2024年8月31日土曜日

8月活動報告 植生調査  ―専門家チームと一緒に上ノ原の植物を調査―

 

817日、1814名が参加して上ノ原の植物調査を行いました。

森林塾青水が上ノ原茅場の再生活動に着手して2024年が20年目の節目の時、記念事業として着手時に調査した生き物、特に植物相がどのように変化しているかを調べるために本格的な植物調査を本年の事業計画に盛り込んで実施しています。 

調査は、幹事の西村さんを塾の担当者として茨城県霞ケ浦環境科学センターの小幡さんの協力を仰いで実施しています。これまで春の調査を行い、今回は夏の調査になります。今回は小幡さんの仲間の飯田さんと栗原さんに同行していただきました。

この専門家チームに募集に応じた会員や一般参加者が加わり一緒に調査して記念事業を盛り上げようという目論見です。

一日目、午前11時半頃上ノ原に到着、先行して朝から調査を行っていた専門家チームの帰りを待って広場で待機、朝食後、調査を続ける専門家チームとは別行動で「ゆるぶの森」に入りミズナラなどの直径成長測定器(デンドロメータ-)の設置、ブナの稚樹のは発生調査、センサーカメラのデーター回収を行いました(別途稲事務局長報告)。

             

ブナの巨木にデンドロメータを設置

           

  

          


この日、私にとっては衝撃的なことを目にしてしまいました。

上毛高原から旧水上町に入り湯桧曽付近利根川両岸に沢山の樹木が赤茶けて枯れている用に見えます。特に、垣間見えた谷川方面がひどく、まるで紅葉しているような様子は、この時期としては異様な風景です。藤原ダムを過ぎてもその風景が続き、ついには藤原の入り口集落のダム湖の上も程度こそ少ないものの集団的に赤茶けています。この時期、ミズナラなどの多いみなかみで葉の変色(枯損)する状態は「ナラ枯れ病」を疑わざるを得ません。

  ナラ枯れ被害:林野庁 (maff.go.jp)

ナラ枯れ病は、ミズナラなどブナ科の樹木が枯れる森林病害虫で九州から東北までほとんどの地域で被害が急速に広がっていてカシノナガキクイムシが媒介する病気です。

このナラ枯れがまさか標高の高い上ノ原までは侵入していないだろうとの思惑が外れ、広場から見る「柞の泉」の上部に赤茶けた樹木が2カ所見えたときには大きなため息が出ました。

               

ナラ枯れ被害と思われる樹木の枯れ(ゆるぶの森奥)

            

被害木、茅場の隣接地

そこでこれを確かめるべく星見さんに同行してもらい調査することにしました。茅場に近い増井試験地のところのミズナラの被害木はすぐに到達することが出来て写真のようにカシノナガキクイムシの糠のようなフラス(糞と木くずが混ざったもの)が確認され、穿孔跡もあります。樹木の葉枯れの状態からまずナラ枯れ病による被害に間違いありません。

被害木(茅場隣接地)

               

被害木(奥地)

                 
フラス

               

穿孔跡
被害木

        

                

そばにあったキツツキの巣作り跡

そしてもう1カ所の現場探しは難航しました。この箇所は「ゆるぶの森(塾の管理地)」から外れていてかなり遠く。森に入ると被害木は見えなくなります。広場から見た柞の泉のからの方向と距離を頼りに急傾斜でガレ場、時には獣道をたどりながら登ること40分、ようやく到達、被害木はいずれもミズナラで3本ありました。これもフラスや枯れの状態からナラ枯れ病だと推定しました。フラスのサンプルを採取して下山しましたが。どうしてここまでカシノナガキクイムシが飛来したのか。多分上昇気流に乗り到達したのではないかと思います。

ナラ枯れの脅威をひしひしと感じましたがこの付近には中径級のブナが集団的に生育していたのを確認できたのは収穫でした。

この日の気温はかなり高く少し歩くだけで汗びっしょりで専門家チームの調査が一段落したあと十郎太沢で冷やしたスイカやキュウリ、トマトで身体を冷やしました。

今回の宿は別荘地にあるホテルサンバードの一棟貸し温泉付きコテージ、

夕食は、バーベキューを楽しくいただきました。

2日目は、専門家チームが残りの調査を終えたあと、小幡さんのガイドで上ノ原の今の季節の植物を歩きながら解説してもらいました。様々な植物がある上ノ原、その違いと見分け方を丁寧に教えてもらい、上ノ原の植物相の豊富さに今更ながら感心するとともに報告書が楽しみになりました。

               

植物の解説

           

オオナンバンキセル

           

コオニユリ

 そうこうするうちに藤原湖マラソンを無事に完走した稲さん夫妻が帰ってきました。

 さて、本日の昼食は念願の十郎太沢の流水を使った「流しそうめん」。北山塾長が用意した孟宗竹を使い、コテージで茹でたそうめんを、樋に流しながら麵ツユでいただきました。冷たくて大変美味しい流しそうめんでおなかがいっぱいになりました。来年もやりましょう。

                

流しそうめん

 写真は清水さんに提供いただきました。

 報告・文責 草野