、日照や温度の変化によってある種の植物が発芽し生育する条件をつくり、生物の多様性が保持されてきたということです。
  
しかし、社会の近代化によって草原の維持にも必要な人為的撹乱が行われなくなった結果、ヒメアマナやタチスミレなどの草原に生える植物が絶滅危惧種となってしまいました。小貝川の野焼きは、そうした植物の保全や、実際に野焼きが生態系に及ぼす効果などを調査する目的をもって実施されているものです。
火入れ作業前の説明

     
 この日野焼きを実施したのは小貝川右岸の三カ所で、それぞれ草地の様子も異なりますが、三日前の降雪の影響で若干地面が湿っていたこともあり、燃え具合は例年より時間がかかったようです。ただ、三年振りに火入れをした最後の現場は、比較的よく燃えたとのことでした。終了は予定の十一時半から午後一時に延びましたが、青水から参加の八名は、全員三カ所の野焼きが終了するまで、熊手などを使って防火帯の整備にあたりながら、小貝川における野焼きの実際を学びました。
   



一か所目の現場





    
二か所目 手前から時計回りに火をいれていきました
三か所目 林内の枯草に火入れをしました






















測定器具について説明する津田先生


 また、津田先生の研究グループによって、地中及び地上の温度変化を計測する装置が最初の現場に設置され、温度の測定が行われましたが、測定データは整理の上、後日、茨城県自然博物館のウェブサイトで公開されるとのことです。
 現場は水海道駅から徒歩十分程度の河畔で、これからヒメアマナやタチスミレなどの生育状況の観察会も出来ればと思います。
(稲 記) 

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