2010年8月24日火曜日

猛暑の草原に志の涼風が吹く

~志援(協賛)会員茅風交流会開催報告~

 8月17日は猛暑日となった。首都圏では38度に届くほどのうだるような暑さ。
 標高1050mの上の原もジリジリするような暑さであるが、草原には時おり涼風が吹き、水温12度ぐらいの十郎太沢の水は、のどを潤すと心地よい涼感を感じさせてくれる中で茅風交流会が開催された。
 今年度から本格的に始めた、青水を「志」で応援する志援(協賛)会員キャンペーンも8月1日現在既存法人会員4社を含めて23社となり、みなかみ町などの源流域について一段落したしたことから源流域の志援会員21社に、一度上の原のフィールドと藤原をご案内し、今後の青水の活動にパワーとアイデアを頂戴するという趣旨で意見交換会を呼びかけてところ10社の参加をいただいた。
 参加者は、みなかみ町鬼頭副町長、町田工業株式会社町田社長、小荒井製菓小荒井社長、辰巳館深津社長、武尊山開発(株)雲越宝台樹事業所長、みなかみ高原ホテル200 小関総支配人、源泉湯の宿松乃井戸澤社長、喫茶しなだ品田社長、みなかみ町商工会山田経営指導員。
 また、みなかみ町から木村、金子さんに随行いただいた。
青水から清水塾長、草野塾頭、北山現地事務所長、石原若頭がアテンドした。
 なお、当日は朝日新聞の記者が取材をかねて終日同行した。
 当日はみなかみ町のワゴン車運行の協力を得て、上の原に集合したのが10時30分。
 
 上の原もさすがにこの日はさえぎるものがない炎天下ではじっとしていても汗が噴出す。
参加メンバーの紹介を終え、十郎太沢沿いを柞の泉へ向けて散策開始。途中、武尊山や谷川岳を眺め、ハギやオミナエシなどの植物のこと、春の野焼き、除伐、そして10月に行う茅刈、草原を維持するために必要な一連の作業などを説明しながら登っていく。


 ところで、今年のススキは丈が低く、旺盛さがいまひとつ、一方、ススキに比べて雑草の繁茂は激しく、スススキの生育はあまり良くないと感じていたところ、町田社長に聞くと首をかしげて「今年はあまり良くないなー」、そう言えば今朝会った幸新のおばあちゃんもそのようなことを言っていた。
 今年の夏は暑さが厳しく、雨も少なかった(一回一回の雨は多かったというが)のが原因ではないだろうか。

 やがて、一行は炎天下からミズナラなどの樹林に入ったとたんにひんやり感を体感。
柞の泉では水温10度の天然湧き水を味わってもらい、設置した自動カメラの説明などを行う。その後、木馬道・管理道を経て広場に帰る40分コースでフィールド散策を終える。
 この間、参加者の皆さんから異口同音に「いいところですね~」「おちつきますね~」「もっと活用すべきですね」との感想が聞けたのは大変うれしいことであった。
 ところで、メンバーの中の戸澤社長は、森林や山菜、キノコ、動物の習性などのとても詳しく、ご自分でも山菜やキノコを採取してホテルのオリジナル料理に一品加えておられるとのこと。聞けば、東北のマタギと一緒に暮らし、山のことを教わったとのこと。
  会場を幸新に移し、意見交換の場を設定してあったがフィールドで時間をとられ、資料の説明と10月に行う10周年記念フォーラム及び茅刈検定への協力を特にお願いして昼食。
 実は、茅風交流会にはもうひとつ目的があった。それは、この日は藤原諏訪神社の夏祭りの日であり、伝統芸能獅子舞や奉納相撲が興行され、藤原が賑わいを取り戻す日である。
 茅葺きの諏訪神社の舞台で行われる藤原の文化・歴史にふれてもらうためにわざわざこの日を選んだのである。

 獅子舞や奉納相撲はプログラムによって挙行されるが時間は早くなる場合もあるとのこと、時間を見計らって諏訪に移動。しかし、プログラムは大幅に遅れており、獅子舞の最終幕がなかなか始まらない。みなさん仕事の都合を付けて参加されていることもあって、この場で解散とすることになった。それでも2~3名の方にはその後始まった獅子舞を鑑賞していただき14時40分ごろ藤原をあとにした。

 猛暑の中、そしてお忙しい中、ご参加いただいた皆さんに改めて御礼申し上げます。
また、ご協力いただいたみなかみ町役場、藤原区、商工会に心から感謝申し上げます。
 今後、志援会員キャンペーンの対象はいよいよ利根川沿いに中流域・下流域に下っていく。
このような意見交換の場を何度か開催するとともにフィールドを見ていただく機会を作るなどして“利根川つながり”の「志力」を結集して流域みんなで支える「流域コモンズ」の実現を青水は目指している。


草野洋

2010年7月26日月曜日

天然ク-ラーと熱帯性都市型ジャングル

―「モグラもヒトも熱中症!」考 ―

・7月20日から3日間、塾の仲間とともに群馬県みなかみ町藤原に滞在した。麗澤中1年生「水源の森フールドスタデイ」と川越小5年生「里山探検クラブ」の児童受け入れのためだった。
上ノ原や田んぼのあちこちで、短い夏を彩る草花やチョウやハチやトンボなど様々な生き物が元気な姿を見せてくれた。用水路脇で大きなカエルを捕まえた子供たちが歓声をあげていた。都会の子たちが自然児に還った瞬間だった。(写真①)
・出会った生き物たちで驚かせられたのは、上ノ原に向かう車道に仰向けになっていたモグラだ。運転していた北山さんが発見、車から降りて確認すると息がなかった。丸まると太っていて車に轢かれた形跡はない。すると、地元の皆さんが“馬鹿げに暑い”と形容する猛暑のせいか? 22日の朝10時ごろ、アスフアルトの路上の温度は40度を越えていたであろう。下界の埼玉県下では、18日から23日までの6日間で21人が熱中症で死亡したという。医者も薬も病院にも縁のないモグラたち。いったい何匹、熱中症になっていたのだろうか、など愚考した。(写真②)
・この3日間、飲み水は全て谷の湧水で済ませた。水温は10度、森の中(標高1070㍍前後)の気温は日中で26度前後。湧水はまことに美味く、林内は正に天然クーラーさながらに涼しく快適。民宿の朝夕は肌寒いくらいだった。ところで、最終日の22日18時半から始まるW大学「環境講座」受講のため、東京に直行し新宿駅で乗り換えた。なんだ、この“暑さ(熱さ)”は! 缶入り飲料が飛ぶように売れている。19時、教室に飛び込んだ。「環境講座」とはいえこの暑さ、冷房は入れている。20時現在の室温を携帯温度計で計ると28度。昼間の田舎の森(天然クーラー)26度VS 夜中のコンクリートビル街(熱帯性都市型ジャングル)28度、という構図。(写真③)
・猛暑が続くこの夏。気温が1度上昇することの経済効果は約4,000億円、の由。(日経新聞7月24日夕刊) 藤原に滞在した3日間、水も買わなかったしエアコンも使わなかったので、環境負荷は限りなくゼロだが経済効果も限りなくゼロ。東京にいて缶入りのお茶買って冷房がんがん入れれば、経済効果は抜群だけど環境負荷も絶大。各地で猛暑の記録を更新した7月22日。同じ1日のうちに、二つの異なる土地に身をおいて経験した対象的な事象。地球環境問題の本質の一つは不可逆的現象であること、と学んだ。かつての『暖冬異変』が死語となり『猛暑日・熱帯夜』が常態化しつつある今日。我々はどうしたらよいのか? 環境講座の講師や受講生の皆さん、ヒントをご教示下さい!
(2010年7月25日。清水)

2010年7月25日日曜日

エコポイント実践第1号

エコポイント実践第1号
会員のS.Tさんから、昨日朝、お電話があり、お持ちになっていた家電エコポイントを使って、当塾あてに寄付指定(事業者番号:K201)してくださったそうです。
まさに「実践に勝る説得力はない」ですね。
今回は、S.Tさんにただただ脱帽、感謝。我々も・・・ですね。

家電エコポイント
http://eco-points.jp/use/category06/K201/index.html

(清水)

2010年7月24日土曜日

「実践の右に出る説得力なし!!」

森林塾青水は今年で10周年を迎える。
 10年一昔、藤原集落にも会員にも10年の歳月が流れ老齢化が顕著になっている。
組織が活力を生むためには多様な人材で構成されなければならないとされ、よく「ばか者」「よそ者」「若者」が必要といわれている。青水のメンバーは「よそ者」の集まり、そして何よりも利根川源流の元・入会山(茅場と薪炭林)を再生するという事業に取り組むある意味での「ばか者」である、が、残念ながら「若者」の会員が少ない。
 そこで、今後の10年目を見据えて二つの流れで新規会員対策を行っている。
 一つは若い会員を増やす「世代(ジェネレーション)のつながり」である。  
 地元藤原では塾長の熱意あふれる勧誘で民宿やホテルの後継者が次々と加入する一方、都市側でも塾長念願の学生部が誕生し、早稲田環境塾とのコラボレーションプロジェクト古民家再生プロジェクトがスタートしている。
 もう一つの流れが「流域(エリア)のつながり」である。
それは青水の活動に「志」と「アイデア」と「マンパワー」を頂戴する志援(協賛)会員の勧誘キャンペーンである。 これは利根川の源流域から下流域までの「利根川つながり」で企業・大学・研究機関等を対象にしており、まさに流域で支える現代版入会を目指すものである。
 これまでのキャンペーンの結果、7月1日現在、みなかみ町をはじめとする源流域で21社にご賛同いただいている。今後は沼田市など群馬県内中流域、埼玉・東京・千葉の下流域に展開する計画である。
 そのキャンペーン活動の7月のある日、塾長と小生が志援会員であるS氏の紹介でN市H市長に
青水の活動とキャンペーンの趣旨をお話しする機会があった。H市長は自然・文化・伝統や森林・農林業にご理解の深い方とお聞きしていたので、共感いただけるとは思っていたが表情も変えず説明を黙って聞いておられる姿に少々不安になった時、力のある声で言われた言葉が
「継続の右に出る説得力なし」であった。
 失礼ながら市長にもう一度ききかえしたくらい感動した言葉であり、塾長は喜色満面。
 H市長が青水を高く評価していただいたことがわかる何にもまして有難い言葉であった。そのあとのH市長は、ご自分の主張も交えながらこのような活動が本当に大事であることなどをとうとうと語られた。
 その中に、下流住民から見れば利根川上流の地域は一つの単位で見ている。反対に上流からも埼玉も東京も千葉も一つの地域として見ればいい。この見方がこれからは大事で行政の枠組みを超えた広域でさまざまな問題を解決していく取り組みが必要である、との趣旨の話に意を強くさせられた。
 青水が目指すものは大くくりすれば利根川水源地域の自然・文化・歴史を流域のみんなで支える現代版入会=流域コモンズである。上流からも下流からもこのような見方がベースになるのではないかと思う。   
 青水の活動は自分たちのやりたいことであり、これまで、しこしこと継続してきてそれなりの成果も達成感もある。別に世の中に認められるために活動しているわけではないが、時にはこのように世間や有識者に評価されることがやりがいにつながり明日の活力と成長の源になるのではないだろうか。

塾頭  草野 洋

2010年6月8日火曜日

大好きな万葉集のススキに思う


第一回東京楽習会開催
 本年度最初の東京楽習会を、5月30日(日)午前十時より中央区湊の「女性センターブーケ21」で、会員、一般含め14名参加のもとに開催しました。この日のテーマは「大好きな万葉集のススキに思う」で、講師は岡田伊佐子幹事です。
子どもの頃、柿本人麻呂ゆかりの兵庫県・明石で、百人一首などにも親しみながら育った岡田幹事は、人麻呂の作といわれる和歌
「ほのぼのと あかしの浦の 朝ぎりに 島がくれゆく 舟をしぞ思ふ」
が、いつも見ている瀬戸内海の風景そのままであることに気付いたことがきっかけで、人麻呂や万葉集の世界に自然に魅せられていったといいます。
約四千五百首の和歌がおさめられた『万葉集』は植物の宝庫でもあり、青水と馴染みの深いススキの登場する歌も、全部で71首にのぼるとのことです。岡田さんはその全てを転載した資料を準備下さりお話し下さいました。そのすべてを紹介することはできませんが、特に岡田さんが思いを込めて解説して下さった次の歌を紹介します。
  道のべの尾花が下の思ひ草 今さらなにぞ物か思はむ(2270)
上ノ原のススキ草原では、茅刈の季節を迎えるとススキの下からナンバンギセルが顔を見せます。ナンバンギセルはススキの根元で生育する寄生植物ですが、この歌は、ススキ(尾花)とナンバンギセル(思ひ草)が一緒に登場する万葉集唯一の歌とのことです。万葉集とススキを題材に参加者とやり取りしながら、文字通りの楽習会となりました。

また、岡田幹事の後をうけて、清水塾長より青水の今年の活動について報告があると同時に、5月14日の日本経済新聞の文化欄に掲載された木下武司氏の「万葉集は実用植物大全」という解説記事も紹介いただきました。植物や生態からみた万葉集の面白さについて楽しく学びつつ、あっという間に予定の時間が過ぎ去りました。
(幹事 稲貴夫)