右往左往する人間をあざ笑うかのようにコロナの勢いは収まらず、第3波が猛威を振るっています。それでも何事もなかったように、季節は巡り、初冬を迎えてしまいました。茅場の作業としては、今年度最後となる「茅出し・山之口終」を11月21、22日に行いましたので報告します。
10月末から11月中旬にかけて刈り取って寒風に晒した茅ボッチを道路端まで引き出し、トラック積みする「茅出し」そして、収穫と作業の安全に感謝する神事をおこなう「山之口終い」。
はじまりの式の後、茅刈検定の認定書を久保田さんと小池さんに手交して作業にかかった。
小池さんに茅刈検定認定証の授与 |
久保田さんの認定証 |
茅ボッチは、茅刈イベントで刈ったもの、その後2泊3日の居残りで刈った合宿刈り、今年は11月3日に降雪があって茅が寝てしまって地元茅刈衆のボッチは少ないと聞いているが、それでも推定700ボッチはあるはずであり、それを確定するのも今回の作業の目的の一つ。それらはボっチを見るとわかる。ボランティア刈りは倒れているものが多いが地元茅刈衆のものは倒れず凛として立ち、上ノ原の風景に溶け込んでいる。合宿刈のボッチも地元衆のものと遜色ないところまで上達した。現地に着くと地元茅刈衆の刈ったボッチ数の報告があり、それによると492ボッチ(2460束)となっている。
両肩に穂先を持って曳きだす |
トラックに積み込んで世に出す |
作業が終わって笑顔で |
本日の宿は「民宿関ヶ原」
感染防止のために、いつもの交流会は中止、夕食時に酒席を含めて少し長めの食堂の使用と席も密にならないように女将さんにお願いした。いつもより静かな夜は冷え込んで、朝、起きてみると真っ白な霜が一面に、霜柱も立っている。
2日目は、十二様の前をきれいにして、しめ縄を張り、「山之口終い」の準備したあと、「ゆるぶの森」の散策に時間をかけて行った。
コースは、この森で一番初めに若返り伐採をした「壮齢の森」で伐採した後の明るい森の状況を見て、キノコを種菌したところでキノコの採取、そしてブナの木のある森へ、この森にはブナが多くあっても不思議ではないがなぜか少なく3本、それでもブナの稚樹が頑張って育とうとしてる姿が見れる。途中、樹名板の付いた樹々で説明、動物の足跡もあって話題に事欠かない。この森は、適度な伐採もしているので林業のことも話せる。尾根に行くほど森の様子の違いや火入れなどの人の営みが作った土壌のクロボク土が露出しているところもあって話は縄文時代に飛ぶ。3分の1ほど行くと峠、茅場と集落と谷川岳、白毛門、笠ヶ岳、朝日岳の眺望がすばらしい、ビューポイントで休憩。此処では今年のススキの出来具合やススキの受粉のメカニズムなどを話題した。峠からは茅場に向かって下り、そこから十郎太沢を通って木馬道、もう一つのビューポイント、此処からは茅場が一望できる。そして北山さんが藤岡さんの白炭窯に到達、精錬(ねらし)に入った窯を見ながら炭焼きの作業工程などにについて説明。約2時間、3.5kmほどのコースである。
キノコのホダギで説明 |
食べ頃のナメコ |
ビューポイントから茅場を一望 |
炭窯(白炭) |
このゆるぶの森では、3,4本のコースが散策でき、いずれも森のチカラの魅力にあふれている。散策のみでなく、今回のように茅場作業との組み合わせでココロとカラダを癒す森林浴を楽しむことが出来る。ぜひココロの病などのカウンセリングに使ってほしい。
この後、「山之口終い」神事を行い。今年の無事に終了したくさんの自然の恵みを得たことに感謝して今年度最後の茅場作業は終了した。
十二様に感謝 |
最後に今年の茅刈数を報告します。
イベント刈 425束(85ボッチ)
合宿刈り 550束(110ボッチ)
藤原茅刈衆2,460束(492ボッチ)
合計 3,435束(687ボッチ)
今年も目標の3000束(古民家一棟分)を世に出すことが出来ました。
文責 草野
草野さんのブログは名文で、嬉しく読ませていただいています。写真も美しいし・・・。特に後ろから3番目の「ビューポイントから茅場を一望」は素晴らしいです。パソコンの待ち受け画面に使いたいくらいです(でも、使いません。すでに草野さんのノアザミが咲く茅場の写真を無断使用していますので)。いつも、名文と一緒に写真をたのしませていただいています。
返信削除今回は皆さんずいぶん働いたんですねえ。一人40ボッチを、一日で出してしまうなんて、驚きながら、感心しながら読ませていただいています。皆さんのご検討を喜びながら、楽しませていただいています。有難うございました。