2015年10月28日水曜日

2015活動報告 茅刈り 木枯らし1号の中に立つ目玉茅ボッチ君登場

 2015年度の茅刈りは、102425日、日光茅ボッチの会のIさんをはじめ首都圏参加者26名、町田工業から3名、地元古老3名、町役場担当者の総勢31名が参加しました。

 初日は、日が射す温かい気温となり、昨年が目を見張るほどの紅葉だったのが今年は季節が1週間ほど早いようで、やや劣るものの色鮮やかな歓迎ぶりでした。もう一つ歓迎してくれたのは尾花の綿毛が飛び始めたススキ、今年はススキの生育状態は例年に比べて良いように感じたので、町田社長や村の古老にも聞いたところ同様な感想でした。ただ、雑草の繁茂も激しく、オオヤマボクチ増えているのが目立ちます。さらに歓迎してくれたのは北山塾頭などが企画した「お散歩マルシエ」。いわゆるスタンプラリーで、登録料500円で藤原の名所を回り、スタンプを4個集めると明川の新米1Kgがもらえます。素晴らしい景色や文化財を堪能し地域の人に触れ、おいしいお土産付のGood ideaです。(https://www.facebook.com/soudamusa?ref=stream)参加者のほぼ全員が登録しました。

スタンプは、上ノ原にも2個、お地蔵さんや、湧水個所、民宿にもおいてあり、民宿などでは手作りのうどんや、おはぎ、コーヒ、ケーキが楽しめます(有料)。前日入りした私たちは民宿名倉でキノコうどんとおはぎをいただきました。亭主やおかみさんとのよもやま話も楽しく、藤原の観光関係者総がかりの「おもてなし」を感じました。

 

お散歩マルシェで焼きおにぎり

 

始まりの式で、古老の一人から「明日はヤマセが吹き雨になるので今日が勝負」との観天望気が出て一同びっくり(気象台の天気予報では夜のうちに雨が降り明日も晴れ)、

気合を入れての茅刈りとなりました。

 今年は、作った茅ボッチに目玉や帽子をかぶせるなどして、ボッチを擬人化する遊びを取り入れてみました。ボッチを広場まで運び、目玉やハロウイン衣装などを着けた茅ボッチのユーモラスな恰好が好評。お散歩マルシェで上ノ原を訪れる人々を歓迎するアートとしても役に立ったようです。


目玉付き 武尊眺める 茅ボッチ

 

お散歩マルシェ参加者を歓迎します

 

 

 

 今宵の宿は「とんち」。例によって豪勢な夕食をいただいた後は「第5回車座講座:最後の茅刈職人さんに聞く藤原の茅葺と生活」です。語り部は、塾の発足当時からお世話になっている藤原最後の茅葺職人阿部惣一郎さん。

 惣一郎さんは様々な山仕事を経験され、生活用具の手作り、藤原の郷土料理の再現など豊富な知識と技術を持った方です。例によって草野が質問し、参加者からも随時質問を受ける形で進めました。その内容は、藤原最後の屋根茅葺はいつで、村人はどんなふうに係わったのか。屋根茅葺の段取りは。費用の工面は、惣一郎さんお師匠は。いい茅の条件は。など、そのほか、青水に対する思いなどを語っていただきました。

 藤原の屋根茅葺は、集落ごとに茅場があり、葺き替えをしなければならない順番の家を決め、労力や食糧などを出しあい集落総出でやったようです。相互扶助いわゆる「結」で、自分が受けた食糧や労力などは帳面につけていたそうです。ここでも藤原の住民力が発揮されようです。

この席には、みなかみ町岸町長に出席していただき、挨拶後、惣一郎さんの語りを一緒に聞いていただきました。お忙しい中ありがとうございました。

茅はな~・・♪ 惣一郎節 

 

この夜、かなり激しい雨が降り、気温も下がり風も強くなってきました。木枯らし1号が吹いたのです。朝4時に外を除くと星空。どうやら天気は良い方にズレたようです。風のおかげで地面も乾いて茅刈りができると判断して早起きが出来た7人は、奥利根水源の森林へドライブ。

ブナはブラウンの葉をつけ、道路は木枯らし1号が落としたおびただしい落ち葉、気温はおそらく3度程度、雪が舞い、山頂は初冠雪。

おびただしい落ち葉が栄養となる

 

 

2日目の作業も茅刈り。初冠雪の武尊山をバックに約25人が従事しました。

私も、茅刈り検定希望者がいなかったことから広場の奥の茅丈が高いところに入り黙々と茅刈りです。

尾花振り スキスキススキ 迎えたる

 

刈り出さないと富栄養化になってしまいススキは良く育たないんだよなーと思いながら刈っていると、Oさんが連れてきたKちゃん(6)Sちゃん(3)姉弟の声が聞こえてきました。この光景と声はどこかで見て聞いたがする・・・と忘れていた記憶がよみがえりました。私が小学校に入る前、保育園や幼稚園などなかったわが故郷の田舎では、子供は大人と一緒に野良仕事に連れていかれ畑や山で遊んですごしました。私は祖母に連れられて茅場に行ったことがあり、時々祖母とはぐれ泣きながら呼んだものです。

歓声・泣き声・笑い声

 


 祖母が駆け寄ってきたときに見せた何とも言えない笑顔を思い出しました。今、森の幼稚園や保育園が流行っていますが昔はそれが当たり前だったのです。


k・sちゃん姉弟も茅場で駆け回ったこととお祖母さんのやさしい笑顔の記憶が残って大人になってから懐かしく思い出すでしょう。

 


 

来年は麗澤中1年生がここで茅刈りを体験することを検討しています。茅場は子供たちの情操を養う場としても役に立ちます。

 

拙句    泣いて呼ぶ 孫を看とめて 茅を刈る

    茅深し 子らを探して 鎌休む

 

 今回の活動のテーマは、「ススキを刈って世に出そう」です。屋根茅は不足しています。ススキは草原で風景として私たちを楽しませてくれますが世に出せば第2の人生(茅生)として役に立ちます。できる限り多く品質の良いものを出したいものです。

 

 そこで、「茅スグリ」をして付加価値を高めてみようと道具を手作りして試してみました。http://commonf.blogspot.jp/2015/10/blog-post.html

惣一郎さんに鎌の柄を使った茅葺職人のスグリの方法を教えてもらいながら試行しましたところこの道具使えそうです。11月、3月の活動で本格的に茅スグリをやることにします。

茅スグリ手本

 

 今回の活動で作った茅ボッチは2日間で88ボッチ(440束)です。これらと古老たちがこの日以降刈るボッチを1114,15日に運び出します。

木枯らしに 耐えて踏ん張れ 茅ボッチ

 

 
今年もたくさんの笑顔を見られました

 

 草野記


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