2017年4月23日日曜日

融雪試験

 4月23日、上ノ原に行ってきました。目的は2つ、一つは、1週間後に控えた野焼のための除雪の状況を確認したかったこと。もう一つは、木炭の粉(粉炭)による融雪試験をするための融雪剤の散布です。
 月野夜や水上湯原付近はソメイヨシノが満開で素晴らしい景色でした。幸知付近はまだ蕾、野焼きのころに満開、藤原は蕾も硬く、野焼きのころには5分咲き程度になるでしょう。写真は小日向付近の桜です。

みなかみ町小日向付近のソメイヨシノ

 上ノ原はまだ残雪が70cmはあります。除雪は十郎太沢の東側を北山さんを通じて前原大和さんにブルトーザ―除雪をお願いしてあります。、除雪面積は30cmぐらいの残雪を残して約8000m2程度は確保されているようでしたが茅面は一部しか露出していなくて野焼ができるのかどうかは今後の天候次第というところ。おてんとうさまのお助けを願うばかりです。

除雪状況

 機械除雪による融雪にプラスして、そのおてんとうさまの力を最大限に引き出す木炭などの融雪剤による融雪を試みることにしました。融雪剤による融雪はゴルフ場や北国の農場などで行われていて融雪剤にもいろいろありますが土壌や水環境への影響を考えるとなるだけ自然素材が望ましく、今回は木炭を粉にした粉炭、ヤシガラ炭の2種類を使うことにして、北海道の白老町と群馬県伊勢崎市で製造販売しているものをネットで注文しました。

木粉炭北海道産
 
ヤシガラ炭群馬産

 木粉炭60リットル、ヤシガラ炭100リットルを散布してその効果を見るべく試験地を設けました。



試験地位置図
 
試験地1
 
試験地1の残雪
 
 
試験地2
 
 
 
試験地4
 

 試験地は4か所、1か所目はブルで雪を攪乱しているがまだ残雪が多いところにそれぞれ20リットルづつ40リットル、2か所目は、無攪乱で平坦なところ木粉炭を40リットル、3か所目は、傾斜地の無攪乱なところにヤシガラ炭を40リットル、4か所目は防火帯のそばに攪乱、無攪乱のところの比較としてヤシガラ炭40リットルを一人で3時間かかって手捲きしました。面積にして320m2となるので1m2あたり0.5リットルとなります。
もし、これを1ヘクタールに捲くとしたら5000リットルが必要になり、コストは、約20万~50万円ほどになりとても手が出ません。だけど、融雪剤としては黒い色で環境に負荷がないものであればよく、幸いに上ノ原は黒ボク土です。これを秋に採取して春に捲く方法は材料費はかからず元の土ですので環境的にも何の影響もないでしょう。このほか、融雪とは反対に防火帯の雪を解かさない方法(知恵)もあります。これは来年にでも試してみましょう。
 自然の力、機械の力、そして知恵と実行力で雪という難物を溶かして見せましょう。
花咲かじじいならぬ雪解けじじいの一日でした。
帰りがけに村の古老にお会いしたのでこのことを報告したら、炭を撒いたところは融けが早くこれからだと野焼までに50cmは融けるだろうとのことでした。
 今回の方法がどのような効果を発揮するか、野焼きのときには結果が出るでしょう。

                                          文責  草野
 

2017年4月15日土曜日

生態学会の集会で北山塾頭が発表しました。


   日本生態学会第64回全国大会(2017314日)で「草原再生における現状と課題‐研究者と市民の視点から‐」という自由集会が開催され、東日本各地の草原再生の事例の一つとして、北山塾頭から森林塾青水の事例が紹介されました。

この自由集会は、東日本で草原の再生・維持管理などを市民レベルで実践している団体に集まっていただき,それぞれが抱える問題点や課題のほか,うまく進んでいる状況などについても情報提供していただく場として企画されたもので、全10箇所の事例紹介がありました。

(詳しくは、岐阜大学津田研究室HP http://www.green.gifu-u.ac.jp/~tsuda/2017jiyushukai.htmlを参照ください)

全国各地の事例で問題点として多かったのはやはり後継者の問題でした。たとえば、菅生沼(茨城県)の事例では「行政や地域住民主体で活動できるシステムではないので,博物館が主導できなくなったとき保全活動の危機となる」との意見が出され、安比高原(岩手県)では「人口減、高齢化のため、地元からの参加が減少しつつある。都市住民の協力が必要」との指摘がありました。また、地域住民との意識の差の問題もあり、軽井沢(長野県)では「行政,会員,地域住民に,半自然草原の意味,草刈りの意義や成果などの情報が伝わっていない」との意見が出されました。

 このようにみると、全国の保全団体が持つ悩みは、結構似通っているものも多いのだなという印象を持ちました。そういう意味では、他団体と交流することで悩みや解決策の共有ができる可能性があるのではないかと感じました。

 北山さんの発表は、他の事例の発表とは異なり、「草原を守る」ことを主目的として考えるのではなく「草原を活用する」ということが主目的であるという発表内容でした。草原の生き物を守るには、その草原自体をどうやって活用するかを考えないといけませんし、森林塾青水や北山さんがこれまでずっと取り組んできたことはまさに、「草原を活かす」ことであったんだと改めて思い知らされる場となりました。
 

 

   私自身、もっと草原を活かすことを考えて、提案していきたいと思います。きっと、皆さんの頭の中にも、「草原でこんなことしたら楽しいんじゃないかな」というものがあると思います。そういった知恵をみんなで出しつつ、新しい草原の価値を上ノ原からつくっていけたらいいなと改めて感じた自由集会でした。
                                                                                             報告 増井

 

2017年4月6日木曜日

厳しい雪原トレッキングのあとに氷筍に会えた!!


  氷の柱と書いて「つらら」。
大悠洞の前のつらら
 
 
では、氷の筍は?それは「ひょうじゅん」と呼ばれる自然現象。洞窟の中にできる逆さまのつららで、大きなものは2メートルほどにもなるそうですが、水上ではもう少し小さいものを見ることができます。もちろん、冬なのでそれなりの装備が必要ですが。青水の冬のイベントとして、茅すぐりと同時期に行われる雪原トレッキングの目的地、大幽洞窟は関東で氷筍を観察することができる数少ないポイントです。
気持ちの良い白い世界のトレッキング
 
 私がこのトレッキングに参加するのは去年に続いて2回目。去年は記録的な暖冬でスキー場も雪不足だったため、洞窟までの道のりも楽だろうと思って参加したのですが、甘かった!確かに積雪量が少なくて林道は土が見えるくらいでしたが、そのせいで道はぬかるみ、歩ける道幅は狭くて、滑ったら沢に落ちるのではないかとドキドキ。何より、洞窟前の崖のようにも見える斜面はよじ登る感じで本当に大変だったのですが、そのときの案内の方が「今年は雪が少ないから大変だけど、雪が多いと逆に登りやすい」という言葉を聞いて、「それなら今年は去年より楽だね」との思いから再び参加したのですが…やはり甘かった!!最後の登りは雪があっても大変でした、が、氷筍は去年よりずっと大きくて本数も多く、筍というより大きなつくしんぼのようでした。見ようによってはムーミン谷のニョロニョロのようにも見えて。道のりは厳しかったけれどやはり頑張って来た甲斐がありました。
 
今年の氷筍
 
洞窟の入り口から見渡す山並みも白く輝いて、青空とのコントラストが素晴らしかったです。帰りの下り坂は基本、お尻で滑り降りる感じなので行きの苦労もすっかり忘れる楽しさ。上の原に戻ってくる頃には参加した皆が子供のような笑顔になっていました。今年のツアー参加者は女性ばかり。それも大半が初めて青水の活動に参加した方たちで、真っ白な雪山に感動しつつ、初めて履くカンジキに悪戦苦闘。四苦八苦しながらも和気藹々と雪道の散策を楽しんでおられました。山を降りたときには、青空に太陽をくるりと囲むような虹を見ることができて、今回も(辛かったけれど)参加してよかったなという気持ちでした。なんとか体力を維持して、来年もまた登ってみたいと思います。今回残念ながら途中リタイアとなってしまった方も、是非再チャレンジしてください!
前夜のキャンドルナイト

花火と月の共演
 


この原稿は3月11日、12日の活動参加者の小沢さんからいただきました。
                                    文責、草野