2016年11月6日日曜日

錦秋の茅場で茅刈・ボッチづくり


今年の奥利根の紅葉は今一つでしたが102930日に今年も錦秋の奥利根上ノ原茅場で茅刈が行われました。
今年の紅葉は今一つ
 
マユミのこの赤は自然界しか作れない
 
 日帰りを含めて首都圏からの参加者22名に、遠くから日光茅ボッチの会の飯村さんと湯澤さん、みなかみ町から澤浦商工観光課長をはじめ3名、地元から古老衆を含め3名、町田工業から2名の総勢32名が茅場に鎌音を響かせました。

天候はうす曇り少し肌寒いような作業日和。始まりの会のあと茅刈を初めて経験する参加者が6人ほどいたため町田工業のお二人に実地指導をお願いし、早速、茅刈開始です。
 
初日にはきれいな虹が吉野屋から見えました

2日目古老衆の指導

 

今年季節がおくれ、夏の降雨不足、秋の長雨と天候不順の影響もあってススキの成長は例年の8割程度、雑草が目立ち、少し青さが残っていますがその分結束がしやすくなっていました。それでも春に野焼した部分は野焼効果もあって品質の良い屋根茅が採れそうな状態です。
 
今年のススキの状態
 
1週間ほど前から刈った古老衆のボッチと前々日には麗澤の子供たちが作ったお手本のボッチが立っています。

やはり初体験組は最初、難儀したようですが鎌の引き方、束のつかみ方、腰の入れ方などの要領を教えてもらいすぐに自分のペースで刈り始めました。
 
役場の方も茅刈


 
 
オレンジのユニホームが板についてきました
 
今回一番の刈り手

 今年は茅束の品質を上げる狙いをひそかに持っていました。ポイントは束の中から雑草や穂が
ない細いススキを除き、穂のあるススキをいかに多くするかです。そのため、成長の良い茅に向かってトラ刈り状に刈進みます。
技量が伴う伝統的な縛りにこだわらずヒモを使って能率を上げることを試みました。

1日目にはみなかみ茶道会のご婦人方が駆けつけて下さり野点で疲れをいやすサービスをいただきました。ほどよい汗をかいた後のお抹茶、大変おいしく、周りは紅葉という絶好の雰囲気の中で味わいました。この方々は、合間にオカリナで里の秋などの唱歌を演奏してくださいました。
 
 

みなかみ茶道会の皆様

また、初めての試みとして岐阜大の津田先生に「燻製装置」を手作りしていただき茅刈が終わるころには鳥のささ身、かまぼこ、紅鮭などの燻製が出来上がりおいしくいただきました。これも毎年のプログラムにしましょう。
燻製装置

ささみがぶら下がって

 皆さんの茅刈の様子を増井さんと夏目さんがドローンで撮影してくれました。総会の時に上映しましょう。

2日間で刈ったボッチ数は暫定で88ボッチ。実際はもう少しあるでしょう。茅出しの際に検数します。この茅ボッチは重要文化建物の屋根茅に生まれ変わります。
 
茅ボッチ
 

この日の宿は食事がおいしい「とんち」。腹いっぱいのごちそうの後は車座講座です。 今夜の講師は町役場の総合戦略課エコパーク推進室エコパーク推進グループGL小池俊弘さんに「みなかみ町の魅力とエコパーク構想」として国内推薦が決定しユネスコで審査待ち中のエコパーク構想についてプレゼンしてもらいました。 パワーポイントを駆使して説明される小池さんにはエコパーク登録にかける並々ならぬ熱意と情熱があふれていました。エコパーク申請・登録を契機に合併後のみなかみ町民の心を一つにしたい、役場行政の意識も変えて町の発展につなげたいとの強い想いが伝わってきました。参加者からは、来年6月頃の登録決定を切に願うとともに登録後の町民の暮らしが真によくなるような施策が大事なので頑張ってほしいなどのエールが送られていました。青水としても協力を惜しみません。休日夜分にも拘らず遠方まで出向きプレゼンしていただいた小池さんに心から感謝申し上げます。
イケメン小池さんの情熱あふれるプレゼン
 
祈る登録!!
 
 

車座講座の後は、恒例の交流会、日光茅ボッチの会や町田さんの差し入れの日本酒をおいしくいただきながらの話は盛り上がりました。

翌日は希望者12名ほどで、晩秋の奥利根水源の森林(国有林)へ。現地で夜明けの中のブナ林が見れるちょうどの時間になるように早朝5時半の出発です。

往きの暗闇の中では紅葉も見えませんでしたが着いたときのまだ葉を残している朝もやのブナ林と帰りの朝日の中の照葉峡の紅葉は見事でした。

茅刈は村の古老衆が11月10日ごろまで刈り続け、12日、13日とから寒風で乾燥させたボッチを運び出し町田工業さんに買い取っていただきボッチに第2の茅生を与えます。

野焼きと茅刈は茅場維持にとても重要な作業です。茅場をはじめ人工林や棚田など人々の暮らしの中で作り上げた半自然(二次)は人の手が離れると荒廃します。この美しい風景をいつまでも保ち日本文化の維持に不可欠な屋根茅を供給し続けるために今後も皆様のご協力をお願いします。

このような人と自然のかかわりの中で作られて維持継続していく風景こそエコパークの本質ではないでしょうか。

今年刈ったボッチは狙い通りクオリティーが良いものになりましたので1年間はストックし買い取ってもらう段取りを付けました。茅刈終了後、地域イベントのお散歩マルシェの拠点で藤原の農産物を購入しましたが茅束の代金を参加者に還元してかねてより考えていた「地域通貨 “ボッチ”」が実現できればいいですね。
 
Goot Qualityよ
私ならいくらでもらってくれる?
                                  草野記

 



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