2019年12月8日日曜日

2019年度に生産した茅束数は3,775束でした

 11月16,17日に運び出した茅ボッチは全量、町田工業に引取られました。
その内訳は、藤原茅刈衆の雲越萬枝さんの刈り取り数1,300束(260ボッチ)、渡邊勇三さん1,700束(340ボッチ)、ボランティア(合宿刈りを含む)775束(155ボッチ)、
合計3,775束(1,375ボッチ)となりました。
 これは昨年(3,430束)より多く、青水が茅刈を始めた2007年から4番目に生産数が多い年となり、目標としている古民家一棟分の束数を確保できました。今年は天候に恵まれず減産となる見込みでしたが、茅刈イベントへの参加者が多かったこと、合宿での頑張りが功を奏したのと地元茅刈衆が昨年より500束も多く刈っていただきました。地元茅刈衆には環境保全作業協力金として塾から1束35円の上乗をしました。
 雲越萬枝さんから今年を終わっての次のようなコメントをいただいています。
 「大変お世話様になりました。寄る年波で身体がだんだん・・・、丈夫であれば来年もよろしくお願いします。」
 きっと来年も今年以上に頑張っていただけると思います。地元茅刈衆に加え、今年茅刈士補になった会員を含めた茅刈合宿を続けて自然の恵みをいただき続けます。






                                            草野記

2019年11月23日土曜日

茅出と山之口終い

 茅刈から約1か月、その後、降霜は何度かあったようであるが寒風と言えるものはなかったようでボッチの乾燥具合が気になる茅出しを11月16,17日に行った。

この時季の上ノ原

 参加者13名。茅出しは重労働である、人数は多いほど助かる。
 上ノ原に着いてみると武尊山は冠雪している。ボッチを触ってみると軽くなっており乾燥具合もそこそこよろしいようである。すでに町田工業のトラックが到着して一部を積み込みしている。昼食を済ませて茅出し開始であるがその前に、茅刈の時に検定を受け、今回茅出しに参加している小林さんに茅刈士補の認定書の授与を行う(斎藤さんは2日目の参加なので次の日に授与し、ほかの認定者には郵送済み)。

小林さんに認定書授与

斉藤さんの認定書

新茅刈士補と記念写真
 
雲越萬枝さんと渡邊さんが刈った茅束は3000束(600ボッチ)と報告を受けている。
そのほか、合宿やボランティアが刈ったボッチが少なくとも120ボッチなので720~750のボっチを運び出すことになり一人当たり60ボッチがノルマとなる。
今年のボッチは強い風が吹かなかったこともあるが、茅刈講習での萬枝さんの指導よろしく倒れているボッチが少ない。倒れたボッチは乾燥していないので重く、品質も落ちる。茅出しに参加すると正しいボッチづくりと倒れない立て方が大切なことがわかる。
倒れていないボッチ
 
倒れたボッチ
ボッチの穂をもって曳きづり出すので、下りは良いが上りは2倍ぐらいの重さに感じる。 来年からは茅刈の時に、刈った茅をどこに出すかを考えて刈るようにしないと。
参加者はノルマを示されたからか明日の雨予報もあってか休憩なしで運び出し、明日に残るかと思われたボッチの全てを運び出してしまった。
ボっチを縛って

曳きづり出す

曳きづり出す
 
道路端に積む

運び出しが終わって
この日の宿は並木山荘、重労働で疲れた体が温かい風呂とおいしい夕食で癒された。
 2日目は、やはり雨、吐き出す息が白く、気温も低い。昨日で茅出しが終わったので、今日はもう少し茅刈をするつもりでいたがあきらめてトラック積み込みに専念することにした。トラックが到着する前に北山さんが炭焼きを始めていた炭窯を見ることにした。
 トラックが到着するとみんなで積み込み、昼前には2台が満載。120ボッチぐらいが残ってしまったので明日以降の運び出しを町田工業さんにお願いして、自然の恵みをいただき、無事に1年を終えたことを十二様に感謝する山之口終い神事を行った。

積み込み


積み込み
 
山之口終い

全ての作業を終わって

                                  報告 草野


 

2019年11月2日土曜日

麗澤中学一年生の奥利根フィールドワーク

 今年も、10月30日、麗澤中学1年生を紅葉もようやく進んだ上ノ原茅場に迎えました。
 前日、インストラクターは強い雨の中、下見、鎌の準備、ススキの穂の採取、草原での遊びの準備を行った後、彼らの幸せと安全を祈るためチベット仏教の祈祷旗「タルチョ」を立てて本番に臨みました。
 今年のメニューは、昨年と同じ、森林草原観察、茅刈体験、草原で遊ぼう(茅帚とフクロウのススキクラフトづくり、目隠しトレイル、草原からのハガキづくり)雲越家住宅見学の4種のメニューで4クラス8グループ153名にインストラクター(東京組6名、日光組4名、新潟から1名、地元4名)がそれぞれのところで生徒を待ち受けて指導します。
 その様子をそれぞれのメニューに取り組む写真で紹介します。

 
タルチョが歓迎(前日の準備)
 
 
森林草原散策:これから出発
 
森林草原散策:湧水「ははその泉」で森林の水源かん養の説明


森林草原散策:
この色は空気、水、土、温度、湿度、樹木が取り込んだ栄養でできるが自然しか出せないよ



森林草原散策:今、触っている水は8年前に頂上に降った雨、
昨夜、頂上に降った雨は君たちが20歳になったときここに湧き出るよ



           
森林草原散策:年輪を数えてみる
 
森林草原散策:草原の中を飛ぶように広場に帰る生徒たち
 
草原で遊ぼう:草原でどんな遊びができるかを説明

草原で遊ぼう:ススキの穂の準備しておきました
草原で遊ぼう:目隠しトレイル(目隠しで張ったロープを伝わって歩く)

草原で遊ぼう:生徒が作ったフクロウ


草原で遊ぼう:生徒たちの作品

草原で遊ぼう:メイン会場の広場


 

茅刈体験:目標1グループ1ボッチ

紅葉が今一つさえない今年の上ノ原

今年のFWは、前日の雨、そして当日の上ノ原集合の遅れによる一部グループのメニュの省略、座観場所の倒木が搬出されてしまうなどアクシデントもあり     、
疲れもひどかったが、インストラクターの皆さんの奮闘で何とか終えることができました                                               .         
 皆様、ありがとうございました。                            ****       

                                          草野記



2019年11月1日金曜日

今年も茅刈合宿ー少年茅刈士補も誕生ー

 賑やかで有意義な茅刈のイベントが終わった20日の午後、風にたなびくタルチョと飲水思源の手拭が寂し気である。今日から古民家に合宿して藤原の茅刈衆とともに2泊3日の茅刈である。


寂し気なタルチョと飲水思源旗
茅束をできるだけ生産したいとの思いで昨年から始めたもので、まったくのボランティアである。今年は、草野、松澤、稲の幹事連中に、藤岡夫妻そして中学生のY君が参加してくれた。 茅刈は重労働である、初めに私が萬枝さん直伝の茅の抱え刈りを教え、後は稲さんがボッチの作り方などを指導。 2ボッチを作るころには、独り立ちするぐらいに上達し、2日目には稲さんと9ボッチを作った。この活躍に、彼に、「少年茅刈士捕」の名称を与え特別認定書を与えることにした。
2日目に作った自慢のボッチ(草野作)

 宿泊場所は、今年も古民家に寝袋持参で2泊、食事は自炊で、風呂は湯の小屋温泉に遠征。昨年と違ってまだ温かくカメムシが集団冬眠していないので悩まされずに済んだ。
 合宿のたのしみは食事と酒盛り、疲れと腰痛をこらえて囲炉裏の火起こし、飯炊き、おかずづくりを分担する。最初の夜に「豚汁」を大鍋にたくさん作ってこれを2泊3日持たせることにして、豆ごはん、アジの干物、ゆで卵、ご当地の野菜でおいしくいただく。
 そして、ビールと日本酒が疲れを吹き飛ばす。Y君はよく気が利く少年で大人と一緒にかいがいしく働く。

夕食と茶碗酒


古民家の囲炉裏端でのお昼ご飯

 2日目夜、テレビもないのラクビーの日本VS南アメリカ戦は見れない中で北山塾頭が「負け」の結果とともに仲間入りして現地幹事会、議題は今後塾の活動主体をどう現地に移すかである。 少年茅刈士補は、食事のあとカードゲームをしたかったようであるが酔眼で議論する大人たちを見てあきらめたようで疲れもあったのか寝袋に潜り込んで健やかな寝息を立てていた。
 2日目は天気も良く、ボッチづくりはかどったが、お天気祭りの度を過ぎたのか3日目は朝からシトシト雨で作業中止とした。
  ことしの合宿は天候に恵まれなかったが、それなりに楽しかった。
とくに、Y君の参加がうれしく、彼にはご褒美にボッチ券で買った藤原のお米5kgを家族へのお土産として持って帰ってもらった。

                                          草野記

 
 

2019年10月27日日曜日

上ノ原の広場の看板リニューアル

上ノ原の茅場の広場の看板を修復しました。
この看板は、上ノ原着手と同時に設置されたもので15年間広場で上ノ原を紹介し続け、時には積雪の深さの指標となりました。地元水上工房製で頑丈な作りですが15年もたつと塗料もあせて、屋根には腐れも出てきたことから塗りなおしと補修を水上工房にお願いしたところ、茅刈イベントの前に完成して、より凛々しくなって広場に戻ってきました。
 修復に要した費用は、会員の池田忠子様のご芳志を充てさせていただきました。
 池田様は、野焼きのころ「会のために自由に使って」と申し出て下さり、幹事会でどのように使うかを検討したところ、気になっていた看板の修復費用の一部に使わせてもらうことになりました。茅場らしい姿を取り戻した上ノ原の文字通りの看板娘としてこれからも見守っていくことでしょう。
 塾は皆様の温かいお心に助けられて15年間継続することができ、これからも活動を続けていきます。

化粧直しした看板娘
 
タルチョと飲水思源手拭と看板

                                         草野記
 


茅刈技術研修・茅葺き講座を開催

森林塾青水は、2003年、当時の水上町と無償借地契約を交わし2004年から「上ノ原茅場」の茅場再生作業に着手したので2019年は、ちょうど15年目となる。そして、折しも3月に文化庁の「ふるさと文化財の森」に指定された。これは、文化財建造物の保存修復のために必要な資材を安定的に供給することを目的とする取り組みであり。茅葺屋根の材料を供給してきた上ノ原は、それにふさわしい新たなステータスを得た。そこに一般社団法人日本茅葺文化協会からイベント共催の申し出があり、今年の茅刈は、この二つのことを記念して、品質向上・技術伝承を狙いに規模も大きくして「茅刈実技研修・茅葺き講座」と銘を打って令和元年10月19日、20日の両日に実施した。 
 例年ならば紅葉真っ盛りのはずであるが、今年の季節はかなり遅れて、シラカバが少しばかりの黄葉、オオヤマザクラが赤味を出している程度でカラマツもみどりであり。気候変動をもろに感じさせる茅場風景となっている。ススキは、尾花がそれなりのたれ具合であるが葉や茎はまだみどり色、刈った茅のクオリティーに影響することは確実である。

今年のこの時季の茅場風景、シラカバは黄葉

カセンソウがまだ咲いている

アケビもあり秋の様子も

風馬(祈祷)旗、タルチョを掲げて歓迎準備




 この日上ノ原に青水の募集に応じた参加者26名、茅葺文化協会の応募による参加者11名、みなかみ町鬼頭町長をはじめとする役場関係者、関東森林管理局赤谷ふれあい推進センターの佐藤所長、イオン環境財団、地元・町田工業茅刈衆約10名、総勢約50名が参集して、今にも振り出しそうな天候をにらみながら実施された。
みなかみ町長のあいさつ

 はじまりの式のあと、地元および町田工業の茅刈衆の指導のもと茅刈講習会を行う。
 今年は品質向上がテーマの一つであるので、束の大きさ、雑草を混ぜないこと、茅を使った伝統技術の結束、倒れないボッチの作り方をお手本も示しながらポイントを繰り返し丁寧に指導してもらった。
萬枝師匠の茅刈講習(倒れないボッチの作り方)

頼もしい師匠の笑顔


 そのあと、茅場の方々に散らばり指導を受けながらの茅刈を行う
深い茅の中で鎌の音が響く


雨は降りだすのを待ってくれているようで約2時間の作業を行い、休憩の合図で広場に集合してもらうと同時に降り出してそのままやむ気配がない。「この雨はやまないな」という雲越萬枝師匠の観天望気で作業中止を決断。少し早めに宿に引き上げる。
 夕食時の「ロッジとんち」の食堂はほぼ満杯、そのあとの車座講座(パネルディスカッション)「茅場と茅葺の現状と課題」と交流会の様子は稲さんの報告に譲るとしてこれまでにない有意義なものとなった。
 その夜は強い雨が降り続いたようであるが朝になるとあがり、6時半の雲越家での早朝講座(ワークショップ)「茅葺屋根の特徴と茅の使われ方」(稲さん報告)が終えて朝食のころは青空も見えるほど回復した。
 2日目は全員で茅刈であるが、昨日の講習を成果を試す「茅刈検定」の受験者10名を募集したところ6名が受検を申し出て、検定が始まった。
茅刈検定の受験者は飲水思源ハットを着用

鎌の音も検定の対象

若い茅葺職人も挑戦、見事茅刈士補に


 茅刈検定は青水独特の検定でこれまで4回ほど実施され7名の茅刈士補を輩出している。検定は基礎知識、安全作業、基礎技術、技術向上、技術志向の観点からの18のチェック事項が水準に達しているかどうかを1時間の作業で判定し、18項目達成で茅刈士、14項目以上で茅刈士補の称号が与えられる。今回は最高17項目、最低12項目でレベルが高く5名の方が茅刈士補に認定された。
 茅刈は、11時半まで行われ、バッサバッサの鎌の音、汗を拭き、時には腰を延ばし、ボッチに抱き付き縛るのに奮闘する姿が茅場のあちこちで見られた。概算であるが参加者が刈ったビッチ数は65ボッチとなった。
カヤボッチの立つ風景

自分のボッチの前で

物産館の出張販売


 参加者には刈った1ボッチに応じて「飲水思源地域通貨200ボッチ券」が配布され、藤原物産館の出張販売で地元のお米や野菜を買い求めていた。
 このあと、講評、振り返りを行い、今回の記念イベントを終了した。
 
このイベントではみなかみ町役場、日本茅葺文化協会、地元茅刈衆、町田工業の皆様に絶大なご協力をいただき成功裏に終了することができましたこと改めて御礼申し上げます。 
               写真の大部分は清水さんからの提供です。 
                           草野記