2025年3月9日日曜日

雪原トレッキング 雪とうどんを踏みしめて 2025年3月8日~9日

 3月、2024年度最後のプログラム「雪原トレッキングと自然体験」を行いました。大雪のニュースで藤原の様子が度々報じられたことが良い宣伝になったのか、雪原イベントとしては過去最多の25名が集まりました。

上ノ原手前の駐車場まで上がると、両脇はカーブミラーがすっぽり埋まるほどの雪の壁。これは歩き甲斐がありそう…!各々スノーシューやかんじきを装備し始めます。北山塾長の愛娘、藤原育ちのルナ師匠によるかんじき履き方講座も催され、皆足元の不安無く大幽洞を目指します。

藤原の古老お手製のかんじき
履き方を教えてくれたのは藤原育ちの女子高生

沈まない足を手に入れたら、真っ新な雪を踏みたい衝動は抑えられません。さっそく思い思いの大きな足跡が雪原に鏤められます。序盤は平坦だから、まだ大丈夫。シジュウカラの声に耳を傾けたり、ドライフラワーになったツルアジサイにときめいたり、セッケイカワゲラの型破りな生き方に驚いたりしながら歩けば、ウォーミングアップ完了です。

いよいよ登りが始まると、素直に前倣えで進みます。最後に待ち構える急登は、2班に分かれてアタック。前半チームは深い雪に埋まりながら全身で前へ前へと道を切り開き、後半チームはスノーシューの刃が立たない程に踏み固められた道に食らい付いてよじ登ります。それぞれ筋肉痛の部位が違ってたことでしょう。

向こう側が透けて見えそうなブナの落ち葉
幹に張り付く雪。風向きを想像してみる。
谷川連峰もぼんやりお目見え…?
急登を前に現れたラスボス、リーゼント!
すごい斜度…
ゲレンデのような斜面との激闘!

ついに辿り着いた洞窟の中には、ヒョロヒョロもやしっ子の氷筍が大勢並んでいました。塾長曰く、気温が低いと水滴が凍るのが早いため、細長い形になるとのこと。毎年異なる姿で迎えてくれる氷筍たちは、その冬の天候を敏感に受け取って表現してたんですね。
帰路は恒例の尻滑りでスタートし、勢いそのままあっという間の下山でした。無事に予定通りのトレッキングを終え、日帰り参加の5名を見送って民宿並木山荘へ戻りました。

今年は華奢な氷筍たち


夕食を戴いた後、希望者は「藤原雪まつり」を見学すべく藤原スキー場へ。入り口の雪灯りとステージを囲うスウェーデントーチの温かい光が、凍える指先や目や背筋に染みました。真っ暗なゲレンデを背景に、今年も「GOROPIKA」のファイヤーショーで盛り上がり、大きな打ち上げ花火が真冬の澄んだ空を彩りました。 

スウェーデントーチのステージサークル


二日目は、初めての「藤原盆でうどん作り」。民宿関ヶ原からお借りした栃ノ木の「藤原盆」は、囲炉裏の煤で真っ黒になっていた表面を削り直したそうで、木目が煌めいてとても素敵です。藤原盆のカタチの特徴は、底の一部が斜めにカットしてあること。これにより盆を手前に傾けながら、力を込めて生地を捏ねることができます。

伝統民具「藤原盆」

次に登場した古民具は、なんともレトロで可愛らしい「手回し製麺機」。かつて藤原集落では家族でうどん作りをする習慣があり、一家に一台は必ず製麺機を持っていたそうです。まずはラッパのような挿入口から生地を入れてハンドルを回し、平らに延ばしていきます。折りたたんで延ばしてを何度か繰り返したらギアチェンジ。今度はギザギザのローラー部分にペラペラの生地を挟み込んで再びハンドルを回すと、細めのうどんがにょろ~っと出てきました!た、楽しい!

民宿の女将さんによる製麺指導
薄く均一に延ばされた生地たち
贅沢な手作りうどんランチの完成!

大量生産された「藤原うどん」は、程よい弾力とつるつる食感でお店にも劣らない味わい。生地を捏ねたり踏んだり伸ばしたりの具合によって微妙に歯応えが違うのも面白く、皆席を立ってあちこちのザルに手を伸ばし、食べ比べを楽しみました。次回は上ノ原の山菜と一緒に戴くのも、ありですね~。

(報告:河辺)

2024年12月2日月曜日

森林塾青水が第62回社会貢献者表彰を受賞 -3代塾長揃踏みで式典に出席-

 一昨年の茅刈りの時だったろうか日光茅ボッチの会代表の飯村さんから「社会貢献者表彰(茅ボッチの会は第58回で受賞)というのがあるので森林塾青水を推薦したいのですがよろしいでしょか」との打診を受けて北山塾長が公益法人社会貢献支援財団に申請していたところ、昨年8月栄誉ある賞の受賞決定の通知を受け取りました。財団の担当者が2024年の野焼きを視察されて我々の活動がこの栄誉にふさわしいかどうかを見ていただき、こちらとしては好印象を得たと思ってはいたもののこの朗報に小躍りし、推薦していただいた飯村さんに感謝・感謝・感謝でした。

 社会貢献者表彰とは公益財団法人社会貢献支援財団が、人びとや社会のためにつくされた方を表彰し、日本財団賞が贈られるもので表彰は年2回行われます。

 対象者は広く社会の各分野において、社会と人々の安寧と幸福のために尽くし、顕著な功績を挙げながら報われる機会の少なかった方々を対象としています。候補者は、自薦他薦を問わず広く一般に公募され、年齢・職業・性別・信条・国籍などによる差別はありません。そして表彰対象者には、賞状及び日本財団賞(賞金)が贈られます。

https://www.fesco.or.jp/award/index.php 🔎社会貢献者表彰

第62回の表彰式は昨年末、12月1,2日に「帝国ホテル東京」で挙行されました。推薦された団体・個人は200以上、60が一次審査に、最終受賞者は30団体、うち、自然系が3団体、そのほかはほとんどが福祉系でした。

式には1団体4人まで出席(宿泊を含む)出来ます。さて誰を・・・・、現塾長は当然として、幹事会において若手幹事から次代を託す中心人物の藤岡和子副塾長が指名され、ちょうど20周年記念の年でもあり初代・2代目・3代目塾長で揃踏みでという事になったのですが晴れがましいところ苦手で「帝国ホテル」と聞いて怖気づいて一旦は辞退したものの清水さんの揃踏みで栄誉を受けようとのお勧めもあって2代目の私も出席することになりました。

初日は受賞者懇談会がありました。この中で各団体がそれぞれの活動を1分間で自己紹介する場面があり、青水は所用で遅れてくる北山塾長に代わり若きエースの藤岡さんが飲水思源を合言葉に茅場の再生・保全に取り組む意義や成果を堂々と語ってくれた時には思わず涙ぐんでしまいました。

懇親会々場の様子

表彰団体の紹介ビデオ

藤岡副塾長のスピーチ


堂々のスピーチ


その後、夕食会が行われ帝国ホテルのフランス料理をおいしくいただきました。

ワインも格別


19時に解散後、3人で当ホテルのバーを冒険をしましたが場違いな雰囲気にお酒を味あう余裕はなく、その後合流した北山さんと有楽町の居酒屋で飲みなおしました。

帝国ホテルのバーの雰囲気


帝国ホテルの部屋で一夜を過ごし、朝食は皇居前広場と日比谷公園が眺望できるビュッフェ(ちなみにバイキングという食事スタイルは帝国ホテルが発祥の地)で大満足の朝食を済ませせた後、2日目の式典に臨みました。

朝食会場のビュッフェからの眺望

式典は10時からで、堂々の入賞者入場で式典が始まり、安部昭恵会長挨拶、表彰状授与、受賞者代表謝辞、笹川陽平日本財団会長の祝辞が続き、内館牧子選考委員長の乾杯で祝賀会(昼食会)となりました。

会場の展示パネル 青水は2段目左から3番目


初代塾長(元祖飲水思源)

2代目


表彰状を手にした3代目




次世代の担い手

表彰状


祝賀会では各団体のビデオ紹介や佐藤ひらりさんの澄みきった歌声とピアノ演奏の記念コンサートが花を添えました。

祝賀会

お料理のひとつ


今回の表彰は上ノ原着手20年を迎えた塾にとって利根川源流の目立たないところで地道に茅場の再生・保全活動を継続したことが認められという機を得た大変うれしい吉事となりました。初代塾長清水さん、3代目北山さん、そして私にとっても塾長としてその一端を担ったことに誇りを感じています。

これも会員の皆様や藤原集落の皆さん、みなかみ町役場の見返りを求めない献身的なご協力の賜物です。改めて皆様に心から御礼申し上げますとともにこれからの森林塾青水へのご協力をお願いいたします。

                       報告 草野

 

表彰式の様子は下記のサイトからも見られます。

第62 社会貢献者表彰式典 : 公益財団法人 社会貢献支援財団


2024年11月24日日曜日

活動報告 茅出し -べっぴんさんの嫁入り-2024年11月23日~24日

 

茅出しは、「入会の森」の冬支度です。

4月の野焼きに始まった今年の茅場仕事も、茅を出して年納め。10月の茅刈りイベントでは、まだ青み多いススキでしたが、地元茅刈り職人渡辺さんや自伐組み、青水有志が11月中頃まで刈り進めていくうちに、黄金色へと変わって行きました。

雪の中の茅場


 

いよいよ嫁入りの日。この日は、寒風吹く冬型の気圧配置。都市部は晴天でしたが、赤城山が見えるところになると雪が降ってきました。積もる前に出せとばかり、到着そうそう作業を始めます。前日には、自伐組が天気予報を見て、早急に対応してくれたお陰で半分出されておりました。そのため、同じく天候が心配で、早めに筑波を出発した平沢官衙遺跡搬入トラックに、すぐ積むことが出来ましした。自伐組の皆様、ありがとうございます。

 

曳きずるボッチにどんどん積もる雪

積もればその分どんどん重くなる

寒さに負けるな

無事に「べっぴんさん(上ノ原の茅のこと)」を嫁に出せ

ボッチの先をつかんで一度に2ボッチ

曳き出す前の結束

 

湿った茅はとにかく重い


一度に沢山の茅を出す新兵器「橇」
欠点は斜面をもって上がるのが大変


積み出し前にべっぴんさんとトラック待ち




疲れ無し若者

今年の嫁入り先は、昨年に続いて筑波の平沢官衙遺跡実物大復元建物に600ボッチ(3000)鴨川の「小さな地球ゆうきづか」の葺き替えプロジェクト学生有志が刈った150ボッチ(750)です。残りの84ボッチ(420)で、広場の白樺を芯柱に『にゅう』を作りました。雪融けまで、ここ上ノ原で保管します。

この保管方法は、上ノ原の茅が藤原集落だけで循環していた時代のやり方です。この茅を春先に雪橇で運んだそうです。『にゅう』のくくり方が合っているのか分かりません。知っている人は、もう茅出しには来ることは叶いません。もっと早くに習っていたらと、悔しい気持ちが湧いてきました。でも、後悔したって仕方がない。『やってみる』これも継承の一技なのかもしれません。このくくり方で良かったのかどうか、来春の雪融け後に分かります。

 

今年,初挑戦の「にゅう」作り

手探りの縛り方


支えは塾の看板と白樺の木


=山の口終い=

一年の入会仕事が無事に終えられたことを、今回お世話になった宿『樹林』我ら入会仕事の師匠の一人、阿部惣一郎さんの墓前でご報告いたしました。

また、宿から上ノ原へ向かう途中、茅刈り職人雲越萬枝さんのお宅を訪問し、ご挨拶とご報告を致しました。

最後に、草原の広場に鎮座おわします十二様にお神酒と山のもの・里のもの・海のものと塩と水と米をお供えし、感謝と無事と祈願をこめて祝詞を捧げました。

十二様に祝詞奏上


今年の茅ボッチ数
茅刈イベント166ボッチ 830束
茅刈衆(地元)412ボッチ 2060束
合宿106ボッチ   530束
小さな地球 150ボッチ 750束
 計    834ボッチ 4170束 

嫁入り先
 平沢官衛遺跡(茨城県つくば市) 600ボッチ 3000束
 ゆうきずか(千葉県鴨川市)150ボッチ 750束
 上ノ原にゅう 諏訪神社用ストック 84ボッチ 420束 

 

来年も善い入会仕事が出来ますように

皆様も良いお年をお迎え下さい。       報告  藤岡和子

                      編集  草野 洋

                      写真  清水さん提供

               


                   茅だしスナップ








        

 

2024年10月27日日曜日

茅刈り実施報告-茅刈りも段々辛くなり-2024年10月26日~27日

  森林塾青水の大きな作業の一つが茅刈りです。もう一つの大きな作業の野焼きから半年ほど、ススキの丈は2mを越しフワフワの穂を揺らしています。ただ、いつもの年と比べると大分葉の青さが残っています。

いつもより青いススキ


ここの茅の行き先は関東一円の寺社の葺き替え等です。また、東日本大震災の際は福島に建てられた仮設住宅の断熱材にも使われました。そして、去年に続き今年も茨城県の平沢官衙遺跡(国の史跡)で復元された正倉等の屋根の葺き替え用に送り出します。

 このグループで活動し始めの頃、『日本茅葺き文化協会』なるものがある事にとても驚きました。茅葺きの協会!いったい何をするんだろうと。今は分かります。少なくなる茅場と職人ですが、寺社等の葺き替えの需要は続きますので茅の生産は重要なのです。近年、日本の『伝統建築工匠の技』がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、材料の提供である『茅採取』も含まれるのです。これは大いに喜ばしい事です。

  当日集まったのは39名。ベテランを囲んだ刈り方のレクチャーでは、みんなスマホを掲げて熱心です。それが済むと初心者はベテランの隣で1ボッチ作ってみます。まず茅を刈って径20㎝の束を5つ作ります。それを1つに纏めてボッチにします。重要なのはゴミ(雑草)を入れない事と束をギュッと結わく事。それによってその後の仕事がし易くなるのです。勿論、職人にとっても使い易い茅になるのではと思います。

雲越萬枝さんの指導


いつまでもご指導お願いします。


 みんな思い思いの場所で刈っているのですが、茅で姿は見えません。私もここならと思う所に直行し刈り始めます。そこは丈の高い丈夫そうな茅が多いのですが、雑草も多いので刈る前に除きます。雑草で特に往生するのは高い茅に絡まった細い蔓です。それらは根元で切って上にしごいて取るのですが、背伸びしても最後まで手が届かず茅をカーブさせてようやくの時もあります。2日目は別の所でと思ってそこで1ボッチを作ったが、良い茅の塊があるよう見えるのにそうでもなく、1日目の場所に移動して昼までに4ボッチでした。前日のと合わせて計9ボッチ。

品質の高い大きな茅束


 これでボッチ券が9枚手に入ります。ボッチ券は超限定の地域通貨で1枚200円に相当し、茅場出張販売での地元産品購入と活動参加費充当に使えます。昼食後、居残り作業をしたのですが、5ボッチまで行かず。

ボッチ


 とても疲れました。参加したての10数年前は刈る時のザクッザクッとい言う音がとても気持ち良い音で、癒されるとさえ感じたのに、今は鎌を引くのにとても力が要ります。音もザクッザクッではなくなって来ている様に感じます。その頃、地元の古老5,6名が私達の指導をしてくださったし、自分の時間での茅刈りもされていました。が、段々減って今年はついゼロです。そんな訳で、青水でも『茅刈り合宿』と称して例会の他に首都圏等から茅場に通って刈っています。

 平沢官衙遺跡での必要数3000束。今、合宿組は更に頑張っている所です。

 どうか茅刈りに来てください!

ボッチの立つ茅場



ボッチの作成作業

自慢のボッチの前で


2日目集合写真、左に移動販売車

ベニテングダケ


                 報告 尾島キヨ子

                       写真提供 清水