2023年11月12日日曜日

「2023茅刈実施報告」 ススキは生育不良でもボランティア・合宿・地元茅刈衆のチカラを結集

 記録にも記憶にもない今年の夏の異常な暑さと降雨の少なさの連続は、人々の生活にも大きな影響を与えたがこの異常気象は植物たち、上ノ原のススキにも影響して近年にない生育不良となり草丈、茎径ともに例年に比べ見劣りがする。雑草は繁茂し、ススキの色も今一で「地球はどうなってしまうのか」とススキが嘆いているようだ。                                   温暖化は急速に進んでいる。

シラカバと茅場とミズナラ林の紅葉


記帳台と後背林


  今年の茅刈は、茅場の中で比較的生育が良く、雑草が少なく、ススキがまとまっているところを探しながら刈る、自然の恵みに感謝しながらもススキの状態に心を痛めながらの茅刈となった。

 1028日、募集に応じて22名が上ノ原に集結、今年の参加者の特徴は、ヨーロッパからの留学生2人を含む東工大グループをはじめとした20代の若者が多く上ノ原茅場は活気に溢れた。

 始まりの式のあと雲越萬枝師匠の茅刈講習、その称賛される技術はもとより気の利いたジョークを交えた指導を聞くのを楽しみにしている。今年のジョークは作り上げたボっチを指して「これなら大阪万博に出しても恥ずかしくない」であった。いいなー。 

茅刈講習

ボっチを抱きしめる師匠

鎌研ぎ
   鎌研ぎ終わり、それぞれが刈り始める。                               生育のいい場所を探しながら茅を刈るのでなかなか能率が上がらない、1時間ほどで2ボッチ刈ったところで巡回してみるとやはり「茅が小さい」との声が多い。ついでに茅場全体を回り,茅刈合宿の時に入る比較的生育が良くまとまっている場所に目星をつけておく。そのあと2ボッチを作りあげたころで3時の休憩。広場にもどると岡田さんの野点の準備が出来ていて、お菓子と一緒にいただく。おいしいお茶を茅場でいただく幸せ。岡田さんいつも有難うございます。

野点で疲れが吹っ飛ぶ

作法にのっとり小首をかしげる


この後も巡回、1ボッチを刈ったころに本日の作業は終了。皆さんに出来高数に応じたボッチ券を配ってみると本日のボッチ数は60ボッチだった。 

ベテランが初心者を指導

              
刈れば日本の屋根が蘇る

 
本日の宿は料理に定評のある「とんち」。                                夕食後の車座講座は東工大学院生、平尾しえなさんの全国茅刈行脚などの話、上ノ原はもとより阿蘇、長野開田高原(カリヤス)、御殿場、大阪(淀川)、筑波、沖縄(ササ)などの全国で茅刈をしている強者、今回はヨーロッパの茅葺の話も含めて各地の茅場の特徴もあり大変勉強になる話題でした。建築が専門の彼女「家は買うものでなく作るもの」の言葉におおいに同感。

2日目、天候はまずまず。生育のいいところが把握できたのか能率が上がり、全体で70ボッチ。2日間で130ボッチ(650束)。ボッチ券で買えるお米、マメ、野菜などの地元産農産物が移動販売車で到着してたちまちのうちに完売。

今年の茅ボッチは昨年に引き続き、つくば市の国指定文化財「平沢官衛遺跡」の屋根の葺き替え用として嫁入り先が決まっている。目標の600ボッチ(3000束)にはまだまだだが条件の悪い中、皆さんよく頑張ってもらった。後は第1陣、2陣の合宿組、そして地元茅刈衆の頑張りで目標を達成することになる。

その茅刈合宿。第1陣は29日7人、30日(終日)6人、31日(午前中)3人が従事した。さすがベテランぞろい成果は100ボッチを超えた。第2陣は11月3,4,5日に6人が入り、これも100ボッチを超えたので合宿で200ボッチ(1000束)。

合宿第2陣のメンバー


きえすぎくん活躍


これに昨年2200束の実績を誇る雲越萬枝さん、渡邊勇三さんの地元茅刈衆が従事して上ノ原茅場には600ボッチ以上が林立し11月18,19茅出し・嫁入り日を待っている。

ボッチが立つ茅場



残っていた紅葉


合宿の帰りの夕暮れの茅場

  報告:草野                                             写真提供:清水さん、柳沼さん、藤岡和子さん。

 

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