コロナ禍で2020,2021年と中止を余儀なくされ、2022年は参加者に毛羽立てをしてもらったにもかかわらず降雨で湿った茅場のススキの燃え具合はいまいちの野焼きでした。今年こそはと現地入りした4月29日は、晴れ間があり数日の天候も良く、ススキも乾いてよく燃えそうですが本番の30日は降雨の予報となっています。
参加者は約50名、今回は大穴の消防団も特別に支援出動してくれました。
昼食後山の口開けの準備をしました。タルチョも奉旗、今年の「タルチョ」は新しいバージョンで布が輪になっているのでその中を風が通り抜けありがたい経文が周囲に広がる仕組みになっています。
山の口開け神事では上ノ原の自然、安全と収穫の願いを謳った「祝詞」が詠まれ草原に厳かな時空が流れていました。
山の口開け神事 |
はじまりの式では、新任の阿部賢一みなかみ町長が塾の担当課の原澤環境課長とともに来場され挨拶をいただきました。それに、上ノ原の茅を重要文化財の修復に使っていただいている町田工業の新社長と町田会長に「おいでいただき、新社長は一緒に作業をしていただきました。
始まりの式 |
阿部みなかみ町長 |
野焼箇所の説明
野焼きの場所はCブロック、昨年茅刈をしていてススキ以外の植物がかなりの勢いで増えていたことから、本来の予定地のBブロックを変更して実施することにしました。
ここでの本日の作業は、前日までに現地の自伐林業チームが刈払った防火帯の可燃物を熊手で燃やす側に掻き込む作業で、4つの班に分かれて実施しました。
可燃物掻き寄せ |
この作業は2時間ほどで終わったので明日の天気を考えて野焼講習を少し多めに実施することにしてその区画を区分し、点火者の指名、ジェットシュータ隊を配置して、津田先生の火の中カメラと温度計の設置が整ったの見て点火。約800m2(0.08ha)の予行練習。結果的にこれが2023年度の野焼面積となりました。
野焼き講習会 |
今回の宿泊者、人数も多く、感染対策もあって吉野屋と樹林に分宿、車座講座と交流会は他の宿泊客への配慮もあって樹林の食堂をお借りして行いました。車座講座は笹岡顧問に「上ノ原の野焼き15年」のテーマで語ってもらいました。これまでの野焼きの結果やエピソードなどを、清水、北山、草野の補足を入れながら進行しました。以前の野焼きは雪の中が多く、近年は温暖化の影響か雨にたたられる日が多く、この時季ピンク色の濃い美しい花を見せてくれるオオヤマザクラも今年はすでに葉桜。笹岡顧問が写真で示された野焼風景と周囲の景色の違いが良くわかる講座でした。
その後の交流会は、藤岡和子さんの司会で進められ、初参加者に話を振っていくと研究分野が同じなど参加者同士に意外なつながりがあること分かりました。
夜中過ぎから雨が本降りになったようで2日目は予報通り雨の朝を迎えてしまいました。
この状態では野焼は無理と分かっていても何とならんか、ダメな時は今日半日をどう過ごすかと朝から空を見上げたり思案したりした挙句、朝食の時、困ったときの津田・小幡両先生に相談、小幡先生が植物観察を、津田先生に火の中カメラや温度センサーの結果を交えてFire ecology(野焼の科学)について講座を開いていただくことになりひと安堵。津田先生をデータ整理のため宿に残して9時に着いた上ノ原はしとしと雨。ススキはずぶぬれ、これではいくら情熱があっても火は着かない。レインコートを着て小幡先生の「上ノ原らんまん」がはじまりました。この時季はオオヤマザクラが満開であるはずが今年は葉桜、それでも残った花で桜の種類によるは花や葉の違い、スミレ、イタヤカエデの花、クロモジの花などいつもの素晴らしい解説で参加者は大満足。2時間ほどで吉野屋に帰り、食堂で弁当を食べながらの講義が行われ、講義はパワーポイントで写真や動画を使いながら、野焼きをしたところとしないところの植生の違いがデータで示され、野焼の効果がよく理解できる内容でした。両先生誠に有難うございました。
小幡先生の上ノ原らんまん |
津田先生の講義 |
野焼本番は不発でしたが参加者全員が持ち味を発揮して情熱を燃やして過ごした2日間でした。
写真は清水さん、柳沼さん他のみなさが撮影されたものを拝借しました。
報告 草野
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