2016年7月23日土曜日

防火帯切りに参加して


7月9日、10日と防火帯切り(刈払い)に参加した。

9日は午後、雨中にコートを着て、10日は暑熱の中で午前中、自分はよく目立つオレンジ色のつなぎをまとっての作業だ。9日は4人が、10日は7人が参加。
 プロの写真家夏目さんが指導する、雨に濡れた上ノ原の撮影会にも大いに関心があったものの、汗をかいた後のビールのうま味の誘惑が勝っての刈払い参加だった。
 久しぶりの刈払い機、エンジンの調子はすこぶる良し。草野塾長から聞いた、刈払い機取り扱いの注意~機械は、岩などに当たったとき我身に向かってキックバックしないように右手から左手へ、足はすり足で小またに、ブレード(刃)に植物がからまったときは必ずエンジンを止めてから取る、肩から上に機械を持ち上げないなど~を頭に浮かべながら、管理道の中央辺りから十郎太沢を右手に自動車道に向かって刈下る。
1日目雨の中の刈り払い
 
 雨が結構降り続ける。平地でのススキだけの刈り払いは、刈払い機を左から右に半転するだけで比較的楽だけれど、土地の不規則なうねりとタニウツギなどの樹木があると、機械を持上げたり、脚・腰の力加減をその都度変えねばならず、また、繁茂した草の中の岩にガツンとぶつかって、ブレード(刃)が右方向に反転して血圧が上昇するなど、結構体力を費消する。上り坂の場合は残り株を比較的短く切れてやったぁ!感があるけれど、下り坂は少ない力で刈払い機を操作できるので、どちらかというと下り坂が多い方がありがたい。
久しぶりの刈払機
 
 途中で混合油が切れる。注油はふたりの方が楽だ。刈払い機を地上に降ろすと、油容器の注入口が水平にならず満タンにし難い。刈払い機を斜めにすると入れやすい。このとき、ふたりいると協力しあえる。次に、始動の紐を引っ張って始動をかけるが、一発起動がなかなか難しい。エンジンの調子が良くても、始動ボタンをオンにし忘れたり、チョークを引きすぎたりと、はじめのうちはなかなか思うように動いてくれず、刈払い機に近づくのにやや腰がひけてしまう要因のように思える。立木などの赤いリボンを目印に刈り進んだが、塾長からの注意が飛ぶ。林縁部に沿って刈っているわけだから、林縁部寄りを刈るのが当然なのに、何を血迷ったか中央寄りが刈られていた。老人力発揮の1シーン。、刈り手に何か伝えたいときは、「枯れ木などを近くに投げて気づかせる」と聞いていたが、夢中で刈っていると目の前にでも物が飛んでこないかぎり気づかない。今回は甲高いホイッスルの音で、塾長に気づく。2日間の刈払いで、ゴルフ場近辺から独尊山登山道近辺の管理道までの半月形の防火帯が完成する。2日目のたくさんの参加者のおかげだ。数は力なり、を実感する。
すっかりベテランの域に


3年目ともなるとお手のもの
 

 
1日目の終了時達成感あり
 
全くの初心者だがすぐに慣れて

2日目終了時

 
初日、風呂上がりのビールはうまかった。
刈払い機の事前手入れ、赤いリボンによるコース案内など、草野塾長ありがとうございました。

                         (川端英雄記)

 

 

 

2016年7月16日土曜日

7月活動報告 ー写真の奥深さを学んだ1日ー

2016年の7月の活動では「上ノ原の賑わい撮影会」を初めて企画・実施しました。
米山さんの報告に車座講座の分を追記しての実施報告です。      草野


7月9日(土)の日中には、藤原在住のプロカメラマン、夏目さんの指導を受ける「上ノ原の賑わい撮影会」を開きました。あいにく雨のそぼ降る中でしたので生き物たちの賑わいは期待に及びませんでしたが、上ノ原のススキ草原からミズナラ林を巡るコースを歩きながら約3時間にわたって、3人の参加者へ写真撮影の基本を教えていただくことができました。夜には、引き続き夏目さんによる写真撮影講座が約2時間にわたって開かれ、撮影会に参加できなかった人たちも加わって、写真の奥深さを学びました。充実した指導の内容に参加者からは、「カメラの機能を全然使っていなかった」「もっと考えて写真を撮ろうと思った」など、今後の写真撮影に向けての意欲に満ちた声があふれていました。

 

指導された内容のポイントを、いくつか以下に記しておきますので、ご参考に。

①撮影に当たっては、写真の構図をよく考えることが大切です。

・狙った被写体を中心に置いた「日の丸写真」はできるだけ避けましょう。被写体の位置を上下左右にずらすことで、印象の違う写真になります。ピントを中央で合わせるカメラが多いですが、狙った被写体にピントを合わせた半押し状態でカメラを動かせば、ピントの合った被写体を中央からずらすことができます。

 

・狙った被写体だけを撮るのではなく、その手前や奥のものも写し込むことで、写真に立体感を生み出すことができます。1枚の写真の中に、何層かにわたる被写体が写った構図も考えてみましょう。

 

②撮影の際は常に露出補正を意識しましょう。

・白や黄色の花など、白っぽい被写体はそのまま写すと色が飛びがちになります。カメラには露出補正機能が付いています。これをマイナス側に補正してから写すと効果的です。

・逆に黒いもの、影になった部分などを映す際にはプラス側に補正すると良いでしょう。

③条件を変えながら、たくさん撮影し、できるだけその場で確認しましょう。

・撮影した画像を液晶画面で確認することは、多くの人がやっています。構図や露出は写真のイメージを大きく変えます。どういう状態が適切かは、撮影した画像を見ないと、なかなか判断できません。条件を変えながら、たくさん写してその場で見て、自分なりのノウハウを身に付けていきましょう。フィルム写真の時代はお金もかかるし、現像しないと画像を見ることができませんでした。でもデジカメ写真なら、それができます。

・その際には、再生画面で狙った被写体を拡大して見て、きちんとピントが合っているかどうかも確認しましょう。色や明暗の調整は、後から画像処理ソフトですることもできますが、ピントの調整は後からではできません。確認してピントが合っていなければ、その場で撮り直せばいいのです。

④望遠をうまく使ってスナップ写真を撮ろう。

・人物と背景を合わせたスナップ写真を撮るような場合、背景の大きさに合わせると人物が小さくなってしまいがちです。そんな時は望遠レンズ(光学ズームでも可)を使えば、人物に対して背景が迫ったような形の写真を撮ることができます。圧縮効果と呼ばれるものです。

⑤光をうまく使いましょう。

・写真は、光が正面から当たっている順光で撮るのがよく、逆光で撮ってはいけないと思っていませんか。夏目さんはむしろ、逆光で撮ることを心がけているそうです。

・順光は被写体がどちらかと言えば平板になりがちです。それに対して、逆光では輪郭がくっきりするといった効果が得られたり、少し光を通す木の葉などは透過光による美しい効果が得られます。

・森の中の明るい場所をスポット的に利用して構図を考えることで、魅力的な写真を撮ることもできます。

 

⑥カメラの絞りとシャッター速度、そして感度も意識してみましょう。

・カメラをオート設定にしておくと、カメラがこれらを決めて、適正露出と判断した状態で撮影されます。しかし露出以外にも、絞りは被写界深度に、シャッター速度は被写体の動きの有無に、感度は画質の粗さに関連してきます。よりハイレベルな撮影を目指すなら、カメラを絞り優先やシャッター速度優先などの設定で使うことにより、適正露出の中でも、さまざまな撮影の工夫ができます。

 

写真説明

1)「上ノ原の水守地蔵」。地蔵だけを中央に置いて撮影するより、地蔵を少し上にずらし、ぼけてはいても植物の葉を手前に入れたことで、奥行きを感じさせる写真になりました。
 

2)「雨の山道」。手前に濡れた落ち葉、中ほどに傘をさした人物、奥に霧にけぶる木々という、3層構造を意識して撮影しました。
 
 

3と4)「トリアシショウマの花」。3は露出を自動設定のまま撮影。4はマイナス側に露出補正して撮影。4の方が白い花はくっきりと見えます。
 


 
 

5)「ヒメシジミの雨宿り」。逆光気味に撮ることで、透過光により美しく写し出された葉の裏に潜む蝶の姿が浮かび上がりました。
 

6)「森のステージ」。下を覆う草と、上からかぶさる木とがつくった緑のトンネルの向こうに、光が当たって少し明るくなった場所を見つけました。そこに立った人物を撮ってみると、印象的な写真になりました。


                                             以上、米山記

 その日の夕食後、ロッジ「たかね」の食堂のテレビモニターを使って昼間に撮った写真を題材に夏目さんの評価・改善すべきポイントなどを解説する車座講座を実施しました。カメラ・写真の基本も交えてサンプルを使ったわかりやすい解説は目から鱗でした。最後の写真はそれを踏まえて
ヤマアジサイを草野が撮ってみました。写真は奥が深いですね。

テレビモニターを使って解説
 
印象的な写真にするのは・・・
 
影が映ってしまいましたね!!

                                 
                                              草野追記
 

2016年7月6日水曜日

土呂部の草原を訪ねて


2016618日、森林塾青水の一行は、いつもの上ノ原の草原ではなく、栃木県日光市(旧栗山村)土呂部の草原で汗を流していた。これは昨年から始まった流域連携活動の一環として、同じ関東地域で草原保全活動を実施している「日光茅ボッチの会」の活動をお手伝いするために企画されたイベントであり、後で聞いた話だが、先着12名の募集はすぐに予約で埋まってしまうほどの人気イベントであったという。

参加者のほとんどが土曜日の朝一番に首都圏を脱出し、東武鬼怒川線で鬼怒川温泉駅へ。都心から電車1本(約1400円)で気軽に行けるのも魅力の一つだろう。駅へ到着したのは10時過ぎ、それからレンタカーで小一時間、ようやく日光茅ボッチの会が管理する土呂部集落の草原にたどり着いた。目の前に見える草原は上ノ原の草原よりは少し狭く感じた。しかし、関東地域に草原があることがすでに奇跡的な現在、わずかでも草原が残されていることに私はとても気分が高揚した。昼食を食べ、早速お手伝いを開始する。この草原は、上ノ原のフィールドと同様にしばらく放置され森林化がわずかに進んでいた場所もあるため、草原の中に樹木の侵入がみられた。また、シカの食害も深刻らしく、その対策のため、電気柵が草原の周囲に張られていた。そこで、森林塾のメンバーは日光茅ボッチの会のメンバーと手分けして、侵入樹木の伐採、散策路の整備、電気柵の周辺の草刈り等を行うことになった。私は電気柵周辺の草刈りをしたのだが、電気柵の総延長は1km以上あり、2手に分かれたとはいえ、なかなかの距離があり夜のビールを美味しくさせるには十分な距離であった。この長い電気柵を設置し、電気柵に伸びた草が触れることの無いように(電気柵に草が触れると、電気が逃げてしまうため)約10日に1回のペースで草刈りを行っているという日光茅ボッチの会の活動力には頭が下がる思いがした。
 
電気柵下の草刈と点検補修
 
 
 
2~3時間ほどの作業後には、どこから出てきたのか、冷たく冷えた缶ビールを振舞ってもらった。聞くと、草原の端に湧水地があり、そこで冷やしていたとのことであった。この湧水地は「カッパ(刈場)の泉」と言うらしく、次の日に見に行くと、綺麗に整備された湧水地があり、コップが置いてあった。水を飲むと上ノ原の水に負けず劣らずキリッと冷えた美味しい水であった。
 
刈場(カッパ)の泉
 

夜はお待ちかねの懇親会、ビールだけではなく、地域の人が持ち寄ってくれたどぶろくを飲みながらの懇談となった。日光茅ボッチの会の皆さんは、自然が好きというのもさることながら、茅ボッチの会の会長さんの飯村さんのファンが多く、飯村さんのソフトな人当たりや熱心さが草原を守る力になっていることを実感した。

次の日は少し離れた別の草原の見学に行った。そこには上ノ原のフィールドにはない“以前から見たかった憧れの高貴な花”やフナバラソウという全国的にも絶滅が危惧されている植物がちょうど開花しており、それらを見させてもらうことができた。おそらく10年ほど前までは、もっとたくさんの場所で見られたであろうそれらの花は、数年前にはわずか数個体となっていたが、日光茅ボッチの会の尽力により、個体数を少しずつ回復しているという。また、ニッコウキスゲやヤマトキソウ等の植物も花を咲かせており、初夏の草原に色を添えていた。

イベントの最後には美味しい手打ちそばが待っていた。草原からわずか車で3分くらいの場所にある「お食事処 大滝」は天ざるそばが絶品であった。山菜と地元産の岩魚の天ぷらが盛られて、お蕎麦もボリュームたっぷり、さらに100円で大盛にできるというコスパの良さであった。12日という短い時間であったが土呂部の美しい草原、そこに咲く花や、それを守る人の良さに触れることができたとても楽しい活動となった。みなさんもぜひ来年こそは参加してみては?

※写真は日光茅ボッチの会Facebookより引用しました。https://www.facebook.com/kayabotti/

 

‐上ノ原の草原と土呂部の草原の違い‐

上ノ原と土呂部の草原は直線距離にして約43kmしか離れていません。でも、ずいぶんと違った印象をうけました。そこでフィールドを訪れて気づいた点を挙げておきます。次回の散策の参考になれば嬉しいです。

■管理の履歴について

上ノ原の草原は約40年前に放置。土呂部の草原は現在まで草刈りが継続。特に10年ほど前までは広範囲で草刈りが行われていた。

■かつての管理方法について

上ノ原は集落の入会地という形でみんなで使っていた。土呂部は草原が短冊状に区画分けされ、個人が使う範囲が決まっていた。

■草原を放置した際の侵入木について

上ノ原はタニウツギがたくさん。土呂部の草原にはタニウツギは侵入していない(そもそも分布しない)その代わり、シラカバやヤマナラシが多く侵入。

■二次林の違いについて

上ノ原はミズナラ林。土呂部はクリが多く、次いでコナラが多い印象。上ノ原と標高もさほど変わらないが、ミズナラは少ない。

■草原について

上ノ原はススキが優占。土呂部は上ノ原に比べススキの密度が低くワラビが多い。特に毎年草刈りをしているところはワラビが多く、草丈や草の密度も低い印象。土呂部の草原にはフナバラソウやニッコウキスゲ、ホタルサイコ、セイタカトウヒレンをはじめとして上ノ原には見られない草原性植物が豊富な印象。

■雪について

上ノ原は2mを超える年がほとんど。土呂部は寒いが雪はあまり積もらない。積もっても40~50cm程。
 
                                                  増井記

 

 

2016年7月2日土曜日

全国草原再生ネットワーク第10回総会

 青水の上部団体ともいえる草原再生ネットワーク(以下ネットワーク)の10周年記念事業「全国草原シンポジウム2016 in 東京」が行われた翌日、ネットワークの総会が東京八重洲口で行われ出席しました。
 詳細はネットワークのニュースレター等で報告されることでしょうが、2015事業報告、2016年度の事業計画が議論され、その中で特筆べきものは次の通りです。

①2016のシンポジウムサミットは兵庫県新温泉町(夢千代日記で有名な湯原温泉)上山高原で10月15~16日に開催されます。青水からも若手を派遣する予定です。

②草原が所在する市町村ネットワークの構築を積極的に支援する
設立は11月頃が目途になり、阿蘇郡の市町村が主導する形となるようです。
これが実現すれば、市町村の連携で活動が全国展開されて草原再生への理解が進み草原100選や草原カード事業も促進されることになるでしょう。みなかみ町もこの仲間に入ってくれるでしょう。

③草原再生活動の中心を担っている阿蘇地方の草原や担い手が熊本地震とその後の豪雨で甚  大な被害を受けて、野焼きが実施できないところもあるようです。

④役員の改選で青水から理事を出すことになり塾長がネットワークの理事に就任しました。

                               草野 報告