2011年11月24日木曜日

『オンパク』オープニングは上ノ原の茅刈り!

-藤原小中学校「育成会」の有志9名も参加-
群馬県初の温泉泊覧会『オンパク』inみなかみ町が11月16日から12月11日間の予定で始まった。『オンパク』とは、地元の人が地元の人を案内して、みんなが自分が住む町を好きになるための小さなプログラムの集まり。町中のみんなで知恵を出し合って作ったプログラム28の皮切りはなんと、上ノ原「入会の森」の茅刈りだった。

当日・16日朝は、まだ前夜の雪が残り開催が危ぶまれたが、町内各地から集まった参加者40名余のやる気につられてお日様が笑顔を出してくれ、予定通りの開催となった。実行委員長・深津卓也氏(辰巳館社長・森林塾青水の協賛会員)の開会挨拶「これまでのイベントは首都圏の観光客が対象だった。しかし、町の宝物を住民が知れば、町への愛着が高まり、町の活性化につながる」が心に強く響いた。

先ずは、当塾の茅刈りイベントと同様、鎌砥ぎ実習から開始。あとは、茅場のあちこちに散らばって、地元の久さん、親男さん、續さんの手とり足とりのご指導のもと刈り取りと結束の作業。吉野一幸さん(当塾・地元幹事)の呼びかけに応じて参加した藤原小中学校「育成会」のヤングパパ・ママさん9人や並木荘の秀徳さんご夫妻たち地元・藤原衆も、初めての茅刈りに夢中になって鎌をふるっていた。

終了後は、遅れて駆けつけた岸町長ともども広場の焚火を囲み、焼きリンゴや原木栽培のナメコ汁に和気あいあい舌鼓を打った。遠望する谷川岳の冠雪が、いつにもまして美しく爽やかだった。(2011.11.18 清水、記)

2011年11月8日火曜日

2011年度の茅刈検定で茅刈士補2名誕生

今回で2回目となる2011年度の茅刈検定が、10月22日、「コモンズ村ふじわら」の茅刈の中のプログラムとして行われました。当日検定を希望したのは4名、検定者、林三郎師、アシスタント草野のもと検定に臨みました。 
まず、師のカマ砥ぎ、茅刈を見て、それぞれがまだ初霜もない暖かすぎる気温の中、1時間の茅刈となりました。今年の茅は生育があまり芳しくなく、キツネ茅や雑草が多く、それらの除去に苦労しながら束、そしてボッチを作り上げていきます。検定項目は、カマの使い方や腰つきなどの安全面、カマの音、束やボッチの大きさ、形、結束の仕方、1時間あたりのボッチ数など17の項目で判定されます(詳細は昨年の報告をご覧ください)。 
その結果、当会の正会員である初挑戦の川端さんと再挑戦の安楽顧問がめでたく茅刈士補に認定されました。 また、他の2名の方は茅刈士心得と認定され、後日、別添の町田検定委員長の認定書が送られました。これで茅刈士補は昨年3名に加えて5名になりました。 
会員の中から茅刈士補が、3名になりました。 お二人ともおめでとうございました。   
目指せ 茅刈士!!



茅刈検定事務局 草野

2011年10月27日木曜日

嬉しい事づくめの今年の茅刈り

上ノ原の茅場の再生・活用に取り組んで8年目の今年。毎年、新たな試みと感動の歴史を刻んできたが、今年は格別嬉しい出来事が重なった。先ず7月7日、昨秋刈り取り諏訪神社屋根替え用にストックしていたカヤ366束が、会津若松の東日本大震災仮設住宅の建設現場に向かった。日本茅葺文化協会を通じて、板倉構法による建設を進める佐久間建設工業に寄贈、住宅17棟36戸の屋根用断熱材として利用され、既に大熊町ほかから被災者の皆さんが入居、新しい暮らしの場になっている。

有機野菜・果物のマルチ材・肥料としての利用と共に、従来の茅葺き文化財の屋根材としての用途に加え、新たな利用の道が開かれることになったのだ。
そして、10月23日~24日。当塾主催のボランテイア茅刈り作業に、これまでにない新たな担い手が参加してくれた。茨城県つくば市から、上野弥智代理事ご引率の茅葺文化協会・里山建築研究所・筑波大生グループの皆さん8名。安藤先生も夜中の9時過ぎ、出張先徳島からトンボ帰りして合流。さらに福島から、佐久間建設の遠藤部長と武藤さん。高速道路を乗り継ぎ5時間もかけて馳せ参じて下さった。いずれも、融通してもらったカヤの恩を自分たちで刈って返したい、という強いお気持ちからのことであった。カヤがとりもつ利根川つながりのご縁、そして大震災つながりの心の絆、といってよかろう。お迎えした地元やみなかみ町役場の皆さんを含め、参加総勢52名の熱意を十二神様(山の神様)が聞き届けてくれたのであろう、大方の予報を覆して二日間とも好天に恵まれ、茅場に鎌をふるう心地良い音と子どもたちの歓声が木霊した。

刈り取ったカヤの総量は350束。奇しくも、仮設住宅用にお届けしたのとほぼ同量! これまで同様、全量を地元藤原区に寄贈、諏訪神社の茅葺き屋根替え用に使っていただければと思っている。
終わって二日後の25日、筑波大生・何銀春さん(中国留学生・世界遺産専攻)から嬉しいお便りをいただいた。「二日間の短い間ですが、感動させたことが沢山あります。地元の人と全国からの皆さんは全力を挙げて茅刈りの活動を参加しています。このような精神を持って、文化財を守っています。これは、日本の文化財をよく保存できる重要な原因と考えています。清水さんから『飲水思源』の言葉もよく覚えています。(中略) 最後に、清水さんと地元の皆さんのご指導を改まって感謝しております。」(原文のまま)

『飲水思源』は当塾の合言葉。井戸を掘ってくれた人の恩を忘れてはならない、という中国由来の訓え。ご多用の中、駆けつけて下さった安藤先生、遠藤部長始め遠来の皆さま、ご指導ご協力いただいた地元・町お役場の皆さまに感謝し、今回のご縁をとりもって下さった上野理事、更には理事との出会いの場を作っていただいた全国草原再生ネットワーク・高橋佳孝会長に、改めて『飲水思源』を以てお礼言上申し上げたい。(清水、記)

2011年9月12日月曜日

2011第一回東京楽習会開催


本年度第一回目の東京楽習会が、9月4日(日)午前10時より、中央区の「女性センターブーケ21」視聴覚室を会場に、会員会友他14名が参加して開催されました。この日の講師は、本会の草野洋塾頭です。塾頭は「ミズナラ林の保全と活用」をテーマとして、自らの林業(山)との出会いから講義をはじめました。草野塾頭は熊本県葦北郡の山村に生まれ、林業を営む父親の背中を見ながら育ったということです。生まれてすぐに森林・林業と出会った塾頭は、やがて農林技官として林野庁に入り、以来、40年にわたり、森林行政の最先端で勤務をされてこられました。赴任地は九州・大崩山、屋久島、木曾・赤沢、信州上小地方・伊那遠山郷、利根川水源、北海道などの国内のみならず、フィリピン・ルソン島のパンタパンガンにも、日本による海外支援のスタッフとして赴任しました。現地では、スペイン統治時代に禿山となった一万ヘクタールに及ぶ地域の森林復元に取り組み、森林再生のための技術的基盤と成果を現地に残してこられました。
 そうした豊富な経験をもとに、草野塾頭は上の原二次林の保全と活用について解説しました。まず、現在の二次林をカラマツ造林地に若齢のカエデ類が優先している「二次林下部」、成熟したミズナラが優先する「二次林上部」、ススキ草原と接する「林縁部移行帯・流路沿い低木部」の3タイプに区分した上で、これからの新たな目的と取り扱いとして、ススキ草原と相まった「生物多様性を維持・増進するための取り扱い」、森の力と暮らしとのかかわりを伝える「自然環境教育・自然ふれあい等のフィールドとしての取り扱い」、藤原地区のペンション等に「小木質エネルギー資材と山の恵みを供給し地域経済に貢献する取り扱い」の3点を掲げました。上の原のススキ草原は、既に火入れと茅刈りが復活し、草原の管理と萱の利用について道筋が見えつつありますが、ミズナラ二次林の保全と活用は、本会が次のステップに進んでゆくための重要な課題と言えます。草野塾頭は最後に、「先人栽植後人亦涼」という言葉を引用して、講義を終えました。
 質疑応答の後、最後に清水塾長が、上の原を舞台とする現代版入会慣行や流域コモンズの実現に向けて、それぞれの参画を呼び掛け、楽習会を閉じました。(幹事・稲)

2011年8月12日金曜日

また一つ、ススキの新たな利用の道が!

-元・茅場の地域循環型・持続的利用の一環として-

2011年8月6日午後~7日午前。早稲田環境塾・当塾のコラボ合宿参加者22名が阿部惣一郎、林久の両長老ご指導のもと、初めての“青刈り”にチャレンジした。

(写真①、②)

2日間の成果は、およそ2トン車1台分。うち、8割見当を桃季館(江口所長・新治地区)のトラックに積み込んだ。
(写真③)
 ブルーベリー栽培用のマルチとして使っていただく約束だ。残りは、久さんの軽トラに積み込んで久保の畑に運ぶこと2往復。
(写真④)こちらは、半年間寝かしながら鋤き返し、来春には野菜畑の肥料になる。

これまで、上ノ原のススキの用途は、群馬県下4棟の茅葺重要文化財と地元・諏訪神社の屋根材だけだった。そこへ、この7月、福島県の仮設住宅(板倉構法)の屋根用断熱材としての用途が加わった。 加えて、この度のマルチ材ならびに肥料としての利用が加わった次第。草の「利用」を進めることがより良い草原の「管理」につながる。しかも、地域循環型・持続的利用のモデルケースと言ってよかろう。その意味で、この度の青刈りはまことに喜ばしい限り。ご指導ご協力をいただいた地元の大先達お二人、みなかみ町役場の皆さま、原塾長はじめ早稲田環境塾の皆さまに深甚の感謝を申し上げたい。

折しもこの4月、みなかみ町は生物多様性地域戦略の一環として『昆虫保護条例』を制定した。上ノ原はその「保護指定地域」になろうとしている。“生物多様性の保全に役だっているブルーベリー”が桃季館の棚に並ぶ日が遠くない!!


(2011年8月9日、清水記)