2019年5月5日日曜日

賑やかで充実した野焼で「平成」を締めくくり


2019年3月16日に上の原の茅場が文化庁の「ふるさと文化財の森」に認定された。これは、全国の文化財を修復するために必要な資材を安定的に供給するための制度で、木材や檜皮,茅,漆などの産地全国76カ所が設定されており、上ノ原を含む4カ所が新たに設定されている

新たなステータスを得た上ノ原で「令和」を目前にした429日、「平成」最後の野焼きが無事に終了した。

春になって、藤原は43日の4月としては記録的な53cmの積雪、10日前後にも低温と降雪により上ノ原の雪解けは進まなかった。固まった雪の表面を重機でかく乱することによりその後の気温の上昇で雪解けは急速に進む

10連休の真っ最中の427日、前日入りして、今年の野焼箇所のBブロック(町道と林道に囲まれた区画)や常設防火帯を見回ると、残雪は思ったより少なく野焼面は充分に確保できるが地面やススキの湿りが大きい。雪によるススキの倒伏状態もいつもより激しいようだ。それでも28日の好天の予報に乾燥が進むと判断して、仮設防火帯を縦に2本、横に1本作り6小区画に区分することにして、刈払機で地面をこするようにして刈り、可燃物を焼失面に掻き込み地面を露出させる作業にとりかかった。ほどなくすると雪が降りはじめ一次吹雪模様でうっすらと積雪する中、17時近く、誰かの「まだやるの」の声がかかるころ仮設防火帯がほぼ完成した。
 
「参加者の中に神官の方はいませんか~」 一年の安全と収穫を祈る山之口開
 
雪が舞う中の防火帯刈り
 

28日は、晴天、気温も高い。一度上ノ原に行き、準備作業をしているところに参加者の一人から「新幹線が動かない、復旧の見通しも立っていない」との緊急連絡、とりあえず、上毛高原に行くと、変電所の停電事故で運行停止、それからの小一時間は参加者に在来線に切り替えるように連絡するのにてんやわんや。

それでも12時半ごろには全員が揃い、はじまりの式、山の口開き、ミーティングを行い作業開始。作業は常設、仮設防火帯からの可燃物のかき込みとウツギなど除伐、ついでに遊ぼう(棒)パン用の棒の採取である。15時には作業もおわり、藤岡さんが午前中に仕込んだパン生地を棒に巻き付けて焼く、遊ぼうパンと岡田さんの野点を楽しんだ。
野焼きの前の作業 可燃物掻き寄せ

灌木除去

遊ぼう(棒)パンでもぐもぐタイム



今回の野焼きのゲストは多彩な顔触れと多くの初参加者で賑わった。そのなかの一人が塾メンバーの尾島さんがネパールですっかり気に入って招へいした好青年、トレッキングガイドのSubushさん。彼は、2週間の滞在中、桜の季節の会津やみなかみでアウトドア―を体験して、前日入りで野焼の作業を手伝ってもらった。勤勉な性格で力持ちで実によく働いてくれた。参加者も好感を持ってくれたようだ。

会津の桜を楽しんだスバスさん(右)

野焼きで太鼓を披露するスバスさん
 

国立環境研究所の西廣先生は二人の韓国からの留学生、茨城自然博物館の小幡さんは、同僚と森林総合研究所の研究者を同行、岐阜大の津田先生は大学院学生を同行、日本自然保護協会の朱宮さんは家族を同行、そのほか、昆虫と植物の相関関係を研究テーマにする大学院生もいてアカデミック色が強く出ていた。

初参加者も多く、中でも子供たちと、親と、夫婦で、家族一緒で参加したグループがほほえましい。一度参加した人がお友達を同行するケースも増えたのはとてもうれしい。北山さんのPRも効いて地元藤原の方の見学者も多くあった。
若者が薪割挑戦 なかなかの腰つき
 

今回は、毎日新聞の記者の方も取材に来ていただいて54日の朝刊の特集に掲載された。

その夜、宿泊参加者44名に、みなかみ役場高田課長ほか2人、共愛学園前橋国際大学の学生サークル藤原集落応援隊6人も加わった大人数で行われた交流会は、みなかみユネスコエコパーク、ふるさと文化財の森をメインテーマの大いに盛り上がった。

さて、29日、好天に恵まれ、ネパールの祈りの旗「タルチョ」がまるで黄色いハンカチを模したようにはためく中の野焼本番である。
 
タルチョ(馬風旗)がたなびき安全を祈る
 

「タルチョ(風馬旗)」とはチベットの五色の祈祷旗のことで、寺院や橋などによく飾られている。 青・白・赤・緑・黄の順に並んでいてそれぞれが天・風・火・水・地を表し、木版印刷により願い事や六字大明呪と呼ばれる仏教の呪文や、虎、麒麟、鳳凰、龍などが描かれていて経文が書かれている場合は風にはためく度に読経したことになる。今回は、尾島さんにネパールで直接購入してもらった。

地面やススキの湿り気は相変わらずだが幸いに気温も上昇気味、4者協議のGoサインも発せられ、着火隊、ジェットシュター隊、レーキ延焼防止隊が揃って、920分ごろ、カラマツ林に隣接して面積が一番広い小区画①から着火、林道わき上部を帯状に焼き、Aブロックへの延焼を防ぎ、常設防火帯、仮設防火帯に沿って同じく帯状に焼き、区画の斜面下真ん中あたりに火を着けて一気に燃やしていくつもりだったが、やはり湿り気が多く、火力が弱いので薄い落葉は焼けるがススキの稈(かん)が焼けずに残ってしまう、いつもの舞い上がるような炎も少ない。安全だが迫力がない、それでもススキの稈がはじける「パチパチ」という音が聞こえているので野焼の効果は十分にあるだろう。
 
安全な作業のためミーティング
 
 
帯状に焼失面を作る
 
湿っていて炎が上がらない

未黒野出現

 

②~⑥と縞焼き法で次々と焼いていき縞焼き法を実践確認する。出動してくれた消防団の放水の出番もなく11時には鎮火を確認して平成最後の野焼き気も無事に終わった。

この日は、支援をいただいているイオン環境財団の方が視察され、塾の活動と人脈を評価してもらうととともに藤原地域に触れあっていただいた。
 
イオン環境財団の方々
 

今年の野焼きを表現すると「ミディアム」であったものの、比較的広い面積(推定2.4ha)の野焼きを仮設防火帯と小区画縞焼き法の効果を実践で確認できたこと。 多様な参加者があって人のチカラが塾の運営のチカラとなることことを確信できたことである。

10連休の真っ最中にもかかわらず全面的な協力をいただいたみなかみ町役場、出動いただいた藤原消防団、大勢で押し寄せ、面倒なことをお願いした吉野屋さんに心から感謝いたします。

 

うえのはら お散歩手帳

上ノ原のガイドブック「うえのはら お散歩手帳」が出来ました。
これは、塾のフィールである上ノ原で楽しく過ごすための手がかりを集めたもので、周辺地図、野焼きなどの茅場の保全作業の解説、茅場・森林と人の暮らしの関係、四季折々の景色・草花、動物たちとの出会いを写真を豊富に使ったフィールドで使いやすい肩の凝らない全20ページのガイドブックです。下記にその一部を掲載しておきます。
 幹事の西村さんがお仕事の忙しい中、イオン環境財団の助成をいただいて精力的に編集してくれました。
おりしも、上ノ原の茅場が文化庁の「ふるさと文化財の森」に認定されたことでもあり、これでまた上ノ原がより親しみやすくなり、楽しく過ごせること請けいあです。
                                          草野記








 

上ノ原着手15年記念手拭「飲水思源」が出来ました

 

 2003年に旧水上町上ノ原町有林(もと入会地)の借受契約を結び、2004年に40年ぶりに野焼を復活させた上ノ原着手から2019年は15年目になります。それを記念して手拭を作成して会員に配布しました。
 渋い色合いの藍の下地に「飲水思源」の白抜の素敵な手拭です。
幹事の尾島さんのアイデア、デザインでさすが服飾の仕事人、センス抜群で、
今後も塾を盛り上げていこうという気持ちを固めるいいきっかけになるグッズとなりました
飾るもよし、首や頭につけて野良作業で使うもよし、どうぞお役立ください。
 なお在庫がありますので追加が欲しい方は申し出ください、一振り500円でお分けします。
                                           草野記

2019年4月20日土曜日

第18回定期総会を開催  事業計画をはじめ、新年度の体制と方針を承認


森林塾青水の第18回定期総会を4月6日()午後一時より、東京都渋谷区の環境パートナシッププラザのセミナースペースにおいて、会員及び関係者27名の参加のもとに開催しました。議事に先立ち、草野塾長、続いてみなかみ町エコパーク推進課の小林勲さん、森林文化協会の斎藤義浩さんが挨拶。その後、清水顧問を議長に選出し、事業報告では昨年度の活動を振り返るとともに、新年度の事業計画・収支予算案、役員の選任等について審議。それぞれ原案の通り承認されました。

 ※写真 草野塾長挨拶
 
 

 

森林塾青水は、「飲水思源」「人と自然のほどよい関係」「継続はチカラそしてタカラを創る」の基本理念のもと、「地元のチカラに都市住民のチカラを加えて、自然の恵みを持続的に利用する仕組み」の構築と維持に取り組み、上ノ原で活動を始めてから丁度15年が経過しました。今年度は、活動の地元主導体制への移行を図りながら、みなかみと藤原の地域関係人口として深いつながりを持ちながら、特に下記の点に重点をおいて取り組んでゆく予定です。

 

ユネスコエコパーク、ふるさと文化財の森指定に沿って、都市住民、地元住民、行政との協力体制を再構築、現地リーダーたちをバックアップし、現地主導体制への橋渡しを図る。

茅刈数増産対策。半減した茅刈衆の穴を埋める施策を継続していきます。

下流圏部会の活動を試行、藤原に軸足を残しながらも下流圏会員向けの、親睦的な楽しい活動を目指す。

 

また役員選任では、長年、青水の会計を担当してきた林部良治会員が幹事を退任。今年度から青水の会計は松澤事務局長補佐が担当することとなりました。林部会員からは会計収支の視点よりユニークな挨拶がありました。新年度の役員構成と事業計画は次の通りですので、引き続き皆さまのご理解とご支援をお願い致します。

 

今年度役員構成

塾長 草野  洋 全般統轄 事務局長兼務(企画・予算統括、総会、幹事会)、現地移行準備協議、下流圏プログラム統轄

塾頭 北山 郁人 全般統轄補佐・プログラム企画・みなかみ事務所長(地元・みなかみ町役場ならびに支援企業との連携窓口)、現地移行準備協議、地元活動活性化(麗澤FWなど)、古民家・倉庫・機器管理

 

幹事 稲  貴夫 広報(「茅風」編集長)、東京楽習会、総会/セミナー

岡田伊佐子 麗澤中「樹木観察会/FW」、自然ふれあい学習、東京楽習会、総会/セミナー

尾島キヨ子 麗澤中「樹木観察会/FW」、下流圏プログラム補佐、茅刈り合宿

西村 大志 WEB管理(H/P・ブログメンテなど)、助成事業、広域連携補佐(草原再生ネット、草原サミット)、麗澤窓口、樹木観察

増井 太樹 広域連携(草原再生ネットワーク)

松澤 英喜 事務局長補佐(予算管理、会員管理、総会、幹事会ほか)、会計・出納、定例活動関連事務、助成事業補佐、WEB管理補佐、現地移行準備協議

吉野 一幸 地元代表(地元の活動参画促進、NPO奥利根ネットワーク、地域貢献プログラムほか)

稲  貴夫(兼務) 会計監査

 

※備考 現地移行準備協議会は幹事全員で対応、事前調整は上記3者で対応

 

顧問 安楽勝彦 笹岡達男 滑志田隆 清水英毅 高野史郎

 

オブザーバー/相談役

     小林  勲 行政/みなかみ町役場窓口(エコ・パーク推進課)

     林  親男 地元関係相談役(藤原案内人クラブ)

     川端 英雄 アドバイザー

 

今年度の事業計画と活動日程

 主な事業計画と活動日程は下記のホームページに掲載してあります。


 ※トップページからは、「森林塾青水とは」→「年次総会決議事項」へ進んで下さい。

 参加のご案内は、開催日の約一カ月前を目途にホームページに掲載します。皆様のご参加を心からお待ちしています。

セミナー

総会終了後、セミナーが開催されました。上ノ原で活動を始めて15年。活動の重点を地元に移行するとともに、「飲水思源」の原点を忘れることなく、地域関係人口の繋がりを保ちながら下流圏での活動を展開してゆくというこれからの課題を全体で共有していきます。

今年は「上ノ原、里山の保全と活用について、過去・現在・今後」をテーマとして、元塾長の清水顧問、草野塾長、そして地元の活動の核となってきた北山塾頭より、それぞれこれまでの活動を振り返りつつ、将来への展望を語っていただきました。清水顧問からは、青水設立の前史も含めて、様々な形で関わってこられた方々のエピソードも交えてお話しいただきました。また草野塾長からは茅場の維持及び再生のためのハード、ソフトにわたる様々な取り組み、及び北山塾頭からは地元藤原地区の現況やNP法人奥利根源流ネットワークの活動なども交えながら将来展望も含めてお話しいただきました。

続いて、みなかみ町エコパーク推進課の小林課長補佐より、「エコパーク」および「ふるさと文化財の森」についての解説をいただき、特に後者については、今後一層青水との連携を深めながら、上ノ原を地元及び文化財の保護のために生かしてゆきたいとの話をいただきました。
 

 
※写真 清水顧問、笹岡顧問




(報告 稲)

2019年3月20日水曜日

キャンドルナイト・雪原トレッキング

今年度の最後のプログラム、キャンドルナイトと雪原トレッキングは、3月9日10日に8名の参加者で行った。
初日は、会場であるサンバード藤原スキー場で藤原雪まつりのお手伝い、雪像やかまくらなどを作る作業をである。青水は、そり滑り台を受け持って2時間ほどで完成。そのあとはキャンドルの設置、点灯を行って宿に帰り夕食を済ませて再び会場へ。
藤原雪祭りは夜の祭りである。豪雪地を逆さにとり、スキー場に訪れるお客様とともに楽しむ。ファイヤーパフォーマンス、松明スキー滑降、ファイアーバルーン、プロジェクションマッピング,花火、おもてなし、地元名産品などの夜見世も出て賑やか。かまくらの中ではコーヒーショップが良い香りを漂わせていた。締めは華麗な花火で。余韻を残して宿に帰る。
 2日目は、大幽洞までの雪原トレッキング、今年は雪が少なく、堅いのでカンジキ不要、参加者には小学生もいたが、3時間ほどで無事帰還。
 上ノ原はやはり積雪は少なめ、この分では今年も雪のない野焼になりそうだ。


青水が受け持ったそりの滑り台

プロジェクションマッピングが写ったぐんまちゃんの雪像


谷川岳をバックに大幽洞へのトレッキング


                                     草野記