2024年10月5日土曜日

草原と森の再生プログラム 国土強靱化に貢献する”茅穂取り”

 

9月28日、29日の二日間、茅穂(ススキの種)の採取を主目的としたプログラムを会員・会友11人が参加して実施しました。

茅穂採取は今年で三回目ですが、今回の特徴は、茅穂採取の作業を効率的に行うために、ハサミで切り取った茅穂を手間なく取り込むために、口が開いたまま腰にぶら下げる専用の採取用袋を準備したことです。参加者はそれぞれ、その専用袋を腰に取り付け、適当な茅の穂を求めて茅場に踏み入り、採取していきました。

以下は、藤岡副塾長のフェイスブックからの転載です。

ススキの穂を採る 何のなめに?

気候変動 多発する災害

急激に地球は変化している

入会の森 みなかみ藤原上ノ原茅場の活動に関わって10年。3年前からススキの穂を収穫しています。山地崩壊した箇所に、ススキの郷土種とパイオニア樹木の種を空中散布して、緑化する工法があるのです。

関東周辺の崩壊地に蒔く、関東周辺のススキの郷土種を探しに、上ノ原のススキを調査してくれた方のお話です。

「近年中国産など輸入したススキの種を蒔いていた。それでは、外来種の森へ遷移は、辿っていった。在来種を蒔くと、その郷土が本来持っている自然のちから、そこに根付いていた植物の遷移を辿ることが分かった。」

地球本来のちから

郷土のちから 最大限に引き出すために

いつどこでなにが起こるかわからない時代

非力な私でもできること

ススキの穂を採る 崩壊した大地に届け

災害に強い大地への一歩となるために

種が熟し、飛び立つ寸前の今頃に穂を採る。伝承されてきた里山のしごとにはなかった、新しい入会仕事 ススキの穂採り

それは、人びとが利便を求め、産業化を突き進み、自然から離れて暮らす  

うになった証。

入会仕事が途切れていなかったら、必要なかった仕事なんだろうなぁ。

そう感じながら

空を仰ぎ

穂を手繰り寄せ

パチン パチン

ハサミを動かすのです。

上ノ原のススキ


 

事前の準備

茅穂取り

 
今年から導入した茅穂入れ(山菜採取袋)

背の高い穂は腕を伸ばして


茅穂取りスタイル


また、北山塾長と清水顧問、稲、藤岡幹事の四名は、「里山の土壌を知るプロジェクト 2024」のための土壌のサンプル採取を合わせて実施しました。

これは、京都大学フィールド研究所が実施している調査で、近年に伐採された里山と、長年伐採されていない里山の双方で、①土壌の現状評価、②伐採の影響評価をおこなうというものです。公募により条件に適う山林を所有、または管理する団体などが参加して実施する「市民参加型の全国里山土壌調査」ですが、イオン環境財団からこの情報を得た青水では、まさに十年前に伐採した「増井試験地」が調査適地と判断して応募しました。そのサンプル採取を今回のプログラムに併せて実施したものです。

サンプル採取は、調査マニュアルに従い、伐採地とその対象区とした隣接したミズナラ林の2カ所で実施。土壌や落葉の採取、提供の他に様々な調査項目があり、植物に対する知識とともに練度も必要な作業でしたが、北山塾長の差配で無事に終了、茅穂採取に合流しました。

土壌のサンプル採取

 

                 周囲の樹木の幹周りを計測

二日目も朝から茅穂を採取。生憎小雨が降り始めて茅穂も濡れてきたので、作業は早めに切り上げ、上ノ原のナラ枯れの状況を視察しました。ナラ枯れにやられたのは、柞の泉の手前にあるミズナラです。葉は茶色に枯れ、ミズナラの幹の周りの下草は、木食い虫にやられた木の粉が降り落ちていました。草野さんからナラ枯れの説明を受けながら、今後の対策などを話し合いました。

ナラ枯れ病で枯れたミズナラ


ナラ枯れ(フラス)


その後は、濡れないようにシートに包んだ茅穂を古民家に運び、昨日の分と一緒に拡げて、事後を塾長に託しました。

青水の二日間の成果は、乾燥重量で12.6キログラムでした。自伐林業グループの分も入れて、今年は約30キログラムを納入できるようです。青水の分については、実働人数や天候による時間の制約を考えると、採取用袋の効果も大きかったと思います。

茅穂の乾燥


その後は、諏訪神社に移動し、お参りのあと歌舞伎舞台の軒下を借りて弁当を拡げ、草木が生えてきた屋根の葺き替えなどを話題にしながら、二日間のプログラムを終えました。

 

 

諏訪神社


                  報告・文責 稲
               
                  写真 清水ほか
  

 

 

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