2020,2021年とコロナ禍で中止を余儀なくされた茅場保全の最重要作業である「野焼」が3年ぶりに4月29,30日に行われた。
今年は豪雪に見舞われたので雪解けを心配して、2週間ほど前から重機で雪を搔き均す作業を実施している。28日、前日入りしてみると周囲には残雪があるが茅場は雪が消えていた。 しかし、ススキは濡れ髪のように地面に張り付いている。
ススキが寝ている茅場とオオヤマザクラ |
満開のオオヤマザクラ(名称:にぎわい桜) |
それに明日は雨の予想。本番の野焼き着火は30日10時予定。そこで作戦を変更、防火帯刈りは最低限にして、風を入れて乾燥させることで燃えやすくするための寝ているススキの掻き起し(毛羽立て)を参加者にやってもらうことにした。この日は、清水先代塾長をはじめとする古参会員有志の寄付による「飲水思源」の標柱を十二様の前に「御柱」として奉納準備と祈祷旗「タルチョ」の奉旗と道具準備、毛羽立てを行った。
御柱の設置 |
タルチョが世の平穏を祈る |
山之口始め |
祝詞奏上 |
昼食後、参加者には毛羽立てをやってもらう。
毛羽立て作業 |
15時には雨が強くなるとの「観天望気」は長年上ノ原に来ているとわかってくる天候変化である。案の定14時半ごろには着ているものも濡れるぐらいの雨となった。コロナ禍で風邪をひくと紛らわしい。宿に引き上げ着替えて、前日下見して、ちょうど見頃の「明川の桜の郷」の花見ツアーを行った。
明川の桜の郷 |
この日の宿は「とんち」。夕食後は恒例の車座講座、その前に上ノ原に設置する記帳台のコンセプト・デザインを披露。車座講座は野焼の前夜にふさわしい稲幹事の「火と神道文化」。現代の暮らしにも生きる神々の世界を解説いただく。交流会に集まったメンバーは、植物の専門家、ランドスケープ・造園の大御所、野焼の研究者、プロ写真家、野鳥専門家、地域おこしメンバー、学校教師など多士済済。豊富な話題で大盛り上がり。
さて、野焼本番の日、昨夜は山沿いは雪との予報、しとしとと冷たい雨が降っていたようだ。6:00早起きして上ノ原に行ってみると、周りの林はうっすら雪化粧、茅場も白い。今日はダメかと一旦気落ちしたが着火を1時間遅らせて陽射しが出そうな青空も見えてきたことと風速2~3mぐらいの風を期待してやるだけやろうと決めた。乾くまで参加者には「ゆるぶの森」を散策してもらうことにして小幡さんと川田さんにインストラクションをお願いした。
散策「クロボクの説明」 |
11時 4者会議で野焼実施を決定。3ブロックのうち風上にある北側から着火、可燃物も多く、傾斜もあり、毛羽立ても良くできている一番燃えるであろうと予想したブロックは2番目にやることにした。通常はやらない風上から着火しても問題ないくらい予想にたがわず燃えが悪い、炎は上がらずくすぶった水蒸気の多い白い煙が茅場を覆う、ジェットシューターも出番がない。それでも何とか黒色の茅場が増えていき、2番目のブロックでは茅の管がはじける音も聞こえだした。
赤い炎は小さく白い煙は多く |
朝日岳をバックの野焼風景 |
少しでも燃ろ |
ジェットシュータの雄姿 |
兵庫から参加して初めての火付け役 |
ジェットシューターもちょっと活躍 |
そしてトラ刈り模様の末黒野がまがりなりにも現れ、1時間遅れの12時半過ぎに鎮火。今年の焼け具合は「レア」だが茅場保全の重要な作業を無事終了した。
一番燃えたシーン |
末黒野をバックに、御柱を横に |
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