群馬県上野村での森林セラピー体験に参加して是非とも見たい樹と訪れたい場所があった。 見たい木は「シオジ」。
シオジは、モクセイ科 トネリコ属でアオダモやヤチダモの仲間である。九州ではシオデと呼ばれ 漢字表記は 柾樹、 柾+〇(木偏に壽)
冷温帯の渓流沿、いわゆる渓畔林を構成する。本州四国に分布し群馬県利根村が北限、生育地としては秩父山地が有名であるが群馬県上野村北沢渓谷(国有林)のシオジ原生林は国の天然記念物、秩父は車で1時間程度なので上野村は秩父山地に接している。
シオジは樹高が高く30m超となる。幹は通直で完満、直径1.5m以上 単幹性(株立ちしない)葉は奇数羽状複葉で小葉は7~9枚、雄株と両性株がある、翼を持った種子は風で飛ぶが遠くへは飛ばない、稚樹は耐陰性が強い、
材は建築(建具 床柱)家具 テーブル バット 楽器 ピアノ外板 木工品(漆器)いわゆる銘木となる。
サワグルミ、カツラと混交する傾向がありアワブキ、フサザクラ、チドリノキが下木層にある林相となりスズタケは少なくなる。
これだけの予備知識を持って上野村神流川源流の中之沢へ。
シオジは奥多摩などで幼木や幼齢木は見ているが大木にはこれまで出会えていない、前橋営林局(関東森林管理局)の勤務時代に上野村の国有林のシオジの大木の話を聞いて一度は見たい憧れの樹である。本当は北沢渓谷の原生林を見たかったが、片道3時間と聞けば二の足を踏んでしまう。
さて、中之沢のシオジ。落差20mのオボロカヤの滝の対岸に大木があった。対岸に渡るのは少し難儀だが、ここまで来てそばに行かないのは折角逢った愛しい人の体温を感じないで帰るようなもの。ガイドさんに許しをもらって大木のそばへ、
堂々たる風貌のシオジの大木 |
樹肌 |
触るとふかふかの苔に癒される |
樹高は35mを超し胸高直径も100cmはある。樹皮は浅黒く荒い。思った通りの樹であり胸がキューンとなりおもわず抱きついてしまった。株の周りをまわってみるとふかふかの良い土壌、これだけの樹高を支えるので根も深く広く張っているだろう。シオジと混交する樹も下木も地表植生も予備知識のとおりである。稚樹の発生も確認。葉っぱは高くてとても取れないが稚樹で確認、シオジに逢えて感激の森林セラピー体験。
そして行きたい(いかなければならない)場所は、日航機墜落事故の520人の犠牲者を祀る「慰霊の園」、
墓石に刻まれた520名の名前、事故の記録と当時を振り返るビデオを見ると今更ながらに悲しみが襲ってくる。この方々はまさかの突然の死に直面して何を思っただろう。この方々の生きたかったとの想いと、犠牲者の救助に奔走し、心から嘆き悲しみ、遺族を慰め、そして事故を繰り返してはならないとの上野村村民の想いがひしひしと伝わってくる。自分の生き方を見つめてしまう場所であった。
草野記
草野記
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