6月の活動は「森林整備でリトリート」である。15~16日、上ノ原で汗を流して心身ともにリフレッシュするプログラムに20名が参加しました。
今回の森林整備のメニューは、天然更新箇所の除伐。10年前に一斉皆伐した後に天然更新して藪状になった落葉広葉樹林の有用樹の育成を促すために不要な木を切除する作業です。
この報告は、事務局長の稲さんと一部別行動をとった草野の合作です。
この時季の上ノ原の風景 |
【リトリート】
まずは井上さんと柳沼さんのコーチングでスタート。「上ノ原入り会いの森という素晴らしい自然の中で日頃の心身の疲れをとりましょう。そして、この2日間の行動の中で意識してほしいといいながら渡された封筒には「お題」が入っていました。私への課題は「私の思い込みとは何か?」どうやら参加者全員の「お題」はそれぞれ違うようです。さすが最近、人間を研究しているという井上さん、何か心の中が見透かされたような的確な「お題」、皆さん困ったような顔をしながらも大切なことだと意識したようでした。
木陰でコーチング |
お題 |
【森林整備】
リトリートによる導入が終わると、一同は森林整備の作業現場に向かいました。作業を行った場所は、草原に隣接する、かつては草原であった二次林を伐採すると、一旦草原に戻るのか否か、実際の遷移の状況を検証するため、増井元幹事がドクター論文の課題のために10年前に皆伐した試験エリア。その後、草原には戻らずに年毎に様々な樹種が生い茂ってきたため、今度は百年後の立派なミズナラ林を目指して、除伐作業を昨年から実施しています。
北山塾長は作業の前に除伐作業の目的を解説した上で、ウルシなどへの対処法、 ミズナラやクロモジ等の残すべき樹種について解説した上で、残してほしい樹木に赤リボンを結び付けて、目印としていきました。参加者は続いて、斜面を注意深く移動しながら、横に張り出した枝にブドウ蔓が絡まり合った形の悪い木など、それぞれが除伐の対象だと見定めた樹木をのこぎりで除伐していきました。
今回は子供に自然体験させる場所を探していたお父さんに付き添われた小学2年生の男の子が参加しました。ハードルが高いかと思われた今回の作業ですが大いに興味を示し、嬉々としながらのこぎりで樹木を伐採していました。
天然林除伐① |
天然林除伐② |
【希少種の手入れ】
この日は別動隊が希少種の手入れを行いました。希少種を特定して目印をつけ、周りのススキを切除して光が当たりやすいようにしていきます。一度に急激な変化を与えないようにするため5割程度を切除して1ヶ月後の7月の活動時にさらに調整することにしました。
希少種はどこだ |
【「ゆるぶの森」散策】
2日目は除伐作業の前に、「ゆるぶの森」を散策する時間を設けました。今回は上ノ原が初体験の参加者も多く、ところどころ立ち止まりながら、食い入るように北山塾長の説明に耳を傾けていました。
「ゆるぶノ森」散策 |
【森林整備余話】
その後、1日目に引続き、除伐作業を実施しました。作業が終わって全体を見渡すと、ミズナラなど残すべき樹木の周囲が刈払われて、以前より明るくなりました 。除伐を継続することによる年ごとの遷り変り、そして五十年後、百年後のミズナラ林の姿を想像するだけでも、流した汗が快く感じられました。
今回は千葉県鴨川で森林整備作業を行っている東京工業大学の学生5人が参加していました。普通の森林整備と違い、伐る木を自らの決断で選ぶという緊張が伴う初めての作業に最初は戸惑ったようでしたがこのような作業はなかなか経験できないことがわかったようでやりがいを感じたのか楽しそうな様子でした。
今回、この中に「ブナ」の若木が見つかりました。直径5cmぐらいで高さは3m~4m程度の将来性を感じる立派なブナです。このブナを見たときどこから来たのか疑問がわいてきました。①ネズミなどの小動物が運んで来たという説、どこかにまだ見ていないブナがあれば別ですがこの森の種をつけるブナのところまでかなり遠い。②落葉広葉樹林の中で細々と生きていたブナの苗が伐採を契機に旺盛に生育したという説 ③伐採する前の埋没種の発芽・育成説、さてどれだろう。この森はダイナミックに動いている。まだまだ「ゆるぶの森」の全容が見えていないのかも・・・。このほか今回は、ハリギリ(センノキ)、イヌエンジュ、アオダモなど有用な樹種を改めて確認しました。
この作業ではどの木を残すか迷います。50年先100年先の姿を想像しながらするとやりやすいというか自分の決断が納得しやすい。このことは、私にとって「植林するとき50年後のこの山の姿を追い浮かべて植えなさい、そうすれば楽しいし、どこにどんな植え方をすればいいかが自ずとわかる」と先輩に教えられた山仕事の極意で、山仕事をする際の「思い込み(こだわり)」なのです。
「思い込み(こだわり)」はポジティブな「思い込み(こだわり)」とネガティブな「思い込み(こだわり)」があり、ネガティブな思い込みは行動を自縛して、他とのトラブルになりやすく迷惑を及ぼすがポジティブな思い込みは生き方や指標自分をとなり自分を鼓舞する。思い込みは決して悪いことばかりではないな、自分がそれをどう使うかであろうとリトリートのとのまとめの時に「お題」の回答が見つけられました。
リトリート終わりのコーチング |
この時季の花 タニウツギ |
報告:稲・草野
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