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2021年11月10日水曜日

2021茅刈 実施報告

  原因がはっきりしないものの新型コロナウイルス感染者が急激に減少して、やや安心安全な日常が戻ってきた感がある10月30,31日と茅刈を実施しました。

 当日は絶好の茅刈日和に恵まれ、上ノ原の紅葉が相変わらずの美しさの中で日帰りを含めて34名が参加(初参加3名)。久しぶりの懐かしい顔ぶれもありました。

上ノ原の紅葉とススキ



 まずは、スタッフや経験組に倣いながら自分が使う鎌を研ぎ、始まりの式を終えて雲越萬枝師匠の指導により茅の刈方、ボッチのつくり方の茅刈講習会。レビューのために萬枝さんの指導のポイントを挙げておきます。

鎌研ぎ


萬枝師匠の講習 ボッチづくり

 ①群生して茅の穂が出ている育ちのいいところを狙い、そこに向かって刈進む。②キツネガヤは刈らない。刈る前にオミナエシ、ハギ、ヨモギなどの雑草(ゴミ)をあらかじめ取り除いておく。③刈るときは抱え狩り(稲刈りのようなつかみ狩りでは能率は上がらない)④二抱え(個人差あり)ぐらいで一束にして、ほかのやわらかそうな茅で縛る(縛り方の説明は難しいので省く)。⑤縛る場所は根から穂を除く全長の65%ぐらいの高さで縛ると束が立ちやすい。⑥束が一つでも自立できなきゃダメ。⑦5束を一ボッチにするとき丈夫そうな束を斜面の下の方に置き、斜面の上方から抱きかかえて同じ束の茅(身内)をクロスさせて前で結ぶ。⑧穂のところも手前からクロスさせて身内結び。⑨最後に各束を少し広げて安定させる。以上であるがこれは文章で説明するのは難しい。実際に見てやってみるしかない。この講習を受けて、参加者はそれぞれ散らばって茅刈。塾のスタッフの同行や、見回ってアドバイスしました。

茅の中に潜っていい鎌音でひたすら刈る 


 今年のススキは生育が良くまとまっていて刈りやすいので品質の良い茅束が期待できます。

 15時には役場の高橋さんの差し入れのリンゴをおいしくいただき、16時に終了。

 この日の宿はロッジ「とんち」相変わらずの美味しい料理でした。

 夕食の後は、西村幹事の車座講座「奄美大島・徳之島・琉球の世界自然遺産登録の経緯と効果」についてわかり易い解説がありました。

 2日目 今年は茅刈検定の受検者がなく皆さん早速茅刈に従事。正午前に終了。

 それぞれに作った茅ボッチ数に応じてボッチ券を渡し、それを使って野菜などを買い求める参加者で移動販売車の周りは盛況でした。

地物の新鮮な野菜などがあって移動販売は大盛況


 2日間の茅束の数は134ボッチ(670束)となり、用意したボッチ券が足りず急遽、幹事に渡した券を買い上げて間に合わせました。

 このあと11月2日まで例年通り有志6名が古民家に合宿して茅刈を続け80ボッチ以上を刈りました。

ボッチが立つ風景

自慢のボッチ 


                    文責:草野


 



2018年5月7日月曜日

車座講座 「火の文化と古代発火法」  講師 関根秀樹さん


 野焼の初日、夕食後、本年度最初の「車座講座」が吉野屋の大広間で開催されました。講師は古代技術史・民族文化研究家である和光大学の関根秀樹さん。「火の文化と古代発火法」について、関根さんが再現した古代の発火具を実際に使いながらの楽しい講座となりました。野焼きを安全に、そして効果的に実施するには火の扱い方が大きな課題ですが、火の文化について、その根源を学習する有意義な機会ともなりました。講座の概要は以下の通りです。
車座講座 関根先生
 

○古代発火具の概要

キリモミ(錐揉み)式などの古代の発火具の形状や材質、使用法は、関根さんの師である科学・技術史研究者の岩城正夫氏が、実験を積み重ねながら復元・再発見し確立したものである。

古式の発火方法を継承しているとされる伊勢神宮や出雲大社が神事の中で行っている火鑽り(ひきり)は、儀式として相応しい形に道具が大型化し、アレンジされたものである。特に伊勢神宮のマイギリ(舞錐)は弥生時代からのものと言われたりするが、実際には江戸時代後期に伊勢ソロバンの穴開けに使用していた舞錐を転用したものである。戦後、登呂遺跡から火鑽臼が出土し、別の所から出た舞錐の横木の一部に似た形の木片が見つかった際、伊勢神宮の舞錐と同じ発火具が登呂遺跡で使われていたという解釈が、反論があったにも拘わらずメディアにも取り上げられて独り歩きしてしまったのである。

○実演を交えながら

キリモミ式で火種ができるまでの世界記録は、私と、学生時代の同級生が持っている3秒である。摩擦式発火法の要点は道具そのものにある。道具の大きさや材質、その形状と加工法に緻密な工夫がなされており、これらの条件を満たす発火具であれば誰でも火を起こすことができる。「電気もガスもない昔は、火を起こすのも大変だった」というのは、現代人の勝手な固定観念にすぎない。

参加者も挑戦

○火の神話

古代の発火法は日本の神話にも反映されている。イザナミは最後に火の神カグツチを生んだことにより火傷で死んでしまうが、これは摩擦式発火具の記憶とともに、利便性と危険性をあわせ持つ火の二面性を表現している。

○山火事の原因は失火と落雷

山火事の原因として、「木と木が風で擦り合わさって火が起き火事になることがある」という人がいるが、特に湿度の高い日本では、これで火がつくことは絶対にない。昔、宮城県のゴルフ場で、ゴルファーが誤ってアイアンで草むらの石をたたき、火打石のように火花が出て枯芝に点火し、火事になったことはある。

関根さんは古代の発火具だけでなく、ブリキ缶二つを糸電話のように長いばねで結んだ不思議な楽器アナラボス、

 
不思議な音を出すアナラボス
 
回転させながら紐をもって振り回し風を切るような音を出すウナリ木、そして竹トンボなど、関根さん自作の楽器や遊具も準備いただき、それを実際に使っての楽しいひと時となりました。また、関根さんはブルース・リーより速い、と言われたヌンチャクの名手です。実際に演じている姿は、「ぴよぴよヌンチャク」で検索してユーチューブでご覧ください。(文責 稲)