―たかが10年、されど10年。10周年記念フオーラム顛末記―
●当塾10周年記念フオーラムを23日~24日とみなかみ町で開催、無事かつ盛況裡に終了した。2日間にわたり延べ150人をこえる参加者が、奥里山・藤原という暮らしの現 場で生物多様性について考えながら交流、茅刈り技術や山村文化伝承の場を持った。 新たに顔を出してくれた地元のご婦人方や町役場の皆さん、東京から馳せ参じた学生 諸君や家族連れ、そしてお猿さんたちも加わって正に「人と生き物たちが入り会う上ノ原」の賑わいだった。(写真下:茅刈り講習会の様子)
●茅刈講習会・検定会を実施した24日、念願の諏訪神社の茅葺屋根替え工事の今年度分が終了した。今回みんなで刈り取った茅350束(うち、50束は地元ボランテイアの働き)は全量、来年度の屋根替え用に地元に寄贈させてもらった。(写真下:傷みのひどかった表側がきれいになりました)
●翌25日の朝、上ノ原のフイールドには茅ボッチが静かに林立していた。
地元衆と役場関係者そして我々流域市民が入り会って賑やかだった前日までとは打って変わって、聞こえるのは十郎太沢のせせらぎと邯鄲の鳴き音ばかり。山の神・十二神さまも熊さんや蛇大将(地元ではマムシグサのこと)にも静かな日常が戻ったことだろう。(写真下:林立する茅ボッチ)
●同日、お世話になった地元衆とみなかみ町役場関係者へのお礼参りをした。異口同音に「遠路はるばる、しかも若者たちが大勢来てくれて嬉しかった」と感謝のお言葉をいただいた。少子高齢化の極みの限界集落、子供や若者たちの姿に接し歓声を耳にするのが何よりの喜びであったに違いない。
●生態系の多様なつながりの中で要石の役割果たしている種をキーストーン種というらしい。かつて、里山はヒトが適切に利用することによって保たれてきた生態系であった。果たして、現代のヒトは破壊的、侵略的な種としての汚名を晴らすことが出来るのか。たかが10年されど10年といって、かつての入会の叡知を次世代につなぐ「流域コモンズ」形成を宣言した森林塾青水。10年後、ヒトは生き物の世界で外来種と同様の嫌われ者・悪玉になり下がっているのか、それとも善玉キーストーン種として尊敬される誇り高き種たり得るのか。それは、大げさにいえば我々の実践力にかかっている。そんなことを考えさせられた10周年フオーラムであった。(清水)
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