2024年6月20日木曜日

活動報告「森林整備でリトリート」

  6月の活動は「森林整備でリトリート」である。1516日、上ノ原で汗を流して心身ともにリフレッシュするプログラムに20名が参加しました。

今回の森林整備のメニューは、天然更新箇所の除伐。10年前に一斉皆伐した後に天然更新して藪状になった落葉広葉樹林の有用樹の育成を促すために不要な木を切除する作業です。

この報告は、事務局長の稲さんと一部別行動をとった草野の合作です。

この時季の上ノ原の風景

【リトリート】

まずは井上さんと柳沼さんのコーチングでスタート。「上ノ原入り会いの森という素晴らしい自然の中で日頃の心身の疲れをとりましょう。そして、この2日間の行動の中で意識してほしいといいながら渡された封筒には「お題」が入っていました。私への課題は「私の思い込みとは何か?」どうやら参加者全員の「お題」はそれぞれ違うようです。さすが最近、人間を研究しているという井上さん、何か心の中が見透かされたような的確な「お題」、皆さん困ったような顔をしながらも大切なことだと意識したようでした。

木陰でコーチング

お題

【森林整備】

リトリートによる導入が終わると、一同は森林整備の作業現場に向かいました。作業を行った場所は、草原に隣接する、かつては草原であった二次林を伐採すると、一旦草原に戻るのか否か、実際の遷移の状況を検証するため、増井元幹事がドクター論文の課題のために10年前に皆伐した試験エリア。その後、草原には戻らずに年毎に様々な樹種が生い茂ってきたため、今度は百年後の立派なミズナラ林を目指して、除伐作業を昨年から実施しています。

北山塾長は作業の前に除伐作業の目的を解説した上で、ウルシなどへの対処法、 ミズナラやクロモジ等の残すべき樹種について解説した上で、残してほしい樹木に赤リボンを結び付けて、目印としていきました。参加者は続いて、斜面を注意深く移動しながら、横に張り出した枝にブドウ蔓が絡まり合った形の悪い木など、それぞれが除伐の対象だと見定めた樹木をのこぎりで除伐していきました。

今回は子供に自然体験させる場所を探していたお父さんに付き添われた小学2年生の男の子が参加しました。ハードルが高いかと思われた今回の作業ですが大いに興味を示し、嬉々としながらのこぎりで樹木を伐採していました。

天然林除伐①
天然林除伐②

【希少種の手入れ】

この日は別動隊が希少種の手入れを行いました。希少種を特定して目印をつけ、周りのススキを切除して光が当たりやすいようにしていきます。一度に急激な変化を与えないようにするため5割程度を切除して1ヶ月後の7月の活動時にさらに調整することにしました。

希少種はどこだ


【「ゆるぶの森」散策】

2日目は除伐作業の前に、「ゆるぶの森」を散策する時間を設けました。今回は上ノ原が初体験の参加者も多く、ところどころ立ち止まりながら、食い入るように北山塾長の説明に耳を傾けていました。

「ゆるぶノ森」散策

【森林整備余話】

その後、1日目に引続き、除伐作業を実施しました。作業が終わって全体を見渡すと、ミズナラなど残すべき樹木の周囲が刈払われて、以前より明るくなりました 。除伐を継続することによる年ごとの遷り変り、そして五十年後、百年後のミズナラ林の姿を想像するだけでも、流した汗が快く感じられました。

 今回は千葉県鴨川で森林整備作業を行っている東京工業大学の学生5人が参加していました。普通の森林整備と違い、伐る木を自らの決断で選ぶという緊張が伴う初めての作業に最初は戸惑ったようでしたがこのような作業はなかなか経験できないことがわかったようでやりがいを感じたのか楽しそうな様子でした。

今回、この中に「ブナ」の若木が見つかりました。直径5cmぐらいで高さは3m~4m程度の将来性を感じる立派なブナです。このブナを見たときどこから来たのか疑問がわいてきました。①ネズミなどの小動物が運んで来たという説、どこかにまだ見ていないブナがあれば別ですがこの森の種をつけるブナのところまでかなり遠い。②落葉広葉樹林の中で細々と生きていたブナの苗が伐採を契機に旺盛に生育したという説 ③伐採する前の埋没種の発芽・育成説、さてどれだろう。この森はダイナミックに動いている。まだまだ「ゆるぶの森」の全容が見えていないのかも・・・。このほか今回は、ハリギリ(センノキ)、イヌエンジュ、アオダモなど有用な樹種を改めて確認しました。

 この作業ではどの木を残すか迷います。50年先100年先の姿を想像しながらするとやりやすいというか自分の決断が納得しやすい。このことは、私にとって「植林するとき50年後のこの山の姿を追い浮かべて植えなさい、そうすれば楽しいし、どこにどんな植え方をすればいいかが自ずとわかる」と先輩に教えられた山仕事の極意で、山仕事をする際の「思い込み(こだわり)」なのです。

「思い込み(こだわり)」はポジティブな「思い込み(こだわり)」とネガティブな「思い込み(こだわり)」があり、ネガティブな思い込みは行動を自縛して、他とのトラブルになりやすく迷惑を及ぼすがポジティブな思い込みは生き方や指標自分をとなり自分を鼓舞する。思い込みは決して悪いことばかりではないな、自分がそれをどう使うかであろうとリトリートのとのまとめの時に「お題」の回答が見つけられました。

リトリート終わりのコーチング

この時季の花 タニウツギ 
写真は清水さん、稲さんに提供いただきました。

                        報告:稲・草野


         

2024年6月1日土曜日

五感で植物観察レポート  千葉県麗澤中学校

森林塾青水は5月25日麗澤中学校1年生にキャンパス内で樹木観察会を行いました。以下のレポートはインストラクターの今田和子さんがFaceBookに投稿されたレポートです。
 児童たちの観察力が素晴らしくそのときの様子が生き生きと表現されています。草野

  

1年生の『ゆめプロジェクト』春のプログラム ”五感で植物を知ろう” のインストラクターとして、森林塾青水メンバーと有志13名で行ってきました。      お受験を突破した12歳~13歳。今年はどんな子どもたちと学べるのでしょう。

 ここからは、青水の幹事藤岡が担当したグループのレポートとなります。 我がグループ18人、広場でご対面。                              はい!この木を五感で感じてみよう! グループのシンボルツリーに到着するなり、葉っぱを採って嗅いでいる「うーん?」揉んでごらんとアドバイス。 「わぁ!サクラの香り~」 「いい匂い」 「食べていいですか~?」 噛って ぺっぺ  美味しい ごっくん  その様子を見て交雑したエドヒガンザクラだと伝える。  シンボルツリーは、遊歩道まで根を張り、タイルを押し上げ、ぼこぼこしている。幹から大分離れた根っこの証拠。 「えー!ここもサクラですか~!」        園路から外れた学校の裏手へ。そこは、朝、私が見つけたとっておきの教材。伐根された大木の下部が3つ転がっている場所。 固い木質の一部がパフパフのスポンジ状になっている。触って感じる箘の力。株の内部は空洞に。目で見る虫の力。株の裏にまわる。直根、髭根、根っこと根っこの間に石が挟まって。取れな~い!根っこの力。                                   【フカフカの土壌】 ヒノキ、スギ、サワラ、ツバキ、サカキ、ネズミモチ、ユズリハ、アオキ、ヤツデ、ハラン、リュウノヒゲ......。常緑の林の中へ。 カラカラ枯れ葉のパリパリパリ カラカラ枯れ枝ポキポキポキッ 一歩入った瞬間から分解のリズム さあ!枝を拾って土に刺してみよう! 「あれ?先生みたいに入らない?こっちに刺してみよう!」 僕は場所を変えて再チャレンジ 「うわぁ!!こんなに刺さったよ。」 何かに気づいた表情を浮かべた僕 「ここはさっきより微生物が沢山いるてことかぁ。」 目を輝かせて叫ぶ僕。 土壌動物が通る孔は、土の中の空気の通り道になる。空気が土壌に入ると、微生物が活発になり、有機物の分解が速くなる。                                    【学校の樹木から思い出す】 さあ校内を五感でどんどん知っていこう!アジサイは、葉が虫に喰われて葉脈しか残っていない。どうして?ナツツバキの蕾は、銀色ベルベットの宝石 年輪て何で出きるのかな? 樹皮って大切?要らない? 歩けば歩くほど 見て、嗅いで、聴いて、触って、味わって 五感を使えば使うほど なんで?なんで? 学校はなんでだらけだ~ トイレ休憩中の女子トークを盗み聞き。 「小さい頃、公園に赤い実がなる木があって、友達と食べてみたら甘くって、おいしかったから全部食べちゃたらさ。次の年、無くなっちゃったんだよね。全部食べちゃったからかな?」 みんなちがってみんないい。譲り合いの話をした直後の会話。頬がゆるむ。                                   2時間の植物観察も終わりに近づく。今日どうだった?聞いてみる。 「楽しかったー」 「すごく楽しかった~」 「楽しかったです。」 18人みんないい顔で答えてる。 いつもの授業の3倍の時間。よく集中力落ちなかったなぁ。リアル学びの大切さを実感する。教える側からの一方通行の学びでなく、問いかけて一緒に考えて 、新しい『なんだろう?』が生まれて また考える。 木の根っこで 箘の力 どこから分解されているのかに触れた。年輪を見て、どうして出きるのか考える。中が空洞なのに実をつけるオオバボダイジュを見て、樹皮の大切さを知った。イヌシデの若い種を2つで飛ばすか、1つで飛ばすか比べてみる。2つの方が鳥みたいだけど.... 答えは自分で これから学び取っていこう まだ若い知識の種を マンリョウのように熟していこう 今日の楽しいがきっと 原動力になる 今日の子どもたちに次会えるのは10 群馬県みなかみ町上ノ原入会地 今から楽しみ。

シンボルツリーを囲んで五感を働かす


倒木の根っこ 根の観察

生態系の一員、虫を発見

自作のイラストでクイズ

オオバボダイジュの花



木材腐朽菌のキノコ


生育する場所の違いを説明するイラスト

記憶に残ることをメモ(記録)