2013年12月29日日曜日

式年遷宮伊勢神宮訪問

すでに茅風通信41号で稲さんが報告していただいていますが、
森林塾青水の幹事を中心とした有志が、第62回式年遷宮が執り行われた三重県伊勢市の伊勢
神宮を参拝しました。
 伊勢市駅前広場から外宮への参道は、最近リニュアルしたり建てられた建物が多くあります。
 外宮の以前の社殿、特別参拝により中に入ることができました。
 手前が旧社殿、奥が新しい社殿、木の色の違いでわかりますよね。
 内宮の参道おはらい町通りの中央部におかげ横丁があります。路地が入り組んでいろんな模様物をおこなっています。
 内宮の社殿、石階段から中は撮影できません。この社殿の右奥に旧社殿がありますが、こちらは見ることができませんでした。
 おはらい町通り、20年くらいかけて古い街並みを再生されました。伊勢の建物は道路側に切妻の妻側があるのが特徴です。
伊勢市駅の東側に、古くから伊勢の海運の要所として栄えた河崎町があります。古い建物もまだ残っています。

2013年12月10日火曜日

環境教育関東ミーティング2013渡良瀬遊水池参加報告


12月7〜8日の二日間にかけて、栃木県栃木市で開催された今回が10回目の環境教育関東ミーティングに、塾を代表して浅川と増井さんが参加しました。増井さんは8日の分科会13「草原を活用することで甦る地域の魅力」のプレゼンター、仕事の関係で8日だけの参加でした。総参加者人数105名、その内栃木県の参加者が半分くらい、韓国や中国かも10名参加、平均年齢は30代前半位でした。


            
 

 初日のオプショナルツアーは9時〜11時まで、ラムサール条約に昨年登録された渡良瀬遊水池(面積3,300ha山手線の内側半分くらいの広さ)を見学しました。栃木県・茨城県・群馬県・埼玉県の4県4市2町にまたがり、栃木市が一番の面積となっています。
 水が溜まっている谷中湖は、調整池なので、コンンクリートでできていますが、夏にはカビが発生し水が臭くなるので、冬の間に水抜きをして乾燥させています。水がないと水鳥が来なくなるので、部分的にコンクリートを無くす実験をしているそうです。
谷中湖はハート型になっていますが、これは旧谷中村集落の中心地の神社、寺、墓地などを残したいという、地元の住民による反対運動があり、ここを残すことになったそうです。
ヨシ原には世界で2,000羽しかいないチョウヒが40羽くらい生息し、ワシタカ、ハヤブサ、サシバも生息し、シギ、チドリの渡りの中継地となっています。
会場は栃木グランドホテル、今回のテーマは「渡良瀬遊水地から未来へつなぐ環境教育」、最初に、呉地正行氏(NPO法人蕪栗ぬまっこくらぶ理事長、高松健比古氏(日本野鳥の会栃木代表)と青木章彦氏(わたらせ未来基金代表世話人)の鼎談があり、取り組みを紹介してくれました。
蕪栗沼もラムサール条約(沼150ha、水田259ha)に登録され、水鳥のがんの越冬地として、環境保全、生物調査、固有性の環境教育、地域の啓蒙情報発信、町のグリーンツーリズムエコツーリズムの企画、農業との共生「冬水たんぼ」などの取り組みを紹介されました。
わたらせ未来基金は、ヨシ腐茎土づくり、湿地保全・再生プロジェクト、土取り場の再生、ヤナギ除去などの保全活動をしています。
ヨシ焼きは、ヨシズ組合と行政、消防団が主体に行っていて、防火帯は業者に委託しているそうです。今年のヨシ焼きは3年ぶりで良く燃え、一気に全面が燃えたそうです。
分科会Aは渡良瀬遊水池とラムサール条約に参加し、栃木農業高校農業環境科学クラブの2、3年生が、キノコ栽培の寒冷紗に葦簀を利用など、葦簀の利活用について発表してくれました。ヨシ1100円を栃木県に使用料として支払しているそうです。
翌日の塾の分科会13は、参加者6名でしたが、呉地氏に参加していただけたので、地域の資源の物語づくりや誰にでもわかりやすいキャッチコピーが大事、生産性や効率性だけでは持続できないなど、貴重なご意見をいただきました。
早朝プログラムで鳥の観察会もありましたが、そちらには参加しないで、一人で栃木のまちなみ散策を1時間半くらいしました。水路と蔵と古い屋敷が組み合わさってまちなみ環境ができています。こういうプログラムがあるといいのですが。(あさかわ)





2013年10月14日月曜日

中之条の自然・文化・風景にふれる気ままな旅


 9月29日(月)から30日(月)にかけてオプションプログラムで中之条に行ってきました。
9月の活動が終わった午後、参加者6人は上ノ原を後にして、絶好の秋晴れのなか新治街道を中之条に向かいました。沿道は、刈り取が終わって豊穣の証であるハザ架けが並ぶ風景が続いていました。
 今回のオプションプログラムは、「中之条の自然・文化・風景とふれる気ままな旅」として活動に合わせて催行しました。
 
旧吾妻第三小学校
当初は、国の重要無形民俗文化財に指定されている「お茶講」で優雅な時間を過ごすこともメニューに入れていましたが参加者が少なく取りやめました。その代わり、2年ごとのこの時期の中之条でしか見られない芸術の香り高い「ビエンナーレ」の一部を見ることができました。

 旅は、今回案内いただく町田工業町田さんとの待ち合わせ場所である伊参地区の「冨沢家住宅」から始まりました。そのあと中之条駅がある中之条地区に行き、中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」を訪れました。ここの建物は、明治18年(1885年)に開校された旧吾妻第三小学校の校舎で、群馬県の重要文化財に指定されていて、館内には中之条町を中心とした資料およそ6,000点あまりが、2階から原始・古代・中世・近世資料の順で展示され、1階では展示室別に、明治・大正・昭和資料、温泉資料、民俗資料などが飾られています。

懐かしい教室で児童に帰って
ここでは町田さんの計らいで元館長の懇切丁寧で分かりやすい案内・解説を頂き一同中之条の文化の高さを改めて知りました。中でも、天板が開け閉めできる木製の連机やアルミの弁当、達磨ストーブ、オルガンなどが触れる小学校教室では昔にタイムスリップしてはしゃいでいました。

  そのあとビエンナーレの振り出しでもある中之条交流センター「つむじ」でビエンナーレのパスポートを購入して一服です。
 休憩の後、本日のお宿がある四万温泉地区に向かいました。宿にチェックインする前に町田工業さんが修復施工中の「日向見薬師堂」を工事足場に登らせていただき見せてもらいました。この薬師堂の石垣の下からは温泉が自噴しているとのことでいかにも薬効がありそうな温泉です。


積善館本館
今日のお宿は「積善館」です。「本館」は元禄の4年に建てられ、日本最古の木造湯宿建築と伝えられ、群馬県の指定文化財にも登録されている歴史的価値の高い昔ながらの湯治の雰囲気を今もなお色濃く残す希少な温泉宿です。なかなか趣のある木造の湯治宿で建て増しのためかまるで迷路のようで自分の部屋に帰るのに苦労するほどです。4つの浴槽が使えて温泉を楽しむにはリーズナブルな価格の宿ですがお酒や食事のサービスは最低限に抑えられています。本館以外に「山荘」「佳松亭」があってこちらはランクがかなり上で、佳松亭のお風呂に行き施設を見て「格差」を痛感したのかこの言葉がしばらくはみんなの話題になっていました。 積善館:http://www.sekizenkan.co.jp/

 翌日は、朝、四万温泉の自然を満喫すべく周囲の散策をしましたがおりしも栗の実が沢山落ちていてまるで唱歌「里の秋」状態、今年は栗が豊作のようです。
伊参スタジオの展示物
ビエンナーレは中之条の古民家や集落などを会場にしているのでビエンナーレを見れば必然的に見どころを巡ることになります。会場は37か所にわたり展示物は130にもなり、とても1日では回れません。私たちは積善館を皮切りに4か所しか回れませんでした。中でも伊参スタジオ公園の会場はもっとゆっくり見たい会場でした。伊参スタジオは廃校となっていた旧町立第四中学校が、群馬県人口200万人記念映画「眠る男」の撮影拠点として使用されたことから古びた木造校舎は「伊参スタジオ」と名付けられ、撮影スタジオ・ロケ隊の合宿所としてよみがえり、町ではこの映画で使われたセットを移築展示し、映画関係の資料も公開しています。
 
 また、神保家住宅の会場では大きな柱や梁の強靭な造りの和室にマッチする展示がありました。ここではカヤの実を沢山拾いました。カヤの実は食べられるし笛などに加工できます。

ビエンナーレ:http://nakanojo-biennale.com/


このほか、町田工業さんの茅の加工場も拝見し、集荷を待つきれいに加工された上ノ原の茅に再会しました。
出荷を待つ上ノ原の茅


















今回は、お忙しい中、町田さんに2日間もお付き合いご案内いただきおかげ様で有意義な時間を過ごすことが出来ました、本当にありがとうございました。(文責 草野)

2013年10月7日月曜日

季節のミニアルバム(2013年秋)「みなかみ町藤原の自然」

前回、8月4日にお届けした「季節のミニアルバム(2013年夏):みなかみ町藤原の自然(1)-(6)」の続編です。今回も多葉田五男会員から投稿いただきました。
なお、写真は枚数が多いので一部のみの掲載にとどめました。是非、ここをクリックして原文(7)-(9)全部をご覧ください。また前回の(1)-(6)はここをクリックしてください。
      
その1:実の目立つ植物

9月28日、29日に開催された森林塾青水の定例活動に参加しました。上ノ原は一面のススキの穂が風に揺れ カンタンを始め虫の鳴声に溢れ 秋の草木や蝶が目を楽しませてくれました。今回のプログラムはススキ草原散策、草木クラフト教室、野点などで 好天に恵まれ爽やかな高原の秋を満喫しました。
今回撮った写真を3回に分けて整理します。まず実の目立つ木や草を取り上げてみました。
 
写真は ①マユミ(上)および ②コマユミ (下)
このほか、③ツルリンドウ ④シオデ ⑤ミズキ ⑥ミヤマガマズミ は、原文をご参照ください。 (編集部)




その2:秋の野草



今回は花の美しい秋の野草をまとめてみました。シオガマギク①(は初めて見る野草で帰宅後、図鑑等で調べて判明しました。類似種にトモエシオガマという野草があるそうです。
ヤマトリカブト②はドクウツギ、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つ、植物全体が有毒で 花粉にも毒があり 特に根に毒が多いそうです。それにしても花の青紫色が魅力的ですね。トリカブトの仲間はミヤマトリカブト、ハコネトリカブト、ハナトリカブトなど日本に30種類もあるとのことです。


写真は ①シオガマギク(上)および ②ヤマトリカブト(下)
このほか ③ツリフネソウ ④ヤマシラギク ⑤アキノキリンソウ ⑥サライナショウマ は、原文をご参照ください。 (編集部)





その3:秋に見られる蝶

今回の9月シリーズの最終として上ノ原で観察した蝶をまとめました。今回のビッグニュースは「柞(ハハソ)の泉」近くに飛んでいたツマジロウラジャノメ①②を見つけたことです。これまで上ノ原で見たことのない種類で 上ノ原の観察リストに1種追加となりました。この蝶は山地の岩場や崖地でよく見られその他ではあまり見かけないそうです。ウラギンヒョウモン④やメスグロヒョウモン⑥等は夏から飛んでおり 翅が大分痛んでいました。

 写真は ①ツマジロウラジャノメ(上) ④ウラギンヒョウモン(下) および⑥メスグロヒョウモン(右)です。
このほか、 ②ツマジロウラジャノメ(2枚目) ③ルリタテハ  ⑤キタテハ は原文をご参照ください。  (編集部)
 

2013年9月2日月曜日

真夏の青刈り奮闘記


7月のコモンズ「防火帯整備と昆虫調査」はあいにくの悪天候のため、予定していた防火帯作り(青刈り)を完遂できず、後ろ髪引かれる思いで藤原をあとにし、それで今回はお盆休みを使って平日の臨時リベンジツアー。
8月23日金曜日朝7時、草野隊長以下4名の精鋭が埼玉県は三郷駅に集合、66歳の某氏運転の12歳の小型車に分乗、渋滞と雨にもかかわらず外環道、関越経由11時過ぎに藤原到着。

まず、いつもの倉庫に立ち寄り。かさばる刈り払い機は北山幹事が出勤前に上ノ原に揃えておいてくれるとのことで、その他の小道具類を積み込むためだけど、シャッターを開けてびっくり仰天。なぜって、いつもの「片づけられない女」状況の倉庫でなくて、スッキリ整然と片づけられていて、「潔癖症で女性も寄り付かないマザコン男子」状態、こんなの見たの生まれて初めてでーす。
さて、上ノ原。天気予報では昼過ぎから雨とのことで、腹ごしらえ済み次第すぐ始めよう、あとは雨でも嵐でも勢いがついていれば大丈夫、との作戦。車の中で弁当を食べて、多少雨足が収まったところでいざエンジン点火。


みなかみ町が須田建設の協力で管理道を整備してくれていました。写真のとおり立派に出来上がっておりまさに期待以上。これなら防火帯も万全。須田建設、おぬし出来る。
町の貴重な予算の中から数十万円を割いていただき、茅、1年3000束だけのためなら、一束200円のコスト?いえいえ、これからずーっと大事に使います。茅束の販売はほんの序の口、皆でしっかり使えば生物多様性や安らぎというお金に変えられない価値を生むんです。

立派な管理道を見て勇気が出たところで、林縁部と十郎太沢沿いの二手に分かれ、作業開始。一人が片側の境界線を刈り、もう一人がそれを目印に5〜10メートル幅に広げていくという態勢。さて、順調にスタートしたものの、その後雨足は強まるし、眼鏡は曇るし、ちょっと振り回すと切り株にあたるしで、もうやけっぱち。平坦地じゃないことはもとより覚悟の上だが、でこぼこ凸凹、落とし穴だらけ、えーいこれくらいで文句言うな、お父さんやお爺さんはもっと重い鉄砲もって、敵地を行軍したんだぞ、なんて時代錯誤の想いが頭をよぎる。
途中雷で何回か休んだり、燃料補給でしばしの中断、これがちょうどよい休憩になって、地獄の行進は順調にすすみ、夕方近くにゴルフ場の管理棟が見えてきて、これがゴール。雷雨さん、ありがとう、お蔭で熱中症にならずに済みました。
どうです、きれいに刈れたでしょう。(この写真は、後日撮影したものです。当日は泥まみれ、写真はとれませんでした。)

そんなこんなで、この後、きれいに片づけられた倉庫にてパンツまで着替え、ついてに、十郎太沢の冷水で冷やしたスイカを(鉈で割って)食べて、ほっとお疲れ様。どこのどなたかか存じませんが、倉庫片づけてくれた人、本当にありがとうございました。今度はシャワーもよろしく。

よかったこと: きれいに防火帯ができました、来年の野焼きは大丈夫です。思っていたより茅がよく育っていました。倉庫がきれいに片付いていましたよ。管理道、すばらしい。ハチや雷の被害、熱中症、怪我、オールフリー、カロリーゼロ。雨や汚れは洗えばとれるもの、厭ってはいけないという真実がわかったこと。 交通費(ガソリン、高速代)一人当たり2500円のみの低コストでよい汗をかけたこと、エコロジーはエコノミーでなくっちゃ。なあんだ、良いことばっかりでした。とやけっぱち。

訂正: 文中大袈裟な部分がございますが、消費税込み8割引き程度でお読みください。
(事務局 松澤記)

2013年8月10日土曜日

30㎏の赤紫蘇から96ℓの紫蘇シロップが出来ました! -のらえもん&地元衆とコラボワーク3日間の記録と秘話-


 8月4日から3日間、藤原の地元衆のご協力をいただきながら赤紫蘇ジュースづくりにチャレンジした。以下は、その活動と成果の記録、そして最後に秘話の紹介。

(写真1)
(写真2)

  8月4日午後:古高、清水が藤原入り。先ずは、紫蘇育成に協力して下さった「樹林」ならびに「やまびこ」の紫蘇生育状況視察。続いて、作業拠点「遊山館」の館内清掃、設備点検と周囲の草刈り。
 8月5日午前:山口フアミリーが合流。惣一郎、ゑみ子、典子(敬省略)も参加して、紫蘇収穫作業(写真1)→遊山館に搬入→洗浄作業→束ねて乾燥(写真2)
 午後:惣一郎、一幸親子、美千代、智子、北山・同夫人、ほか三々五々来館。葉のむしり取り作業→計量:30㎏→シロップ(原液)づくり作業(以下の手順で夕食をはさみ22時半まで!)(写真3~5)
①葉1:米酢2の比率で大鍋に入れ、押しつぶしながら煮る(20分弱)
②30分~1時間おいて、冷めたところで絞る 
③砂糖2と塩少々(かくし味)を加えた器に絞り汁を入れて攪拌 
④5分ほど加熱処理(沸騰寸前に火を止める)
⑤消毒済みのボトルを用意
⑥冷めたらボトリング(8ℓ入り瓶に注入) →合計12本:96㍑も!
(写真3)

(写真4)

(写真5)
(写真6)
8月6日午前:惣一郎、純一、一幸、友紀、仁、岡野夫妻&友人、ゑみ子、武子、典子、智子の皆さんが来館して下さり、和やかに試飲会。おおむねご好評でほっと一息。

感想・意見交換会の後、今後の取組み方針・計画など説明。午後:協力民宿「樹林」「吉野屋」「関が原」「やまびこ」に8ℓ入り瓶配布、試飲とフイードバック依頼。さらに、日頃お世話になっている地元の皆さま方17軒に500ml瓶を各戸訪問配布して、同様のお願い。

以上、3日間を通して延べ23人もの地元衆の参画を得た。しかも、ゲートボール仲間のシニア層から一幸、友紀、北山のヤング世代まで。正に、首都圏住民と地元衆が入り会っての協働作業であり、まことに画期的なコラボ活動であったと自画自賛したい。
実は、それもこれも元はといえば、山口夫人・キキさんの『一滴の水の恩に、泉をもって返すべし』という感謝の気持ちの賜物であった。若い頃、いつも中国の自宅マンションの屋上で遠い山々を眺めながら夕陽が沈むまで勉強していたキキさん。日本に来て間もない頃、言葉が分からない友達もいない、そんな寂しい気持ちを癒してくれたのは上州の烏川や奥利根藤原から見える遠い山々だった。故郷の温もりを感じ、今日まで頑張ってこれた。その感謝の気持ちをもって、中国原産の紫蘇からジュースを作り藤原の名産にして恩返しをしたい。その一念で企画を練り上げご提案をいただいたのが事の始まりだったのだ。
是非、時間をかけ良い味に仕上げ地元の名産として、藤原むらづくり協議会が再興を期す「物産直売場」の人気商品に育て上げる夢を現実のものにしたいものだ。

紫蘇濃ゆき一途に母を恋ふ日かな       石田波郷

2013年8月6日(清水、記)

2013年8月8日木曜日

2013年度第1回東京楽習会報告

「利根川の湖沼で学ぶ~茨城県自然博物館編」713日(土)

 2013年度第1回東京楽習会に参加し、利根川水系の下流域にあたる茨城県菅生沼と、その西側に立つ茨城県自然博物館を訪ねました。同館企画課長の小幡和男さんは、今年4月の森林塾青水総会などで講師を務めてくださったことがあり、この日も沼周辺の案内を引き受けていただきました。
 菅生沼は南北約5km、東西の幅300600mの谷状の湿地です。面積は約230haで、県の自然環境保全地域に指定されています。沼には飯沼川、江川、東仁連川が流入し、2km余り下流で利根川に合流します。大雨で利根川が増水すると、利根川からの逆流を防ぐ目的で、菅生沼の下流にある法師戸水門が閉鎖されます。すると沼に流入した飯沼川などの水がせき止められるため、沼の水位は高くなります。こうした時に、上流から運ばれてきた大量の泥が、沼にたまっていきます。1994年の博物館開館時、館の前には広い水面が広がっていたそうですが、泥の堆積が進んだ結果、水面は大きく減少して、ヤナギ類などの生えた陸域が目立ってきているそうで、ここ20年ほどの間にも、刻々と姿を変えているとのことでした。かつて洪水で運ばれた泥や繁茂した水草は、冬場の「どろとり」と夏場の「もくとり」によって沼から周辺の農地へ肥料として持ち出されていましたが、こうした作業が途絶えてしまったことも、沼の変化を加速しているのかもしれません。
 博物館から対岸までは、「菅生沼ふれあい橋」という木橋がかかっており、この橋を渡りながら、小幡さんから沼の植生に関する説明を受けました。
 水辺を好むヤナギ類のうち、ここで見られるのはマルバヤナギ、タチヤナギ、カワヤナギです。マルバヤナギは新芽が赤いのでアカメヤナギとも呼ばれます。湿地環境に育つイネ科の草本類も多く、特に目立ったのは水際を好むマコモ、その内側に生えるヨシ、さらに陸側のオギといったところ。フランクフルトソーセージのような穂を付けるガマ類も3種類(ガマ、ヒメガマ、コガマ)が観察できるそうです。全国の水辺や河川敷には侵略的な外来種がはびこって問題になっています。ここ菅生沼も例外ではなく、高さ数mに育ったオオブタクサや橋の欄干に巻きついたアレチウリの姿も見ることができました。
 この日は観察できませんでしたが、全国でも菅生沼と渡良瀬遊水地くらいでしか、まとまって自生していないとされる希少植物(絶滅危惧Ⅱ類)がタチスミレです。オギやヨシの中に育ち、スミレなのに草丈が時に1mにもなるというから驚きです。河川の氾濫原などが本来の生育地なので、今では草刈りや火入れといった人の手による攪乱がなくなると、その存在も途絶えてしまいかねません。小幡さんたちは、菅生沼のタチスミレ個体群を守ることを大きな目的として、2003年から草地の野焼きに取り組んでおられます。2014年には126日の実施を計画しているそうです。
(米山正寛)
 
・湿地の植物を間近に観察できる「菅生沼ふれあい橋」


・菅生沼の東岸から西方向を見た光景。列状に並ぶヤナギ手前あたりが、野焼きされている草地だ

2013年8月4日日曜日

季節のミニアルバム(2013年夏)


2013年7月27日(土曜)および28日(日曜)は、「ススキ草原(元茅場)の防火帯整備と昆虫調査」ということで、防火帯の刈り払い、県道の草刈り(地域貢献プログラム)、生き物調査など、盛り沢山の活動を行いました。

詳しくは追ってブログアップされると思いますが、多葉田会員から上ノ原付近で観察された生き物たちの素敵な写真36枚を投稿いただきました。

分量が多いので、ここでは数枚だけの紹介にとどめますが、是非ここをクリックして全文をご覧ください。 















今回は猛暑+雷雨で大変でしたが、こういう写真を見ると、また上ノ原に行きたくなりますね。
 
事務局 (松澤)

2013年7月9日火曜日

奥利根水源の森フィールドワークの振り返り


―優しい母なる自然と厳しい父なる自然― 

今年で8回目になる麗澤学園「奥利根水源の森フイールドワーク」の受入れ。中学1年生164名と先生方10名をお迎えし、当塾サイドのインストラクター18名をもって2泊3日の合宿研修のお付き合いをさせていただいた。
 7月5日午後:東京組インストラクター8名で、下見をかねた散策ルートの下草刈り。都会育ちの子供たちを気遣って、クマイチゴやノアザミなど棘のあるものを重点的に刈り払った。果たしてそれで本当に良かったのか? 自然の恵みや優しさだけでなく、その反面の厳しさや荒々しさにも気づいてもらった方が良かったのではないかと反省。
6日9時~16時:上ノ原での自然観察ならびに侵入樹木の伐採と芦ノ田峠のフットパス歩き。


6日夜:高野、川端、清水のプラチナ・トリオが生徒たちと同じホテル・サンバードに投宿、山本学年主任、北岡、寺坂、折笠の先生方と本日の振り返り反省会。皆さんたいへん熱心かつ前向きで、来年以降の改善が期待できる白熱の意見交換会となった。その中から、富山和子先生の名著『川は生きている』を、先生方が事前に回読し副読本にすることを検討したい、という話まで飛び出した!この本は、講談社青い鳥文庫の「自然と人間」シリーズの一巻である。しかも、中学1年生の自分(ゆめ)プロジェクトのテーマは「自然と人間」の関係を知ること、自然の恵みに感謝し、自分は何をなすべきなのかを考えること。副読本として、これに勝るものはあるまい! そういえば、学園が掲げる教育目標は「仁草木に及ぶ」だった。ならば、上ノ原の草木塔を案内するべきだった。先生たちにも配布したフットパス地図のど真ん中に表示されていたのに! 今ころ気がついても後の祭りだが、来年は是非、散策コースに入れたいもの。
7日午前:プラチナ・トリオが生徒たちのグループ討議、まとめ作業にお付き合い。
あるグループで「利根川の河口は日本海?」とのやりとりに出くわして唖然。生徒たちが持ち歩いているフイールドノートの裏表紙に、利根川がでんと横たわる関東一円の地図があるんだけどな・・・・。でも、めげずにゼロから丁寧に説明しました(トホホ)そこへ別のグループからお声がかかって、緑のダムから用水路や田んぼを通ってコンクリートダムに至る水の流れについて確認する質問があった。やれやれ、救われた(笑顔)

地元組のインストラクタ-皆さまには、「今年は来年の下見と心得て、来年もまたよろしく」とお願いした。学校サイドとも協働して、いわゆる"教育旅行"の模範プログラムを目指して頑張りましょう、とプラチナ・トリオが気焔をあげたことであった。
                                                                                                                            (2013.7.8、清水記)

2013年6月17日月曜日

青木沢峠と芦ノ田峠の道普請顛末記                -ひどい目にあったこと嬉しかったこと-


「一般参加歓迎プログラム」2013②の初日・615日午後。首都圏からの宿泊組11名に地元から日帰参加の3名が合流、計14名が師入の集落センターに集合。各々、草刈大鎌、唐鍬、レーキなど携え、小雨降る青木沢峠に入った。作業目的は、夏以降に予定の麗澤中「奥利根フイールドワーク」や民宿組合主催「秋の健康ハイキング」の受入れに備えた道普請とブナ林観察路づくり。先ずは、つもりつもった落葉を掻いて谷側に寄せ落とす作業から始めた。ついでに、山側の地面も引っ掻きならして歩きやすい道にする。

実は、落葉の山に潜む“ヒル”を排除するのが主たる目的だった。雨にも負けず皆さん懸命に取組んで下さり、作業は順調に捗っていた。ところが、頂上へ道半ばくらいのところで雨が激しくなってしまった。止む無く作業中断、峠の十二神様にご挨拶して青木沢入口に下り、車で集落センターまで戻った。
そこで、大騒ぎになった。全員がヒルにやられていて、大方が吸血されていることに気づいたのは宿に戻ってからのことだった。

楽しみにしていたブナ林観察路づくりも果たせず、“昼間ヒル退治に行ってやられて退散”など下手なオヤジギャグが飛び出す始末だったが、実は嬉しいことも沢山あった。


(1)地元の幸男さんが、峠道沿いに区分所有する美しいブナ林内に散策路を造ることを快くご了解いただいていた上に、我々の作業に先立ってヒル退治用の薬を撒いて下さっていたこと。
(2)米山正寛さん(森林文化協会=当塾コラボレーター)が、今回も朝日新聞紙上で参加者募集をして下さり、お蔭で素敵な3名の一般参加者を仲間に加えることができた。その上に、年寄りの荷物をさりげなく持ったり、食事の席でビールや酒を注いだりと、我々ホスト役顔負けのきめ細い心配りをして下さったこと。
(3)地元から一幸さん、真人さん、久保さんと屈強の男衆が3人も協働作業に参加してくれたこと。
(4)同じく地元の親男さんが、青木沢の橋の手すり・欄干を事前に立上げ、整備して下さっていたこと。お陰さまで2日目の芦ノ田峠は全員無事、武尊川沢を渡り終え、ヒルに出会うこともなく気持ち良く完走できた。
(5)今回も岡田幹事が、野点のご用意をして下さっていたこと。2日目の上ノ原散策終了後、十郎太沢の水で美味しいお茶を点てていただき、全員ほっくりと寛ぎのひと時を持つことが出来た。

などなど、書ききれないくらい沢山の嬉しいこともあった2日間でもあった。 


2013617日(清水、記)