2015年12月22日火曜日

上ノ原は昆虫たちの楽園 Symbol Insect はヒメシジミでいかが?



青水は、上ノ原の茅場を再生しコツコツとその維持利用を12年ほど行っている。

見える成果として、ススキ草原がよみがえり、毎年、重要文化建物の茅葺き用資材を供給しながら故郷の原風景としてエコーツーリズムの場として利用されている。

一方、全国でも希少で、関東に残された有数の人の手で管理された半自然草原としての生物多様性保全が発揮されているはずであり、「人と生き物たちの賑わい」と表現して活動の究極のよりどころとしている。これは最近研究対象として見出されつつあるが今一つ実感がない。

そんな中うれしくなる報告があった。本年度の第3回東京学習会で(株)プレック研究所の山崎浩志さんに「上ノ原の昆虫相」としてこれまでの3年間の調査結果を中間発表していただいた。

詳細は、茅風通信第47号でご覧いただくとして、上ノ原に生息する昆虫相はチョウ類、ハムシ類、カミキリムシ類、カメムシ類、ゾウムシ類など782種、中には珍しいものもいるようである。調査が進めばもっと増えるであろうとのこと。

水辺こそ少ないがススキ草原とミズナラ林をコアーに、防火帯、林縁部、管理道など様々な棲息環境がある。ススキ草原でも、野焼したところ、していないところ、茅刈りしたところ、していないところ、ミズナラ林でも伐採したところ、伐採木を残しているところなどモザイクが横にも縦にもある。これに継続という時間が相まって、程よい維持・管理がなされた結果であるらしい。

上ノ原の茅場と周辺ミズナラ林は、昆虫たちにとって繁殖・生息場所として私たちが気づかない間に賑わいを取り戻し楽園になっていたようだ。800種の昆虫、動物、植物がそれぞれ係り合って生態系を形成している。

2年ほど前に実際に起きたテントウムシの異常な増加は吸汁昆虫のアブラムシが増えたことに対する生態系バランスが機能した結果であるように、上ノ原では生き物が相互にバランスをとって暮らしている。

彼らもまた茅場を懸命に維持してくれているのである。まさに、人と生き物の協働作業であり、賑わいである。

このように、多くの生き物が生息する環境が出来たことはうれしいことであり、目指す生物多様性保全という生態系サービスの発揮の観点からは十分である。

しかし、各地の環境団体の活動成果を見ると例えば「ホタルが増えた」「バイカモが増えた」など目に見える成果が強調される。上ノ原は、「良いススキが増えた」「多くの生き物たちで賑わっている」それはそれでいいが正直「なんだかなー」の思いもある。

そこで、考えた。特別にそれを増やすとか保護するとかでなく全体の賑わいの中でシンボルとなるものを見出せばよい。上ノ原では邯鄲も良いが鳴き声は聞こえても姿が見えない。山崎さんにヒメシジミを勧めていただいた。なるほど、初夏ごろからナワシロイチゴやアザミに群がる愛らしいヒメシジミなら上ノ原のシンボル・インセクトとしてふさわしい。

ヒメシジミに焦点を当て参加者に様々な姿を写真にとらえてもらいコンテストをやるもよし。

ヒメシジミについての勉強会もよし。

シンボル・グラスはもちろんススキ。アニマルは、ミズナラ林を縄張りにして時々姿を見せ作業を見ていることもあるニホンカモシカの武尊君か? シンボル・ツリーは? シンボル・フラワーは? 人と生き物たちで賑わう上ノ原に行くのがたのしみになってきませんか!!
                                                    草野記



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