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2023年8月20日日曜日

活動報告「夏の上ノ原生き物調べ」2023年8月19日~20日

  基本的には8月の活動はお休みですが今年度は8月19日、20日植物中心の生き物調べを実施しました。森林塾青水が上ノ原の茅場再生に着手したのが2004年、来年は20年目になります。着手前と途中で何回か生き物調査を行っていますが、ようやく入会地として利用されていたかつての茅場らしい状態になったことから20年目に専門家による本格的な生き物調査を実施する方向にあります。そこで、来年に向けて会員でもその一端が担えるようにプレ調査を実施することになりました。
 今年の夏は異常な暑さが続いており「命に危険が及ぶ暑さ」とか表現されるほどです。また雨も少なくダムの貯水量も減少し続けております。
 その暑さのど真ん中、上ノ原は標高1,100mですので都心よりも5℃程度は低いはずですが下界が熱ければ天上も暑く、日の当たるところは30度、動きも緩慢にならざるを得ません。今回の参加者は親戚のおばちゃんの話を聞いて興味を持ち初めて参加した女性、そして会の活動を支援していただいているイオン環境財団の3名の参加を含めて16名、皆さん草花と涼を求めて参加していただいたようです。
 1日目の到着後、雷鳴が轟き、雲行きが怪しくなり、そのうちかなり強く降り出しました。雨の中の調査は気分的に嫌ですのでしばらくテントの中で西村さんに事前知識として上ノ原の植物について解説していただいていると雨が小降りになってきたので茅場をひとめぐりしながら実際の植物で解説をしていただきました。

小雨の中で植物の解説

そして今回期待した貴重種のオオナンバンギセルを探したところありました。自らは光合成をせずススキなどのイネ科植物の根に寄生している不思議な植物でススキの陰でうすい紅色を帯びた花が咲いていました。
 詳しくは オオナンバンギセル - Wikipedia を参照

オオナンバンギセル




これも貴重種スズサイコの花

 夕食後の車座講座はとても充実したものになりました。まず、北山塾長の森林塾青水のあゆみとこれからめざすもの、次に日光カヤボッチの会の飯村さんの土呂部草原の地形、気候植物、活動の特色、上ノ原との違いなど、そして締めが西村さんの上ノ原の生き物たちです。いずれもパワーポイントを使いながらの説明はわかりやすい内容でした。

この夜予定していた星空観賞会は曇り空のため残念ながら中止となりました。

 2日目、朝から太陽がジリジリと照りつけ気温はたぶん32度ぐらい。まずは全員で林道わきをルートセンサスしました。対象はアザミの種類とヒメジオン、シンボル昆虫のヒメシジミです。この調査は継続して実施しています。


 今年はヒメシジミが少なく残念ながら7月にも乱舞を見ることができませんでした。
 ススキの生育は雨が少なかったせいか順調でないのとやはり季節は1~2週間ほど早くなっているようです。
 そのあと貴重種Mの個体数調査とシカから守るために周りをシカ柵で囲む作業を汗だくで行いました。

ルートセンサス風景


シカ柵設置

やはりこの暑さ、体力的に長く続けることは危険なのでプログラムは此処で終了、残り時間を岡田さんの野点をいただいたりして過ごしました。
 以下、今の季節の上ノ原の草花たちです。

ツリガネニンジン


ヤマハギ

ノハラアザミ

ハバヤマボクチ

オトコエシ

写真は清水さんに提供いただきました。
                        報告 草野

2023年6月18日日曜日

活動報告 森林整備でリトリート2023年6月17日~18日

 6月17日、18日、梅雨の晴れ間をぬって「森林整備でリトリート」を実施した。

「リトリート」を本格的に取り入れた塾のプログラムは2021年10月からである。コモンズ村ふじわら: 10月 2021 (commonf.blogspot.com) キノコの駒打ちを取り込んだ体験プログラムを実施している。
 この時はリトリート体験が初めてであったがとても新鮮でその後、塾の茅場整備にどのように組み込むかを試行錯誤してきて、今は定例プログラムとして定着している。

リトリートのメッカ この時季の上ノ原

 リトリートを組み込むにあたって、常連の参加者の中には「汗を流して楽しむ」という従来の活動内容と変わってしまったと捉え違和感を持つ方も出ている中でいかに茅場整備と融和させるか企画の段階で幹事会で検討した。

〇考え方を整理するとリトリートは
①目的・条件にあえば、どこでも、誰でも、なんでも、取り組める。
②リトリートプログラムは進化する。
③社会的貢献が大きく、今後広めることが求められ、将来性もある(今がやるとき)
④要は、リトリートプログラムを通じて自分を見つめなおし、取り戻す機会を持つことであり そのためのコ―チングメニュー(導入アドバイス)は大事な要素である。

〇塾の活動に組み込む要点
①メニューはハード系(森林整備など)ソフト系(散策など)を取り入れ結果的に茅場の整備につながるものが望ましい。
②活動の一環でありリトリートが主体とはならない
③参加者が活動に参加する目的を満足して次の活動に繋がること

 そこで今回は従来の塾スタッフが伐採などを行いそれをちょっと体験するだけでなく実質的な森林整備になる「皆伐ー天然更新」跡地の「除伐」を組み込んで「森林整備リトリート」とした。このメニューは日頃青水の茅場・森林整備を経験した参加者や塾のスタッフがいるからこそできるハード系であり、本来のリトリートとは違った形になるがコーチスタッフのお二人にご快諾いただいて実施した。

 

広場でコ―チング1日目

木陰に座ってコ―チング2日目


コ―チングスタッフ

 今回取り入れた除伐は、会員でもある増井ドクターが二次林を皆伐したらその後の植生がどのように遷移するかの研究のために2014年に設定したいわゆる「増井試験地」が9年間を経て順調に更新・生育し、藪状態となっているところを、事前に増井さんの承諾を得てミズナラ、クリ、イヌエンジュ、ミズキ、イタヤカエデなどのカエデ類、クロモジなどの有用な広葉樹を残し、ヤマウルシ、タニウツギなどの不要な広葉樹と根曲がりや被圧された形質不良な樹木を伐り除く作業で道具は手ノコ。専門的には天然更新を人の手を入れて良い山にする「除伐Ⅱ類」、私も現役時代に数か所か経験した程度で通常の人工林除伐ではないので、目的樹種を選別して残さなければならないのでかなりむつかしい作業である。

 今回の活動には山仕事は初めての初参加の団塊の世代の女性2人、看護師の女性2人(2日目のみ)含む20名が参加してほぼ初めてであろう天然更新跡地除伐に挑戦した。

除伐前

選木中

除伐中


除伐後

除伐後

 今回の活動では、十二様の前にオオヤマザクラを植樹しようと上ノ原で山取苗を探したが余り良い苗はなく、ようやく見つけた根萌芽を根ごと掘り出し植えたが果たしてつくかどうか、次回活動の際にもう少し広範囲に探してみようと思う。
オオヤマザクラ植栽
 
リトリートを取り入れた作業の様子と感想を尾島さんがフェースブックに投稿されたので承諾を得て一部修正して次に掲載します。
《森林整備でリトリート》
リトリートを森林整備の始まりと終わりに取り入れる
リトリートは日常から離れ自然の中で自分を見つめる 取り戻す......
リトリートをリードする人の指示の下、その時の感覚を言語化し参加者と共有する
言語化する事によって、その感覚がはっきりし記憶にも刻まれ易くなる
本来のリトリートはそれを一日中、または二日に渡って行う
今回の森林整備の場所は皆伐後の変化を観察している斜面の半分、既に高さ3~4mになっているもの その間を埋める様々な木々、そこをかき分けもぐり込んでのボサ刈り。
残すのは主にモミジ、ミズナラ、コナラ等、モミジは特に多く、種をびっしり付けて元気
なので、多少間引く、タニウツギはピンクのきれいな花が咲くが、丈夫で茅場に入り込むと面倒だから切る。ヤマウルシも多く、赤い葉柄が目立つが、カブレが怖く触らず。
図鑑で見た事のある葉を見つける、5枚複葉で、対生、アオダモと知る
作業中は目の前の判断のみ“切るか切らないか”、“どう切るか”『無心』に身体を動かす
前後にリトリートを取り入れたせいか『無心』がより際立ったように思う
普段は感覚を言語化する事はないから?

追記(草野)
除伐した林地にはたくさんのオオバクロモジが生育していました。これは小さい物でも残して日当たりを良くしましたので、ここは下層木がクロモジの林になる可能性が大きいと見ました。この作業を続けてクロモジ採取地(クロモジ畑)にしてアロマオイルなどの製品を作りましょう。

ヤマグワの実


                              報告 草野





2022年9月4日日曜日

「奥利根水源の森林(もり)」でリトリート -森の香りとクロモジの香りを楽しみました-2022年9月3日~4日

 

9月3日~4日「奥利根水源の森林でリトリート」を行いました。
奥利根水源の森林は、平成3年に当時の水上営林署(林野庁)が尾瀬の南東に位置する関東の奥入瀬と言われる照葉峡に近い武尊山自然休養林内に設定した低ダム群や魚道付き堰堤、開閉水門式堰堤などのモデル治山施設として森林の防災機能を強化しながら森林浴などのレクレーションを楽しめるよう管理道、駐車場、遊歩道、水遊び場、キャンプ場などを設置したレクレーション施設で、一帯は関東一の広大なブナ林となっています。

 参加者9名は、キャンプ場の近くの水遊び場の清流の音を聞きながら昼食をとりました。そのあと、ミーティングを行い水源の森林の施設や今日の予定を説明しました。                               

今日のプログラムは、この森の奥にある「田代湿原」までのトレッキングリトリートです。体力や体調から無理のできない2人は北山さんが車で管理道から先回りします。一行は、「森林浴の道」を200年生のブナの巨木群の中をフィトンチッドを浴びながら登り、管理道に合流したところで一休み、ここで、この森林が伐採が入っていてもちゃんと更新していることもあってブナ林などの天然林の伐採と更新(択伐)について説明しました。       そのあと、管理道を少し歩き、登山道に入ります。田代湿原へ登る登山道は木道が設置してあるもののぬかるみがあり滑りやすくなっているところが多くありました。ブナの巨木やシナノキ、ダケカンバの勇壮な自然林の中を歩く今回のプログラムが効いて前日まで多忙で酷使したからだと心が癒されていくのが分かります。途中には初秋らしく、名前もわからないキノコがたくさん生えていました。

森林浴の道のブナ大木








出発から1時間10分ほど、先行した3人が待っていた田代湿原の入り口にたどり着きました。合流した一行は、田代湿原の周遊道を歩いて景色を楽しみました。30年ほど前に来た時には遊歩道のそばまで水位があったように記憶していましたが今は一面が草原化、乾燥化が進んでいるようです。初夏にはヒメカイウの群落の花で有名なこの湿原がですがヒメカイウはどんな状態なのか心配されます。






田代湿原


田代湿原のリンドウ💛


この日は曇天でしたが雨に降られることもなく終了し、17時半には宿の並木山荘に到着しました。

 その夜の車座講座は急遽、草野が「ブナという樹木の特性」とこれまで見た各地のブナ林を話題としました。

2日目 夜はかなり激しい雨が降りましたが、朝から青空がでる好天気です。まず、柳沼さんの指導でリトリートプログラムにそった準備体操をしたあと「ゆるぶの森」を歩きオオバクロモジを採取します。採ったクロモジの葉をもぎ、小枝を短く切り、蒸留装置で蒸留してエキスを抽出します。

ススキの花が咲いて花粉が飛び始めた


ススキの花


始まりはリトリートで

採取したクロモジ

クロモジの葉

蒸留装置


蒸留後のクロモジ


スプレー小瓶に小分けしてお土産

蒸留装置の熱源は達磨ストーブ、冷却水は十郎太沢の湧水です。

1時間で5リットルほど取れました。これをスプレー付き小瓶に分けて参加者はお土産としてお持ちかえり。スプレーすると周囲にすごく良い香りがします。香りのお土産とは気が利いています。切った小枝を湧水で煎じたクロモジ茶も木の香りがしておいしいものができました。

この時季の上ノ原は夏から秋の花が咲いています。写真を揚げておきます。

ハギ


ツリガネニンジン

オオヤマホクチ

シシウド

ウドの花

オミナエシ

前回の活動で挿した池の周りの挿し木は、ヤナギの活着は悪く意外やタニウツギがほとんど活着していました。タニウツギの花に囲まれる池が出来そうです。

今回のプログラム1日目の森の香り、2日目のクロモジの香りと「香りの中でのリトリート」となりました。

 報告 草野









2022年7月17日日曜日

防火帯刈払いとビオトープ(池)の手入れ 2022年7月16日~17日

 7月16日~17日、戻り梅雨の中、防火帯整備を行いました。
この時季の活動は、雨でなければ炎天下の作業とあって例年参加人数は少数となります。
ところが、今回は17人がエントリー。直前で体調不良者が3人出て14人。それでも盛況でした。やはり、コロナ禍でも出かけたい。それも自然豊かで心身が癒されるところへ・・・という想いでしょう。
この時季のススキ


 初日の作業中は雨もなく、夕食後に降雨になったので楽しみにしていた蛍の光はか細かったのは残念でした。2日目は炎天下。作業終了後にスコールが来るという幸運に恵まれました。
 メインの作業は防火帯の刈り払い、エンジン付き刈り払い機5台に電動刈払機4台、それに日大水上演習林の職員の中澤さんが刈払機持ち込みで助っ人参加、計10台で常設防火帯と歩道を刈払いました。この作業は暑さの中のかなりの重労働ですが、皆さん楽しそうな作業ぶり、いい汗をかき、達成感に浸っていました。

 やりたくても体力的に
電動刈払機

刈り払いが出来ないグループは、前回造った池(名前はまだない)の周囲の植生を回復する目的で「柳」と「ウツギ」の枝を採って挿し穂をつくり、挿し木しました。挿し木はこの時季は適期、果たしてどの程度発根するかこの秋にはわかるでしょう。

 この日の宿は天然温泉風呂のあるロッジ「たかね」、汗をかいた身体を癒すことができました。
ヤナギの挿し穂とり

挿し木

挿し木


 降雨もあってホタル狩りは不発でしたが、藤岡和子さんの「野を食らう」と題した発達障害のある子供たちとの心温まる交流やパーマカルチャー体験学習を語っていただきました。青水でも彼女の素晴らしい取り組みを何とか応援できればいいのですが、今後の検討課題です。
 2日目は、炎天下でも夜の雨で快適な気温。昨日の残りの歩道の刈払いを3人にやってもらいました。
 「池の浚渫・池畔の整備」グループは池に膝まで入り、スコップを使い水深を深くして周囲を固める作業です。水温は12~13度でしょう。この暑さの中で気持ちよさそうでした。
池の浚渫



 そして、もう一組は、北山さんの案内で「ゆるぶの森」の中のシラカバの樹皮剥きです。
 立木に鉈で切り目を入れてそこから竹べらを使いぐるりと円周状に剥いていきます。この時季の樹木は水分が多いので良く剥けます。この樹皮の内皮は細く割き飾り小物などの細工に使われます。ポセット、バッグ、インテリア小物や網かごなどの細工もできるようです。ネットで実際の作品・商品を見ることができます。外皮は着火材に最適(杣人:そまびと)がたき火の着火の時に使います)。アイヌの人々はシラカバの樹皮でスリッパや長靴を作っていたようです。樺細工と言って秋田県の角館が有名ですがこの場合の樺はヤマザクラのことです。




さて、樹皮を剥かれたシラカバはどうなるのでしょう。
 樹皮とは幹の外側を覆っている部分で、樹体内部を外界から保護する形成層から外側の組織で肥大成長に伴い外側から順番に剥がれていきます。さらに樹皮は内樹皮と外樹皮に分かれます。内樹皮は形成層の細胞分裂でつくりだされた師部のことで生きた組織です。この外樹皮と師部の間に周皮はあります。シラカバやヤマザクラは最初の周皮が生き続け、肥大成長しても引き裂かれず細胞数を増やしたり、細胞を長く成長させて繊維が発達したような、この種類独特の樹皮となります。これが革細工に利用されるのです。
 シラカバの周皮は何層にもなっています。この日剥いた内皮は薄皮が重なっているようでした。形成層と師部を残せば樹木は枯れることはありません。形成層を剥いてしまうと枯れますのでこれを利用して立木のまま枯らす「巻枯らし(環状剝皮)」という技術があります。ただ、樹皮の樹体内部を虫、カビ、紫外線、寒暑、湿気などの外部から守るという役目が果たせなくなるので樹体は衰弱すると思われます。
 なので、シラカバの場合40年から50年ぐらいが寿命ですので枯れてもいいような老齢樹を剝皮の対象にするのは理にかなっています。今回の皮を剥いたシラカバはおそらく40年以上です。もちろん材は問題なく利用できます。「シラカバは死して皮を残す」ということです。
 うんちくが長くなりましたが、今回の活動は多岐にわたり充実していました。そして茅場には夏の花がたくさん咲いていましたので写真を載せておきます。

ヒメシジミは乱舞は見られませんでした。

楽しみしていたヤマユリは猿の被害で少ない



クマイチゴ


ヨツバヒヨドリ





ノアザミ


トリアシショウ


        
ウツボグサ

 
ヤマアジサイ(エゾアジサイ)






 
                                報告 草野