2010年6月8日火曜日

大好きな万葉集のススキに思う


第一回東京楽習会開催
 本年度最初の東京楽習会を、5月30日(日)午前十時より中央区湊の「女性センターブーケ21」で、会員、一般含め14名参加のもとに開催しました。この日のテーマは「大好きな万葉集のススキに思う」で、講師は岡田伊佐子幹事です。
子どもの頃、柿本人麻呂ゆかりの兵庫県・明石で、百人一首などにも親しみながら育った岡田幹事は、人麻呂の作といわれる和歌
「ほのぼのと あかしの浦の 朝ぎりに 島がくれゆく 舟をしぞ思ふ」
が、いつも見ている瀬戸内海の風景そのままであることに気付いたことがきっかけで、人麻呂や万葉集の世界に自然に魅せられていったといいます。
約四千五百首の和歌がおさめられた『万葉集』は植物の宝庫でもあり、青水と馴染みの深いススキの登場する歌も、全部で71首にのぼるとのことです。岡田さんはその全てを転載した資料を準備下さりお話し下さいました。そのすべてを紹介することはできませんが、特に岡田さんが思いを込めて解説して下さった次の歌を紹介します。
  道のべの尾花が下の思ひ草 今さらなにぞ物か思はむ(2270)
上ノ原のススキ草原では、茅刈の季節を迎えるとススキの下からナンバンギセルが顔を見せます。ナンバンギセルはススキの根元で生育する寄生植物ですが、この歌は、ススキ(尾花)とナンバンギセル(思ひ草)が一緒に登場する万葉集唯一の歌とのことです。万葉集とススキを題材に参加者とやり取りしながら、文字通りの楽習会となりました。

また、岡田幹事の後をうけて、清水塾長より青水の今年の活動について報告があると同時に、5月14日の日本経済新聞の文化欄に掲載された木下武司氏の「万葉集は実用植物大全」という解説記事も紹介いただきました。植物や生態からみた万葉集の面白さについて楽しく学びつつ、あっという間に予定の時間が過ぎ去りました。
(幹事 稲貴夫)

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