7月13、14日、来年の野焼きの準備作業である常設防火帯の刈払い、侵入木除去、自然環境モニタリングを行いました。刈払に7名、侵入木除去に3人、自然環境モニタリングに3人がつきました。
暑い時期に防火帯や侵入木除去を行うのは、草や樹木がこの時期までは発芽や葉の展開で昨秋までに貯めたエネルギーを使い、これ以降は、光合成を盛んに行ない次の季節に備えて体内にエネルギーを貯め込み始めるからで、この時季に草刈りや除伐を行うとその後の再生やぼう芽のためにわずかに残ったエネルギーを使い体内に次季のエネルギーを貯めることが出来ず再生力が衰退するからです。
林業ではこの時季に下刈りといって植栽した幼木の刈り出しを行いますが、これは周りの雑草や灌木を除去することで植栽木の日当たりを良くして光合成をしやすいようにするのと,前述のように周りの雑草木を衰退させ、人のチカラで植栽木の光の獲得競争を助けるのです。
今年は、新たに電動刈払機が2台増え、齊藤さんの機械持ち込みの助っ人もいれて、7台で周囲の防火帯を刈り払いました。今年は比較的気温が低く助かりましたがそれでも汗びっしょりの作業となります。今日一日で終了すると目算していましたが歩道刈りも行ったため南側の防火帯が一部残ってしまい2日目に電動刈払機で尾島、稲さんの女性2人に30分ほど刈ってもらいました。
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刈り払い機の前にヨツバヒヨドリが |
私は、十郎太沢沿いの防火帯を担当。刈り始めてすぐに気づいたのは、刈られる草群から一斉に飛び立つヒメシジミの群れが多いこと。機械を止めて観察するとナワシロイチゴの花にヒメシジミの群、それがあちこちにあります。中にはノアザミに群がっている集団も、これほどのヒメシジミの群舞は久しぶりです。ここ4,5年見られなくて心配していたのですが発生の周期なのか、気候のせいかわかりませんが見事に復活です。 可憐なヒメシジミを写真で堪能下さい。
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ナワシロイチゴの花に群がるヒメシジミ(表が青紫色♂ 暗褐色は♀) |
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ヒメシジミの幼虫の食草はアザミ類 オオイタドリなど |
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ナワシロイチゴは上品な味と香り、彼と彼女の舌鼓が聞こえてきそう |
そういえば,今年はナワシロイチゴが多いように感じます。この植物は日当たりを好むので、防火帯や道路の作設で適した生育環境が増えたのでしよう。その結果ヒメシジミも増えたという生物多様性の連鎖を生んだのではないでしょうか。そう考えるとナワシロイチゴやアザミを刈ってしまうのはヒメシジミに悪い気がして出来るだけ残すようにしました。
ヒメシジミが群がるナワシロイチゴの花、どんな味だろうとなめてみました。。ヒメシジミの可憐な姿にぴったりのとても上品な甘さと香りです。他にもギボウシ、ホタルブクロ、オオウバユリ、シオデ、ミヤマオダマキがあるたびに刈り取らないように慎重に機械を操作するためいつもより時間がかかってしまいました。ついには空想の世界に入り、「上ノ原の棲み心地はどうだい」「伴侶は見つかったかい」「冬はどうやって過ごしているの」など刈りながらヒメシジミとの対話です。安全上はもちろんNGです。
今年の夏の上ノ原、特に様々な草花や昆虫が目に付きまし。.この時季の賑やかさは来てみないと実感できません。
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ノアザミの色も鮮やか |
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ギボウシ 「貴女たちこんな花を咲かすのね!」 |
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増えて欲しい山のアスパラ「シオデ」 |
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刈り出したオオウバユリ |
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蛍を入れてみたいホタルブクロ |
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ハウチワカエデの種子(飛ぶには早い)
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西村さんの自然環境モニタリングの報告(この次のブログを参照)の中でもありますようにセンサーカメラに写った動物も多く、上ノ原の生物多様性の豊かさを実証しています。これもコツコツと15年続けた茅場再生作業の成果でしょう。
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この時季の上ノ原 |
この夜の宿は、「たかね」、日本茅葺き文化協会の上野さんと一緒に参加された京都美山町の茅葺き職人の塩澤さんに茅や茅葺きのことを沢山教わりました。塩澤さんは車イスでの生活ですが、障害を克服して茅葺職人を続けておられる情熱あふれる方でした。
今年の茅刈りは、上ノ原着手15周年とふるさと文化財の森指定記念の茅刈イベントを企画することになりました。8月には実施内容を明らかにします。みなさん、是非参加して盛り上げて下さい。
2日目は、残りの刈り払いを30分ほどで終了して、来年の事業として計画している,ヘルスツーリズムを意識しながらミズナラ林を散策しました。
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雨の中でも苦にならず散策 |
この森は、途中、本降りになった雨にもほとんど濡れないほどの壮齢で様々な樹種が比較的大きな木があり心身のリフレッシュには最適です。
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ミズナラの大木 |
草野記
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