6月7日から2泊3日、湯の湖畔の休暇村(標高1486m)を拠点に奥日光の自然散策を楽しんできた。かねて念願の東大植物園(植栽2200種)を皮切りに戦場ヶ原、小田代原、西ノ湖から千住ケ浜、湯ノ湖から湯滝、お魚と森の観察園など、文字通り森あり川あり滝あり湿原ありの変化に富む自然のモザイクを観察させてもらった。
観光客に一番人気のクリンソウ(写真)はもとより、清楚なシロヤシオツツジや可憐なマイヅルソウたちにも出会えた。そして、何よりもハルニレやシウリザクラ、ヤチダモ、ドロノキなど日頃見られない樹種の森を歩くことが出来て嬉しかった。
でも途中から、ちょっと待てよと思わざるをえない光景に次々出会ってしまった。クリンソウの群生地は全てネットで囲われていたし、ハルニレやシウリザクラ、ヤチダモたちの根元も黒い網が巻かれていた(写真)。みんな悪名高い(?)シカの好物で、その食害対策だという。『保護林』の看板が立っている林内では特に目立った。どの森の看板にも「森の取り扱いは、人手を加えず自然の推移にゆだねていくことを原則にしている」とあった。人の手でネットを巻くことは、この原則に反しないのか。こうまでしないと保護できないのか。足元をネットで巻かれた樹々を見て、痛々しいと思わざるを得なかった。
そういえば、湯ノ湖西岸の遊歩道を歩いたとき幾筋もの獣道を見た。夜、水飲みに森と岸辺を往復するシカたちの通勤路(写真)がそれこそ縦横無尽に走っていた。
増えすぎた(と、人が考える)シカやサル、イノシシたちとどうしたら共生できるのか。
昨春、山形県高畠町で草木塔を見てきた。この5月、北海道黒松内町には獣魂碑があった。そして今回、日光では魚供養塔に出会った。いつ建立されたかは別にして、狩猟採集時代の昔から続く自然の恵みに対する感謝の気持ちに由来するものであろう。
フランスにはジビエという野獣料理があるそうだ。ただ駆除するだけでなく、感謝の心をもって有効に活用する。そんな方途はないものなのか・・・、など愚考した次第。
清水(09.6.11)記
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