2014年7月31日木曜日

7月4日麗澤中学1年生みなかみフィールドワーク

 7月3日〜5日に麗澤中学1年生のみなかみフィールドワークが藤原でおこなわれました。
 初日は、学校からバスに分乗して11時半くらいに藤原湖に到着し、地元の林親男さんが藤原集落の生い立ちと藤原湖の歴史を話してくれました。この場所は634m位の標高があり、スカイツリーの高さと同じくらいですねなどと、大変わかりやすく説明してもらえました。生徒達は、その後奈良又ダムに行き昼食をとりダム見学に。

 私達は上ノ原に行き、昼食後今回遊びプログラムとしてクラフト体験を行なうことになったので、その材料を揃える作業をしました。明日参加してくれる地元のインストラクターも3名手伝ってくれて、茅編簾づくりのススキの皮むきと揃える作業、葉脈染のための草木の葉っぱを採取しました。
 宿は吉野屋に泊まり天気予報を確認すると、どうやら雨模様ということで、木工クラフトをホテルサンバードの炊事場で行なうように変更したので、各グループの日程調整を急遽行ないました。隣の部屋では、今回のクラフトのプログラムを考えていただいた岡田さんと同部屋の三好さんが夜なべしてクラフト準備をされていました。

 フィールドワーク当日の朝、天気予報では雨に変わるのは15時頃からで、それまではもちそうでした。ホテルサンバードに8時45分に集合して、8グループに2名インストラクター(森林塾青水7名、地元インストラクター10名)がついて、それぞれのプログラムコースに分かれました。
今回は昨年より時間に余裕を持ったゆったりした日程にし、知識を詰め込むのではなく、楽しめるプログラムに変更し、また、インストラクターには水源地、緑のダムなど共通の認識をベースに案内してもらうようにしました。
私のコースは、最初に青木沢集落から芦ノ田峠の古道を平出集落まで歩きました。ヒルを心配しましたが、お目にかかることはなく今回は下りのコースなので皆さん元気でした。その後、バスで諏訪神社に移動し舞台屋根を見ながら、上の原に行きここで昼食をとりました。

 午後は最初に上ノ原ススキ草原の十郎太沢沿いを歩き、その後、上ノ原のススキが茅葺き屋根に使われている雲越家住宅を見学し、最後にホテルサンバードに戻り、今回変更プログラムの目玉であるクラフト体験をおこないました。木の枝などを利用した木工クラフト、周辺の草花を針金とフローテープで巻いた草花のコサージづくり、葉っぱに絵の具を塗りハンカチ位の大きさの布にのせてこする葉っぱの葉脈染め、ススキを茅編み器で編む、ミニ簾づくりの4コースに分かれました。
比較的人気なのは、ミニ簾と葉染めでしたが、木工クラフトの生徒も時間をかけて作っていました。木工クラフトは時間がかかるので、1時間で作るには難しかったです。
天気は最後に少し雨に降られましたが、最後まで生徒が元気で楽しそうだったので、今回は取りあえずうまくいったのではないでしょうか。




(浅川潔)

2014年7月30日水曜日

夏の装いの上ノ原とミズナラ二次林フィールド観察


7月26,27日の定例活動のフィールド観察では、夏盛りの草原と森林を歩きながら植物、昆虫を中心に観察を行いました。

上の原は山菜の季節から、花と実りの季節へ。色とりどりの花が出迎えてくれました。黄色い大きめの花を咲かせるカセンソウ、虎の尻尾のような白い花穂のオカトラノオ、紫色で釣鐘状のホタルブクロ、ヤマホタルブクロはあちこちに咲き乱れ、特に目立っていました。

花々にはたくさんの虫たちが訪れます。シジミチョウやヒョウモンチョウの仲間が舞い踊る様は草原に華やかさを添えていました。参加者のIさんは蝶大好きな方で、蝶を見つけるとものすごい速度で網を振っておられました。緑色の宝石のように輝くシジミチョウを3種類、捕まえて見せていただきました。

森の入り口のところでは、ヤマグワ、クマイチゴが実をつけていました。Hさん、Sさんと味見をしてみると、野性味のある甘酸っぱさで、自然の恵みが感じられました。ヤマブドウもまだ青いですが実をつけており、秋の実りに向けて着々と準備しているようでした。

林内に入ると一気に涼しくなり、快適に散策できました。林床には魅惑的な色のタマゴタケを観察することが出来ました。木漏れ日の小道に鳥のさえずりが響くと、鳥に詳しいTさんが解説してくださいました。ホトトギスのさえずりは、確かに「トッキョキョカキョク」と鳴いているようでした。

一緒に歩くとそれぞれの目線、感性、興味、知識があわさって、何倍もおもしろいことに出会える、そんな気がしたフィールド観察でした。

カセンソウとヒメシジミ
 
ヤマホタルブクロ


                                   原稿 西村  文責 草野
 

2014年7月28日月曜日

刈払機に挑戦、防火帯刈払いとフィールド観察

 7月の定例活動は、梅雨も明け、都会のうだるような暑さを避けて26日、27日実施しましたが上ノ原も負けじと暑く、炎天下の中、防火帯の刈払いと夏の草花、樹木観察を行いました。
 今回は、13名の参加者がありました。このイベントを朝日新聞で知ったというFさん夫婦、ホームページで青水の存在を知り、かねてより参加したかったという草原オタクの「日光茅ボッチの会」のお二人の4名に初めて参加いただきました。
 
 
  プログラムは、刈払機を使っての防火帯刈払いと夏の装いの草原とミズナラ二次林の草花、昆虫、野鳥の観察です。
 初めに全員に刈払い機の安全教育、使い方を実物を使って講習を行いました。
特に安全作業では絶対やってはならないことを徹底し、疲れない能率の良い使い方のコツを刈払い機の構造と結びつけて理解してもらった後、刈払機使用希望者6名は、カラマツ林との防火帯を実際に刈払います。全く初めての人が2人、8年ほど前まで使っていた方が1人でしたので、しばらくはこの3人を後ろから見ながら、気がついたことはその場でなおしていくようにしました。
刈払機は4台ですので30分程度で交代しながら刈ります。2回目の交代のころには要領がよくなり、不安全行動もなくなりました。どうやら全員がハマったようで黙々と刈っていきます。特に二人の女性の奮闘ぶりはさすが女性の時代です。写真は二人の「カリジョ」の作業ぶりです。
カリジョ二人


実家のお父上の作業を手伝いたいという動機で参加された I さん、安定感のある作業ぶりです。

安定感のある刈り方

Fさん(奥様)は、さすが経験者、効率の良い大胆な刈り方をします。
一方、Fさん(ご主人)は草や灌木の中を確かめながら刈って行く慎重派。それぞれに性格が出ています。Kさん、Mさん、Yさんは青水の会員ですので安心してお任せです。
 この日は日差しが厳しい暑い日で、みなさん大汗をかき十郎太の沢の冷たくおいしい水で水分補給しながらの作業となり、終了するころにはかなり疲労気味でしたが、自分たちの刈跡を見て達成感を感じておられたようです。
刈跡に達成感あり

今回の宿は湯の小屋温泉「照葉荘」、温泉が疲れを癒してくれました。
 2日目は、すっかり慣れた皆さんにお任せしたら、1日目に刈り残したカラマツ林境をやり上げ、十郎太沢境まで予定以上に実施することができました。青い所が今回刈払い済み、赤が8月実施予定です。(図面参照)。
作業位置図

残りは8月に日帰りでやることにななります。よろしければまた参加ください。滝のような大汗と爽快な達成感を味わえる刈払機作業にハマった皆さんは戦力として期待させていただきます。お疲れ様でした。
 フィールド観察については、案内役を買ってくれた西村会員の報告を待って追加アップしますが、私が受け持った2日目の内容です。十郎太沢沿いの夏の草花に、昆虫たちがひっ切りなしに訪花する、まさに生き物たちがにぎわいを見られる草原、まだ青いけれど秋の実りに向かって果実を育んでいるトチノキ、ウワミズザクラ、ヤマブドウ、コクワなどたくましい樹木たちを観察することができました。写真は、その一部です。

歌仙草
岡虎の尾


                  

神秘的な色のタマゴタケ
今回の、参加者の中の「日光茅ボッチの会」のお二人はそれぞれ蝶と野鳥に大変詳しいお方でした。茅ボッチの会も草原を守る志をもった同志、夕食後の交流会も大変有意義でした。これからもお互いに情報交換などでお付き合い願いたいと思います。

                                               文責 草野

     


2014年7月22日火曜日

6月の活動 芦ノ田峠古道散策

 6月の定例活動は、一般参加歓迎プログラム「芦ノ田峠古道散策」を21日、22日と実施しました。
 当日はあいにくの曇天でしたが新緑から濃い緑に変わる初夏の藤原に新規参加者2名を含む14名、その中には、地元水上の自然・山岳インストラクターの3名の方の参加がありました。
 青木沢集落から武尊川を渡り、杉の造林地、峠十二様、平出集落に至る約1.4km、時間にして45分ほどの行程です。
 このコースには沢山のインストラクションネタがありますので、このプログラムは、7月の麗澤学園中学1年生の奥利根水源の森林フィールドワークのコースの予行練習を兼ねて、地元インストラクターとの技術交流の場としています。
 あらかじめ、その趣旨説明、生徒用のテキストを示し、どこでどんな説明をするのかを想定して歩きます。
中学1年生に見立てられた参加者
 
青木沢集落の田園風景は周囲の山々を眺めながら「森林のいろいろな働き」を説明ができます。
水量豊かな武尊川は、森林の水源かん養機能の説明がやりやすく。桂の大木や道祖神、お社跡、オニグルミの実、植栽地、若齢広葉樹林、湿地、峠の十二様、ブナ二次林と森林土壌、メグスリノキなどカエデの種類も多く、カラマツ人工林、炭窯跡、サワグルミ林と題材につきません。そして森林全体で森林生態系の豊かさと森林の地球温暖化防止の働きの説明もできます。
 かつて地元の方々の生活道であっただけに歴史ある道祖神や道標がそこらにあり山村の暮らしや平出集落とダム水没など地元ネタも豊富です。
地元ネタも豊富
峠に着いたころには、雷雨もあって心配しましたが、ヒルの被害も一人だけに終わり、平出集落に着くことができました。
 どこで何を説明するかは各インストラクターの裁量ですがとにかく材料に恵まれたコースです。
 2日目は、ススキが旺盛に生育始めた上ノ原と木馬道コースを歩き、麗澤虫FW本番での草木クラフ段取りを共有しました。そのあと、関ヶ原民宿のバーベキューに舌鼓を打ち2日間のプログラムが終了しました。

桂の株立ちを前に


                                                     文責 草野

 

2014年7月7日月曜日

2014年度第1回東京楽習会「利根運河―その歴史と役割を学ぶ」開催報告

6月28日に第一回東京楽習会を利根運河で開催しました。参加者九名は午前十時に東武野田線の「運河」駅に集合。丁度、毎月一回開催されるイベント「うんがいい!朝市」が開催されている運河水辺公園を散策しながら、流山市の利根運河交流館を訪ね、中島昭治さんよりお話をいただきました。

利根運河交流館は、国土交通省の江戸川河川事務所利根運河出張所の建物の一室にあります。流山市の施設ですが、NPO法人「コミュネット流山」が交流館を運営しています。中島さんはNPOのメンバーで、以前は交流館の館長をつとめていた方です。以下はお話の要約です。
 

○利根運河は、利根川と江戸川を結ぶ運河で、総延長8.5キロメートル。野田市、流山市、柏市の三市を流れています。利根運河の竣工は今から124年前の明治23年6月18日です。竣工式には当時の山縣有朋総理大臣も参列しました。
○江戸のはじめ、江戸湾に直接そそいでいた利根川の流れを常陸川と繋げて銚子から太平洋へと導く「利根川東遷」事業が、徳川家康によって進められました。これにより、東北地方からのお米や海産物などが、船の難所である鹿島灘や、沿岸に浅瀬の多い江戸湾を通ることなく、利根川、江戸川を経由して江戸に運び込む水路が開発されました。そして利根川の水運は、百万都市江戸の賑わいとともに大きく発展していったのです。
○この銚子と江戸を結ぶ航路は、明治に入っても高瀬舟などが盛んに往来していました。しかし、上流からの土砂の堆積などで船の運航がままならないこともあり、また時間の短縮も求められたことから、銚子方面から関宿で江戸川に入る東京湾までの航路をバイパスするための運河開削が構想されるようになりました。これが「利根運河」で、当初は茨城県側からの働きかけにより国の事業として計画がはじまりましたが、国が手を引いたため、民間の力で運河を開削することとなりました。そして明治20年に利根運河株式会社が設立され、一株50円の株式八千株、40万円の資本をもとに明治21年に工事が始まりました。
○計画の段階から関わっていたお雇い外国人のオランダ人土木技師・ムルデルは、運河沿いに居を構えて工事を監督しました。そして、二年間の工期と延べ220万人の労働者の手により運河は完成しました。総工費は57万円、今日の約150億円に相当するとのことです。主に近隣の農民が農閑期を中心に工事に携わりましたが、囚人なども労働に従事しました。
○完成した利根運河の川幅は18メートルあり、高瀬舟や外輪の蒸気船など、年間三万隻もの船が運航しました。
○しかし、運河が航路として栄えたのは約20年ほどで、鉄道の開設や道路網の整備により船運は次第に衰退してゆきました。そして昭和16年の大水害で大きな被害を受けると、利根運河は国に売却され会社は閉鎖となりました。
○こうして運河としての役割は終焉を迎えましたが、その周囲は里山や田園など豊かな自然が残されとおり、運河をその歴史とともに後世に残してゆこうとの機運が生まれました。利根運河は経済産業省より、近代化産業遺産に認定されています。
○運河が完成した当初は、江戸川から利根川へと流れていましたが、現在は逆に流れています。但し、利根川側の水門は閉ざされているため運河には周辺からの排水が流れているのみで、船が往来していた時代に比べて、水量は極端に少なくなっています。


一行はその後、利根運河を江戸川方向へ約一キロほど散策、河畔にある蔵元「窪田酒造」で地酒を購入したり、運河所縁の「利根運河大師」にお参りしたのち、地元の老舗「割烹新川」で昼食をとり本年度第一回の楽習会は終了しました。
 全長8.5キロメートルの利根運河周辺には他にも見どころが沢山あります。皆様も一度お出かけください。利根運河に関しては、下記もご参照ください。
利根運河エコパーク http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00183.html
利根運河の四季 http://www.ne.jp/asahi/noda/tora/index.htm                                   
 
 
(文責 稲)