2016年5月8日日曜日

第15回定期総会を開催



◆事業計画をはじめ、新年度の方針が承認 次のステップに向かって

 

塾長挨拶


 

  森林塾青水の第15回定期総会が、去る4月9日に東京都渋谷区の区立氷川区民館において開催され、昨年度一年間の活動を振り返るとともに、新年度の事業計画・予算案、また会則の一部変更などについて審議し、今後一年間の活動内容が承認されました。
また、総会では議事に先立ち、みなかみ町商工観光課の木槫晴彦氏に挨拶をいただき、4月1日付のみなかみ町の人事異動による木槫氏の自然観光グループのグループリーダー就任と、新しく当塾の担当となった同グループの小野里宏主査のご紹介を戴きました。


                みなかみ町木槫氏挨拶

 
 発足から15年を迎えた森林塾青水は、これからも「継続はチカラそしてタカラを作る」の理念のもと、上ノ原のフィールドを拠点に、流域全体との連携を大切にしながら取り組んでまいります。今年度の役員構成と事業計画は次の通りですので、引き続き皆さまのご理解とお力添えをお願い申し上げます。
◆今年度役員構成
塾長 草野  洋 全般統轄

塾頭 北山 郁人* 全般統轄補佐・プログラム企画・みなかみ事務所長
 (地元・みなかみ町役場ならびに支援企業との連携窓口古民家再生・活用、フットパス    
 整備・活用、麗澤フィールドワーク など)

幹事 浅川  潔 事務局長(企画・予算統括、総会、幹事会、草原サミット、麗澤中調整 ほか)

稲  貴夫 情報宣伝・啓発(「茅風」編集長、東京楽習会、総会/セミナー)

岡田伊佐子 自然ふれあい学習、東京楽習会、総会/セミナー

高野 史郎 学監(麗澤中「樹木観察会」「奥利根FW」、自然ふれあい学習)

西村 大志 草原再生ネットワーク、草原サミット

増井 太樹 事業総括(流域コモンズ・連携促進、生き物調べ、モニ1000、

松澤 英喜 事務局長補佐(発信活動促進、会員管理、H/P・ブログメンテ、「茅風」編 
 集、「総会」「幹事会」、助成事業 ほか)

吉野 一幸 地元代表(地元の活動参画促進、NPO奥利根ネットワーク、まちおこし委員 
 会、古民家活用・交流促進、古道フットパスの活用、地域貢献プログラム)

米山 正寛 コラボ/森林文化協会、発信活動拡充、流域コモンズ

監事 林部良治 会計(年会費、経理統括)
顧問 原  剛 安楽勝彦 笹岡達男 滑志田隆 清水英毅

オブザーバー/相談役
   小野里 宏* 行政/みなかみ町役場窓口(観光課自然観光グループ)

   林  親男* 地元/「上ノ原運営協議会」窓口(藤原案内人クラブ)
川端 英雄 アドバイザー

  *印はみなかみ町在住の役員です。
 
◆今年度の事業計画と活動日程
 総会では、前年度の事業報告と収支決算とともに、今年度の事業計画と予算案が承認されました。主な事業計画と活動日程は下記のホームページに掲載してありますのでご覧ください。
http://www.commonf.net/?page_id=32

 参加のご案内は、開催日の約一カ月前を目途にホームページに掲載する予定です。皆様のご参加を心からお待ちしています。

●セミナー

「森を切ったら草原に戻るのか?~上ノ原で分かったこととこれからについて~」
           講師:増井太樹氏(青水幹事、岐阜大学津田研究室)
 
 本年の総会では、当塾幹事であるとともに、現在岐阜大学の津田研究室で草原の研究に取り組んでいる増井太樹氏より、表記のテーマでお話をいただきました。
 話の中心は、上ノ原のミズナラ林伐採地において、増井幹事を中心に調査が進められている森林から草原への人為的な遷移についての調査に関するものです。テーマはまさに、里山の保全と草原の再生、活用に取り組む青水の課題そのものであり、参加者からの様々な質問も含めて、非常に有意義なセミナーとなりました。
増井幹事からは最初に上ノ原草原の特徴とともに、これまで実施してきた温度測定実験の結果を踏まえ、草原の野焼きを「カツオのたたき」に譬えながら、地表部分も最大五分程度、最高300℃代の温度上昇で、地中の温度は上がらない草原の野焼きが植物に与える影響について話がありました。

増井さんのセミナー風景
続いて、上ノ原ミズナラ林伐採地での調査研究の目的について話がありました。上ノ原以外でも草原再生に向けた取り組みが各地で行われているとのことですが、草原再生のメカニズムは、意外にもいまだ解明されていない部分が多いとのことです。そこで、四十年前までは草原であった上ノ原のミズナラ林を現在にように伐採したあと、そこにどのように草原性の植物が侵入してくるのか、そしてどのような植物が残存して群落となってゆくのかを調査してゆくことで、草原再生のメカニズムを解明することが、本調査の主要な目的です。
そのメカニズムには、
 
 ①土の中に眠っていた種子が伐採後に生育する
 ②今まで林内で生存していた種が、伐採後に生育する
 ③林外から種子が散布される
という三つのパターンが想定されるとのことですが、航空写真からも、明らかに四十年前までは草原であった上ノ原のミズナラ林で、このような調査を実施することの大きな意味を確認することができました。
 そして2014年からの始められた現地での細かな植生・モニタリング調査の結果をもとに、現在において推定される事柄についてお話しいただきました。それによると、40年前までは草原であったにも関わらず、ミズナラ林伐採前の林内には草原と同じ植物は殆ど確認できませんでしたが、伐採の翌年には優占種に大きな変化は無かったものの、草原性植物の僅かな増加が確認されたとのことです。
草原再生のメカニズムを解明するには、今後、さらに長期的でキメ細かな調査が必要ですが、そのためには今後も伐採区の管理を継続してゆくとともに、上ノ原に関わる大勢の人たちが楽しみ汗をかきながら、そしてある程度の精度のある調査が必要とのことでした。今後、青水が茅場のみならずこの試験地とどのように関わって行くべきか、課題とともに期待と希望が湧いてくるセミナーとなりました。
                               (報告 稲)

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